innovaTopia

ーTech for Human Evolutionー

ベルン大学のAI技術、地球型惑星探査に進展 – 有望な44恒星系を絞り込み、発見への期待高まる

ベルン大学のAIが地球型惑星44個を発見!宇宙探査の効率が劇的に向上 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-04-27 14:47 by admin

スイスのベルン大学と国立研究能力センターPlanetSの研究チームが開発した機械学習モデルが、未発見の地球型惑星を持つ可能性が高い44の恒星系を特定した。この研究結果は2025年4月9日にベルン大学から発表され、学術誌「Astronomy & Astrophysics」に掲載された。

研究チームが開発したAIシステムは、「ベルン惑星形成・進化モデル」を用いて訓練され、惑星系の構造を分析して地球型惑星が存在する可能性のある場所を予測する。テストでは、このAIは99%という高い精度で地球型惑星を特定することに成功した。

AIは1,600以上の既知の惑星を持つ恒星系を分析し、特に各系の「最も内側で検出可能な惑星」(IDP)に注目した。IDPの質量と軌道が、さらに外側に存在する他の惑星の存在について重要な手がかりを提供することを発見した。

特定された44の恒星系は主にG型(太陽と同様)、K型、M型に分類される恒星を周回しており、これらは居住可能な惑星を持つ理想的な候補とされている。研究チームはさらに詳細なシミュレーションを実行し、予測された惑星が理論的にこれらの系内に存在できることを確認した。

この研究の筆頭著者であるジャンヌ・ダヴール博士は、現在ドイツ航空宇宙センター(DLR)のポスドク研究員として活動しており、ベルン大学の物理学研究所宇宙研究・惑星科学部門で博士論文の一環としてこのモデルを開発した。共著者にはベルン大学宇宙・居住可能性センター(CSH)の共同ディレクターであるヤン・アリベール教授とCSHの博士課程学生ロマン・エルチンガーが名を連ねている。

このAIシステムは、PLATOやLIFEなどの将来の宇宙ミッションにとって大きな可能性を持っている。従来の方法では地球型惑星の発見に1年以上の観測が必要だったが、AIの予測により天文学者はより有望な恒星系に焦点を当てることができ、居住可能な世界の探索をはるかに効率的にすることが期待されている。

ただし、AIの訓練に使用された合成データは実世界の惑星系の複雑さを完璧に再現するわけではないという限界もある。例えば、多くの太陽に似た恒星はスーパーアースと冷たい木星型惑星の両方を持っているが、モデルはこれを常に正確に予測できるわけではない。

from:Scientists Built An AI To Find Alien Worlds — And It Just Flagged 44

【編集部解説】

スイスのベルン大学と国立研究能力センターPlanetSの研究チームが開発したAIモデルは、未発見の地球型惑星を持つ可能性が高い44の恒星系を特定しました。この研究は2025年4月9日にベルン大学から発表され、学術誌「Astronomy & Astrophysics」に掲載されています。

このAIモデルの特筆すべき点は、その精度の高さです。テストでは99%という驚異的な精度で地球型惑星を特定することに成功しました。これは宇宙生物学の分野において画期的な進展と言えるでしょう。

従来の地球型惑星探索方法は、PLATOミッションや提案されているLIFEミッションなど、非常に感度が高いものの時間がかかり、一つの候補を発見するのに1年以上の観測を必要とすることがありました。このAIモデルの活用により、天文学者たちは最も有望な恒星系に焦点を当てることができ、探索効率を大幅に向上させることが期待されています。

このAIモデルの開発に中心的な役割を果たしたのは、現在ドイツ航空宇宙センター(DLR)のポスドク研究員であるジャンヌ・ダヴール博士です。彼女はベルン大学物理学研究所宇宙研究・惑星科学部門での博士論文の一環としてこのモデルを開発しました。共著者にはベルン大学宇宙・居住可能性センター(CSH)の共同ディレクターであるヤン・アリベール教授とCSHの博士課程学生ロマン・エルチンガーが名を連ねています。

AIモデルの訓練には「ベルン惑星形成・進化モデル」が使用されました。このモデルは2001年からベルン大学で継続的に開発されており、惑星形成に関わる様々な物理プロセスをシミュレートすることができます。このシミュレーションによって生成された合成データがAIの訓練に使用されたのです。

訓練を受けたAIは、少なくとも1つの既知の惑星を持つ1,600以上の恒星系を分析しました。特に各系の「最も内側で検出可能な惑星」(IDP)に注目し、その質量と軌道が外側に存在する他の惑星の存在について重要な手がかりを提供することを発見しました。

特定された44の恒星系は主にG型(太陽と同様)、K型、M型に分類される恒星を周回しています。これらのタイプの恒星は、居住可能な惑星を持つ理想的な候補と考えられています。

