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SpaceX Starship、年間25回の打ち上げ承認へ – FAAが環境影響なしと判断

SpaceX Starship、年間25回の打ち上げ承認へ - FAAが環境影響なしと判断 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-07 12:22 by admin

米連邦航空局(FAA)は2025年5月6日、SpaceXがテキサス州のStarbase施設から打ち上げるStarshipロケットの年間打ち上げ回数を現行の5回から25回に増加することを承認した。この決定は複数年にわたる環境影響評価の結果、打ち上げ頻度の増加が環境に重大な影響を与えないとの結論に基づいている。

承認内容には、第一段階のSuper Heavyブースターの着陸回数も年間25回まで許可された。SpaceXはこれまでに3回のSuper Heavy着陸に成功しており、打ち上げタワーの巨大な機械アームを使用してブースターを確保する方式を採用している。また、上段のStarship宇宙船の着陸も年間25回まで許可された。

この承認はSpaceXにとって大きな前進であり、NASAのArtemis計画や将来の火星ミッションに向けた準備が加速する。SpaceXはこれまでに史上最強のStarshipロケットを計8回打ち上げており、そのうち2回は2025年に実施された。

環境保護団体からは、打ち上げ頻度の増加がウミガメや海岸の鳥類などの種を危険にさらす可能性があるとの懸念が示されている。FAAはSpaceXに対して複数の環境影響緩和策を義務付けている。

from:SpaceX given major boost for Starship launch schedule

【編集部解説】

SpaceXのStarship打ち上げ回数増加は、宇宙開発の新時代を象徴する重要な出来事です。FAAが承認した年間25回という数字は、単なる数値の変更ではなく、宇宙へのアクセス頻度を根本から変える可能性を秘めています。

この承認プロセスは実は数ヶ月前から進行していました。昨年11月にFAAが発表した環境評価草案ですでに25回の打ち上げ頻度が認められており、今回はその最終承認となります。この決定には詳細な環境影響評価が基づいており、SpaceXの運用が「人間環境の質に重大な影響を与えない」と結論づけられています。

注目すべきは、この承認がStarbaseの市としての法人化と時期的に近いことです。Starbaseの法人化によりSpaceXは地元の規制に対してより大きな影響力を持つことになり、ロケット打ち上げ時のビーチや公園の閉鎖などをより柔軟に実施できるようになる可能性があります。

環境面では、FAAはSpaceXに対して複数の緩和策を義務付けています。例えば、増加すると予測されるトラック交通に関して、従業員シャトルの運行や水運搬トラックの日中のみの運行制限など、野生生物への影響を最小限に抑える措置が要求されています。

Starshipの信頼性には課題が残されています。これまでの打ち上げテストでは、Super Heavyブースターは成功裏に着陸した例がありますが、上段のStarship宇宙船は完全な成功には至っていません。

Starshipの打ち上げ頻度増加は、月面着陸や火星探査といった野心的なミッションの実現可能性を高めるだけでなく、宇宙輸送のコスト構造を根本から変える可能性を秘めています。完全再利用可能なロケットシステムとして設計されたStarshipが定期的に運用されるようになれば、宇宙へのアクセスはこれまでとは比較にならないほど容易になるでしょう。

しかし、環境保護団体や地元住民からは、頻繁な打ち上げが渡り鳥や自然保護区に与える影響について懸念の声も上がっています。宇宙開発と環境保全のバランスをどう取るかは、今後も重要な課題となるでしょう。

【用語解説】

Starship/スターシップ:
SpaceXが開発中の完全再使用型の宇宙船とブースターの組み合わせで構成される多目的宇宙輸送システム。全長121m、直径9mで100~150トンのペイロードを搭載可能。地球上の2地点間輸送や月・火星への有人飛行を目指している。

Super Heavy/スーパーヘビー:
Starshipの第一段階ブースター。液体メタン/液体酸素を推進剤とする33基の「Raptor」エンジンを搭載している。

FAA(連邦航空局):
航空輸送の安全維持・確保を図るためのアメリカの政府機関。民間航空機の設計、製造、整備、修理の審査・検査を担当し、航空規定づくりにも取り組んでいる。

Starbase/スターベース:
テキサス州南部にあるSpaceXの打ち上げ施設。最近市として法人化された。

Artemis計画:
NASAが進める月探査計画。2026年9月に予定されているArtemis IIIミッションでは、初の女性と有色人種の宇宙飛行士による月面着陸を目指している。

【参考リンク】

SpaceX公式サイト(外部)
SpaceXの公式ウェブサイト。Starshipを含む同社の宇宙船やミッションに関する情報を提供している。

Starship情報ページ(外部)
SpaceX公式サイト内のStarship専用ページ。技術仕様や開発状況などの詳細情報を掲載。

【参考動画】

【編集部後記】

皆さん、SpaceXの挑戦は宇宙開発の常識を覆し続けています。Starshipの打ち上げ頻度が年間25回に増えることで、私たちの宇宙へのアクセスはどう変わるでしょうか?もし月や火星への旅行が現実になったら、あなたは行きたいですか?また、環境保護と宇宙開発のバランスについて、どうお考えですか?SNSでぜひ皆さんの考えをシェアしてください。宇宙の未来を一緒に考えていきましょう。

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TaTsu
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