Last Updated on 2025-01-07 11:55 by admin
ハリウッドの大作映画「Wicked」の制作において、Apple Vision Proが新たなクリエイティブツールとしての価値を実証した。
革新的な制作ワークフロー
Vision Proの空間コンピューティング機能により、従来のポストプロダクション環境に大きな変革がもたらされている。チュウ監督は自宅から巨大な仮想スクリーンを通じて映像を確認し、Evercastプラットフォームを介して世界中のVFXチームとシームレスなコラボレーションを実現した。
スペック
- 23万画素のマイクロOLEDディスプレイ
- 4K HDR対応の没入型ビューイング
- リアルタイムでの描画・編集機能
- 3D空間でのマルチタスク環境
プロジェクトスケール
本作は制作費1億6000万ドル規模のブロックバスター作品で、興行収入は約6億5000万ドルを突破。Apple TV+での配信開始に伴い、Vision Pro所有者向けに3D版コンテンツも提供している。
from Wicked’s Director Used An Apple Vision Pro In The Editing Process
【編集部解説】
Apple Vision Proが映画制作のワークフローに革新をもたらしています。従来のビデオ会議システムとは一線を画す空間コンピューティング機能により、クリエイティブな表現の可能性が大きく広がりました。
特筆すべきは、Evercastとの組み合わせによる効率的な遠隔コラボレーションです。4K/60fpsのストリーミングに対応し、フレーム単位での注釈付けが可能となっています。
実は、チュウ監督がVision Proを活用し始めたきっかけは、ロサンゼルスの洪水により編集室に行けなくなったことでした。この予期せぬ事態が、新しい制作手法の発見につながったのです。
Vision Proの活用により、世界中に散らばるVFXチームとのリアルタイムでのコミュニケーションが実現。試写室よりも、大きな仮想スクリーンで映像を確認できるため、細部まで目が行き届くようになりました。
チュウ監督は「スティーブ・ジョブズはコンピュータを心の自転車と呼んだが、これは想像力のためのロケットシップだ」と評価しています。この言葉は、Vision Proが単なる作業効率化ツールではなく、クリエイティブな表現を拡張する可能性を示唆しています。
ただし、3,499ドルという価格設定から、ティム・クックCEOも認めるように、現時点では「アーリーアダプター向け製品」という位置づけです。しかし、映画制作やコンテンツ制作の現場では、その投資に見合う生産性の向上が期待できます。
将来的には、独立系映画制作者にとっても、高品質な映像制作を実現する重要なツールとなる可能性を秘めています。特に、複数の関係者が異なる場所から同時に作業を行う必要がある領域での活用が有望視されています。