この研究の意義は単に地球型惑星の発見を加速するだけではありません。地球外生命の探索において重要な一歩となる可能性があります。地球型惑星、特に恒星の「温和な領域」(ハビタブルゾーン)に位置する惑星は、生命が存在する可能性が最も高いと考えられているからです。

しかし、このAIモデルにも限界があることを認識しておく必要があります。モデルの訓練に使用された合成データは、実世界の惑星系の複雑さを完璧に再現しているわけではありません。例えば、多くの太陽に似た恒星はスーパーアースと冷たい木星型惑星の両方を持っていますが、モデルはこれを常に正確に予測できるわけではありません。また、合成データでは惑星が実際よりも恒星に近い位置に配置される傾向があるという課題もあります。

それでも、このAIモデルは地球型惑星探索の効率を大幅に向上させる可能性を秘めています。今後のPLATOミッションや提案されているLIFEミッションなどの宇宙探査において、このAIモデルが活用されることで、地球外生命の発見に一歩近づくかもしれません。

テクノロジーの進化によって、かつては何年もかかっていた探索が数日で可能になるという現実は、宇宙探査の未来に大きな希望をもたらします。私たちは今、人工知能の力を借りて、宇宙の謎に挑む新たな時代の入り口に立っているのです。

皆さんも、この技術の進展に注目してみてはいかがでしょうか。遠い恒星の周りを回る、もう一つの「地球」の発見は、もはや遠い未来の話ではないかもしれません。

【用語解説】

地球型惑星(Earth-like planet):
地球に似た特性(サイズ、質量、組成など)を持つ惑星。主に岩石質で、生命が存在する可能性がある惑星を指す。

ハビタブルゾーン(Habitable Zone):
恒星の周りで、液体の水が存在できる温度範囲にある領域。「生命居住可能領域」とも呼ばれ、生命が存在する可能性が高いとされる。冷たすぎず熱すぎない「ゴルディロックスゾーン(適温帯)」とも表現される。

系外惑星(Exoplanet):
太陽系外の恒星を周回する惑星。1995年に初めて確認されて以来、現在までに5,000個以上が発見されている。

G型、K型、M型恒星:
恒星の分類。G型は太陽と同様の恒星、K型はやや小さく冷たい恒星、M型はさらに小さく冷たい赤色矮星を指す。M型は銀河系で最も多い恒星タイプである。

ベルン惑星形成・進化モデル(Bern Model of Planet Formation and Evolution):
スイスのベルン大学で2001年から開発されている惑星形成シミュレーションモデル。惑星系の形成と進化を物理法則に基づいてシミュレートする。

最も内側で検出可能な惑星(IDP: Innermost Detectable Planet):
恒星系において最も内側(恒星に近い位置)で検出できる惑星。このAI研究ではIDPの特性が外側の惑星の存在を予測する重要な手がかりになることが示された。

【参考リンク】

ベルン大学(外部)
スイスの名門大学で、惑星科学研究の世界的リーダー。ベルン惑星形成・進化モデルを開発。

国立研究能力センターPlanetS(外部)
スイスの惑星科学研究を統合するセンターで、系外惑星の発見と特性評価に関する研究を推進。

欧州宇宙機関(ESA)(外部)
欧州22カ国が参加する宇宙機関。宇宙探査、地球観測、通信衛星などの開発・運用を行う。

PLATOミッション(外部)
26台のカメラを搭載し、恒星の前を通過する惑星を検出する宇宙望遠鏡。地球型惑星の探索に特化。

LIFEミッション(外部)
系外惑星の大気組成を分析し、生命の痕跡を探すことを目指す次世代ミッション構想。

【参考動画】

【編集部後記】

AIが宇宙の謎を解き明かす時代、皆さんはどんな発見に期待しますか?地球に似た惑星が見つかったら、そこに生命は存在するのでしょうか。もし宇宙に「第二の地球」があるとしたら、どんな景色が広がっているのか想像してみませんか?宇宙探査とAI技術の融合は、私たち人類の宇宙観を大きく変えるかもしれません。皆さんの「知りたい」という好奇心が、次の大発見につながるのかもしれませんね。ぜひSNSで、宇宙や地球外生命についての疑問や想像を共有してください。

【関連記事】

スペーステクノロジーニュースをinovatopiaでもっと読む

投稿者アバター
TaTsu
デジタルの窓口 代表 デジタルなことをまるっとワンストップで解決 #ウェブ解析士 Web制作から運用など何でも来い https://digital-madoguchi.com
ホーム » スペーステクノロジー » スペーステクノロジーニュース » ベルン大学のAI技術、地球型惑星探査に進展 – 有望な44恒星系を絞り込み、発見への期待高まる