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IEEE、ライフメンバー委員会が高齢者向けテクノロジー会議とメンタリングプログラムを開始 – エイジテック分野への本格参入で2025年6月にボストンで開催

IEEE、ライフメンバー委員会が高齢者向けテクノロジー会議とメンタリングプログラムを開始 - エイジテック分野への本格参入で2025年6月にボストンで開催 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-28 18:37 by admin

IEEEライフメンバー委員会が新型コロナウイルスパンデミック後の活動再開を発表した。これはエイジテック分野への本格参入と位置づけられる。2025年の会議は6月11日から13日にマサチューセッツ州メドフォードのタフツ大学で開催予定。

同委員会は65歳以上で年齢と会員歴の合計が100以上の会員を支援する組織である。パンデミック中に対面活動参加者とライフメンバー基金への寄付が減少したが、過去5年間で年次会議とメンタリングプログラムを新設した。ライフメンバー数は2019年の25,000人から2024年に約39,000人に増加し、2034年までに58%増加を予測している。

第1回ライフメンバー会議は2024年4月にテキサス州オースティンで開催され180人以上が参加した。2025年の会議「Learning Never Stops」は6月11日から13日にマサチューセッツ州メドフォードのタフツ大学で開催予定である。

グループメンタリングセッションはオタワ、テキサス州サンマルコス、東京で実施されている。66カ国に190以上のライフメンバーアフィニティグループが存在し、2024年にライフメンバーはIEEE慈善プログラムに170万米ドル以上を寄付した。

From: 文献リンクIEEE Life Members Committee Reconnects With Members It launched a conference on tech for seniors and a mentoring program

【編集部解説】

このニュースが示すのは、世界最大の技術者組織であるIEEEが、高齢化社会という現代の重要課題に対して組織的に取り組み始めたという点です。単なる会員サービスの拡充を超えて、経験豊富なエンジニアの知見を社会に還元する仕組みを構築しようとしています。

特に注目すべきは「エイジテック」分野への本格的な参入です。健康モニタリング、スマート家電、在宅ケアロボットなど、高齢者の生活の質向上を目指す技術領域は、今後急速に成長が見込まれる市場でもあります。WHO(世界保健機関)の予測によれば、2030年までに世界人口の6人に1人が60歳以上になるため、この分野の技術革新は社会的必要性が極めて高いと言えるでしょう。

グループメンタリングという新しい手法も興味深い取り組みです。従来の1対1のメンタリングとは異なり、複数の経験者が若手と対話することで、より多角的な視点を提供できます。オタワ、サンマルコス、東京での実施例が示すように、この手法は国際的に展開可能な汎用性を持っています。

一方で、この取り組みには潜在的な課題も存在します。高齢者向け技術の開発において、実際のユーザーニーズと開発者の想定にギャップが生じる可能性があります。また、プライバシーやセキュリティの観点から、高齢者を対象とした技術には特に慎重な配慮が求められるでしょう。

長期的な視点では、この動きがエンジニアリング業界全体の世代間交流を促進し、技術の社会実装における新たなモデルケースとなる可能性があります。特に日本のような超高齢社会において、こうした取り組みは重要な参考事例となるはずです。

【用語解説】

IEEE(アイ・トリプル・イー):
世界最大の電気・電子工学分野の学術研究団体。1963年にアメリカ電気学会とアメリカ無線学会が合併して設立された。現在世界160カ国以上に42万人以上の会員を持つ。

IEEE(電気電子技術者協会)は、AIやIoT、ロボティクス、通信など第四次産業革命を支える幅広い技術分野で、国際標準の策定や最先端研究の推進を担う世界最大規模の技術者組織である。産業や社会のデジタル化を加速させる中核的な役割を果たし、技術開発・標準化・人材育成を通じて新たな産業や社会課題の解決に貢献している。なお、政策対話を主導する世界経済フォーラム(WEF)とは産業革命へのアプローチが異なり、IEEEは技術の実装や普及に重点を置いている。

ライフメンバー :
65歳以上で、年齢と会員歴の合計が100年以上のIEEE会員。会費や学会費が免除される特別な地位。

エイジテック(AgeTech) :
高齢者の生活の質向上を目指す技術分野。健康モニタリング、スマート家電、在宅ケアロボットなどが含まれる。日本の「シルバーテック」に相当する概念である。

アフィニティグループ :
IEEE内の特定の関心や属性を共有するメンバーのグループ。地域や専門分野ごとに形成される。

【参考リンク】

IEEE Life Members(外部)
IEEEライフメンバー委員会の公式サイト。38,000人のライフメンバーの活動や資格要件について詳細に説明

AARP AgeTech Collaborative(外部)
高齢者向け技術革新を推進するAARPの組織。45兆ドル規模の長寿経済における革新的ソリューションを開発

IEEE Foundation – IEEE MOVE(外部)
IEEE MOVEプログラムの詳細情報。自然災害時の緊急通信・電力支援車両の活動について説明

EPICS in IEEE(外部)
工学系学生が地域コミュニティの課題解決に取り組むサービスラーニングプログラム。30カ国以上で実施

DEKA Research & Development(外部)
ディーン・ケーメンが設立した研究開発企業。セグウェイをはじめとする革新的な医療機器や技術を開発

【参考動画】

【編集部後記】

この記事を読んで、皆さんはどのような感想を持たれたでしょうか。IEEEの取り組みは、日本の超高齢社会にとっても重要な示唆を与えているように思います。特に、経験豊富なエンジニアの知見を若い世代に継承する「グループメンタリング」という手法は、日本の技術系企業でも応用できそうですね。また、エイジテック分野の技術革新について、皆さんの身の回りではどのような課題や可能性を感じられますか。ぜひSNSで、ご自身の経験や考えをお聞かせください。

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TaTsu
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