ーTech for Human Evolutionー

 Apple Pay等の非接触決済が進化|NFC Release 15で通信距離4倍

NFCフォーラム、NFC Release 15を正式発表|非接触決済の通信範囲が0.5cmから2cmへ4倍拡大 - innovaTopia - (イノベトピア)

NFCフォーラムは2025年6月17日、新しいNFC規格「NFC Release 15」を正式発表した。この規格は非接触接続の範囲を現在の0.5センチメートルから2センチメートルに拡張し、従来の4倍の距離での通信を可能にする。

この新しいNFC規格により、Apple PayやSamsung Galaxy Watchなどのモバイル決済やウェアラブルデバイスでの利用ははるかに容易になる。NFCフォーラムのエグゼクティブディレクターMike McCamonは、デバイスの位置合わせ精度要求を緩和し、接続開始を高速化すると述べた。

同規格はデジタルカーキー、モバイル交通カード、NFCペアリング対応ヘッドフォンにも適用される。NFCフォーラムの理事会はApple、Google、Huawei、Identiv、Infineon Technologies、NXP Semiconductors、Sony、STMicroelectronicsの8社で構成される。認証コンプライアンスは2025年秋から開始予定である。

From:文献リンクNew NFC standard will make contactless payments like Apple Pay much easier

【編集部解説】

NFC Release 15の発表は、単なる技術仕様の更新を超えた意味を持っています。この新規格が実現する「0.5cmから2cmへの4倍の通信距離拡張」は、数値以上のインパクトをもたらすでしょう。

技術的な革新とその意味

従来のNFC通信では、デバイス同士を極めて正確に位置合わせする必要がありました。特にApple WatchやSamsung Galaxy Watchのような小型デバイスでは、アンテナサイズの制約により接続の安定性に課題がありました。新規格では、この物理的制約が大幅に緩和されることになります。

興味深いのは、この技術進歩により「マルチパーパス・タップ」機能が最適化される点です。一回のタップで決済と同時にロイヤルティカードをスキャンするなど、複数のアクションを同時処理できるようになります。

産業への波及効果

NFC Release 15の影響は決済分野にとどまりません。デジタルカーキー、交通系ICカード、さらには家電製品との連携まで、あらゆるIoTデバイスとの接続性が向上します。特に注目すべきは、スマートフォンが決済端末として機能する技術の実用化が加速する点でしょう。

持続可能性への取り組み

新規格の重要な特徴として、NFC Digital Product Passport(DPP)標準への対応があります。これは欧州委員会が推進する環境・ライフサイクルデータの製品組み込み施策で、サステナビリティ分野でのNFC活用が本格化することを意味します。

技術仕様の標準化

現在でも2cm距離で動作するデバイスは存在しますが、今回の規格リリースにより、より多くのデバイスが標準に準拠し、相互運用性が確保されることになります。これは「Tech for Human Evolution」の理念を体現するものといえるでしょう。

長期的な展望

2025年秋から認証プロセスが開始される予定ですが、実際の製品への実装には時間を要すると予想されます。しかし、この技術革新は人間とテクノロジーの接点をより自然で直感的なものにし、デジタル体験の質を根本的に向上させる可能性を秘めています。

NFCフォーラムの5年ロードマップに沿った今回の発表は、単なる技術仕様の改良ではなく、コネクテッド社会の基盤インフラを再定義する重要な一歩として位置づけられるのです。

【用語解説】

NFC Release 15
NFCフォーラムが2025年6月17日に発表した最新のNFC規格である。従来の通信距離0.5cmから2cmへと4倍に拡張し、デバイス間の位置合わせ精度要求を緩和する技術仕様だ。

POS端末(Point of Sale terminal)
店舗での決済処理を行う端末装置である。クレジットカードや電子マネー、NFCを使った非接触決済に対応している。

NFC Digital Product Passport(DPP)
欧州委員会が推進する、製品の環境・ライフサイクルデータをNFCチップに組み込む施策である。持続可能な製品開発を支援する標準規格として位置づけられている。

マルチパーパス・タップ
1回のタップで決済とロイヤルティカードスキャンなど、複数のアクションを同時実行する技術である。NFC Release 15により最適化される。

【参考リンク】

NFCフォーラム公式サイト(外部)
NFC技術の標準化を行う国際団体の公式サイト。Apple、Google、Sony等の主要企業が理事会メンバーとして参加している。

Apple Pay公式サポートページ(外部)
Appleが提供するApple Payの使用方法を解説する公式サポートページ。店舗、アプリ内、Web上での決済方法を詳細解説。

Samsung Galaxy Watch公式サイト(外部)
Samsungのスマートウォッチ製品ラインナップを紹介する公式サイト。Galaxy Watch6、Galaxy Watch FE等の製品仕様を確認可能。

【参考動画】

【参考記事】

NFC Forum Announces NFC Release 15 – Business Wire(外部)
NFCフォーラム公式発表記事。通信距離4倍拡張、DPP標準対応、認証開始時期について詳細に報じている。

Next NFC Release Will Quadruple Range of Contactless Connections(外部)
MacRumorsによるNFC Release 15解説記事。iPhoneとApple Watchでの性能向上、マルチパーパス・タップ機能を報じている。

NFC Release 15 extends range to grow use cases – eeNews Europe(外部)
eeNews EuropeによるNFC Release 15技術解説記事。通信距離拡張の技術的詳細と産業への影響を分析している。

【編集部後記】

NFC Release 15の発表を受けて、皆さんはどのような変化を期待されますか?私たちの日常で最も身近なNFC体験といえば、やはりスマートフォンでの決済シーンでしょう。コンビニのレジで「あれ、反応しない」と焦った経験は、きっと多くの方がお持ちではないでしょうか。今回の技術進歩により、そうした小さなストレスが解消される一方で、新たな可能性も広がります。皆さんは、スマートフォンが決済端末になる未来をどう想像されますか?また、NFCの活用範囲が広がることで、どのような新しい体験を期待されているでしょうか?ぜひ、SNSでご意見やご感想をお聞かせください。

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TaTsu
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