ニューグレン本日打ち上げへのカウントダウン:予備知識を総まとめ
いよいよ本日、日本時間15時からブルーオリジンの新型ロケット「ニューグレン」の初打ち上げが予定されています。
打ち上げの様子はブルーオリジン公式サイト、YouTubeチャンネル、およびXアカウントで配信される予定で、打ち上げ約1時間前から中継が開始されます。
本記事では、この歴史的な打ち上げを見守る前に、ニューグレンとブルーオリジンについての重要な知識を総まとめします。
ブルーオリジンの軌跡
創業と理念
2000年、Amazonの創業者ジェフ・ベゾスによって設立されたブルーオリジンは、「数百万人が宇宙で生活・仕事をする未来」の実現を目指しています。企業理念「Gradatim Ferociter(段階的に、しかし凶暴に)」の下、宇宙へのアクセスコストを劇的に下げることを使命としています。
主な実績
サブオービタル飛行の成功
- 2015年に初めて宇宙空間からのロケット垂直着陸に成功
- 2021年7月に初の有人飛行を実施し、ベゾス自身も搭乗
- これまでに32名の観光客を宇宙へ送り出しています
主力ロケット
- New Shepard: サブオービタル飛行用の再使用型ロケット
- BE-4エンジン: ULAのVulcanロケット用にも供給
- New Glenn: 開発中の大型軌道ロケット
ニューグレンの特徴と役割
基本仕様
- 全長:約98メートル(32階建てビルに相当)
- 第1段:BE-4エンジン7基搭載
- 第2段:BE-3Uエンジン2基搭載
- 打ち上げ能力:低軌道に45トン、静止遷移軌道に13トン
技術的特長
- 7メートル径の大型ペイロードフェアリング(業界標準の2倍の容積)
- クリーンな液化天然ガス(LNG)を燃料として使用
- 第1段は最低25回の再使用が可能
競合との比較
SpaceXとの比較
- SpaceXは年間100以上のミッションを実施し、軌道級ロケットの打ち上げで圧倒的な実績を持ちます
- ブルーオリジンはこれまでサブオービタル飛行に留まり、軌道への打ち上げは今回のニューグレンが初となります
- SpaceXは垂直統合型の開発を重視し、迅速な反復を行う一方、ブルーオリジンはより慎重なアプローチを取っています
Virgin Galacticとの比較
サブオービタル観光飛行
- ブルーオリジン:11分のフライト、高度100km到達、6名搭乗可能
- Virgin Galactic:2.5時間のフライト、高度80km到達、パイロット2名+乗客4名
ULAとの比較
- ULAは政府向け打ち上げに特化し、高い信頼性を重視
- ブルーオリジンはBE-4エンジンをULAのVulcanロケットに供給する関係
- 2024年6月、両社はSpaceXとともに米国防総省の56億ドルの打ち上げ契約を獲得
市場ポジション
- 商業打ち上げ市場では後発ながら、ニューグレンでFalcon Heavyクラスの打ち上げ能力を目指します
- NASA契約や月面着陸船開発など、政府プロジェクトへの参画を強化
- 技術開発では、月の砂から太陽電池パネルを製造するBlue Alchemist技術など、独自の強みを持ちます
今後の展開
短期目標
- Amazon’s Project Kuiperの衛星打ち上げ
- 国防総省の打ち上げミッション
- 将来的な有人宇宙飛行への対応
長期ビジョン
- Orbital Reefスペースステーションの開発
- Blue Moon月面着陸船の実現
- 商業宇宙ステーション市場への参入
まとめ
本日のニューグレン初打ち上げは、ブルーオリジンにとって重要なマイルストーンとなります。打ち上げ成功は、SpaceXが独占する商業打ち上げ市場に新たな競争をもたらす可能性を秘めています。成功すれば、宇宙へのアクセスコストを下げ、より多くの人々が宇宙で活動できる未来への第一歩となるでしょう。
打ち上げウィンドウは3時間設定されており、天候などの条件により変更される可能性もありますが、宇宙開発の新たな章を開く瞬間をぜひご覧ください。
【用語解説】
【参考リンク】
Blue Originオフィシャルサイト(外部)
SpaceXオフィシャルサイト(外部)
Virgin Galacticオフィシャルサイト(外部)
ULAオフィシャルサイト(外部)
Watch Blue Origin launch its 1st New Glenn rocket early Monday in a free livestream(外部)