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ーTech for Human Evolutionー

Counter-Strike 1.6がVRで復活!Team BeefがQuest・Pico対応の非公式ポート「CSVR」開発中

 - innovaTopia - (イノベトピア)

モッディンググループTeam Beefが、Counter-Strike 1.6の非公式VRポートをMeta QuestおよびPico 4向けに開発中であることを5月28日(現地時間、日本時間5月29日)に発表した。

Team Beefは2019年に設立されたモッディンググループで、これまでにHalf-Life、Quakeシリーズ、Doomシリーズ、Tomb Raiderなど多数のクラシックゲームをスタンドアロンVRプラットフォームに移植してきた実績を持つ。同グループのVRポートは累計数百万回ダウンロードされている。

今回発表されたCSVRと呼ばれるCounter-Strike 1.6のVRポートは、独立開発されたゲームエンジンXash3D FWGSの最新バージョンと、ヴェラロンが開発したマルチプラットフォームクライアントを基盤として構築されている。対応機種はQuest 3、Quest 3S、Quest 2、Quest Pro、Pico 4 Ultra、Pico 4、Pico Neo 3となっている。

このVRポートの特徴として、VRプレイヤーとPCプレイヤー間のクロスプラットフォームマルチプレイヤー対戦が可能となる。VRユーザーはヘッドセット内から直接サーバーの作成、ボットの生成、キーボードの使用が行える。最終版では完全な6自由度モーションコントロールのサポートも予定されているが、現在のアルファ版ではまだ実装されていない。

リリーススケジュールについて、Team BeefのPatreon支援者向けに「まもなく」アーリーアクセス版が提供される予定である。Patreonでの支援額は月額6.50ドルとなっている。その後、完全版がSideQuestで無料配布される予定だが、プレイにはCounter-Strike 1.6の正規版の所有が必要となる。

Team Beefは現在、de_trainマップでのゲームプレイティーザーと、人気マップDust 2でのマルチプレイヤーテスト動画を公開している。現在の実装では、リロード動作はボタン押下で行われ、武器購入は従来のPC版と同様のショップウィンドウが表示される仕様となっている。

from:
 - innovaTopia - (イノベトピア) ‘Counter-Strike’ is Coming to Quest & Pico 4 in Unofficial Team Beef VR Port | Road to VR

【編集部解説】

Team BeefによるCounter-Strike 1.6のVRポート開発は、単なるレトロゲームの移植を超えた、VRゲーミング業界における重要な技術的マイルストーンです。このプロジェクトが注目される理由は、25年前のゲームエンジンを現代のスタンドアロンVRプラットフォームで完全に動作させる技術的な挑戦にあります。

Xash3D FWGSエンジンの活用は特に興味深い技術選択です。このエンジンはValveのGoldSrcエンジンとの90%の互換性を持ちながら、オープンソースライセンスで配布されているため、法的な問題を回避しつつ商用ゲームの移植を可能にしています。Team Beefはこの技術的な抜け道を巧妙に活用し、著作権侵害のリスクを最小限に抑えながら、ファンが長年待ち望んでいた体験を実現しようとしています。

クロスプラットフォーム対応の実装は、VRゲーミングの普及において極めて重要な要素です。VRプレイヤーとPCプレイヤーが同じサーバーで対戦できることで、VRユーザーの慢性的な問題である「プレイヤー不足」を解決できる可能性があります。これまでVR専用のマルチプレイヤーゲームは、ユーザーベースの小ささから持続的なコミュニティ形成に苦労してきました。

6DoFモーションコントロールの実装は技術的に非常に挑戦的です。Counter-Strikeのような精密な射撃が要求されるゲームでは、従来のマウス操作と同等の精度をVRコントローラーで実現する必要があります。現在のアルファ版ではボタン操作でリロードを行っていますが、最終版では物理的なリロード動作の実装が予定されており、これが成功すれば他のVRシューターゲームの開発にも大きな影響を与えるでしょう。

一方で、このプロジェクトには潜在的なリスクも存在します。非公式ポートという性質上、Valveからの法的措置の可能性は完全に排除できません。また、VRでの激しい動きによるVR酔いの問題や、長時間プレイによる身体的負担も考慮すべき要素です。

Team Beefの過去の実績を見ると、彼らのVRポートは累計数百万回ダウンロードされており、レトロゲームのVR化において確固たる地位を築いています。今回のCounter-Strike 1.6ポートが成功すれば、他の人気FPSゲームのVR化にも道筋をつける可能性があります。

長期的な視点では、このプロジェクトはVRゲーミングの新たな方向性を示唆しています。完全に新しいVRゲームを開発するのではなく、既存の人気タイトルをVR化することで、より多くのユーザーをVRプラットフォームに引き込む戦略が有効であることを証明するかもしれません。これは特に、VRヘッドセットの普及が期待される2025年以降において、業界全体の成長戦略に大きな影響を与える可能性があります。

【用語解説】

Xash3D FWGS
ValveのGoldSrcエンジンと高い互換性を持つオープンソースゲームエンジン。ハーフライフやカウンターストライクなどのクラシックゲームを現代のプラットフォームで動作させることが可能で、AndroidやLinuxなど多様なOSに対応している。

GoldSrcエンジン
1996年にValveが開発した3Dゲームエンジン。QuakeエンジンをベースにValveが大幅に改良したもので、ハーフライフ、カウンターストライク、チームフォートレスクラシックなどの名作FPSゲームの基盤となった。

6DoF
3次元空間における物体の動きを表現する概念で、前後・左右・上下の移動3軸と、ピッチ・ヨー・ロールの回転3軸の合計6つの自由度を指す。VRにおいては、ユーザーの頭や手の位置と向きを正確に追跡するために必要な技術。

SideQuest:
Meta Quest向けの非公式アプリストア。公式のMeta Storeでは配布されていないアプリやゲームをサイドローディング(外部からのインストール)で導入できるプラットフォーム。

【参考リンク】

Team Beef Patreon(外部)Team BeefのPatreonページ。月額6.50ドルの支援でCSVRを含む開発中のVRポートのアーリーアクセス版を体験できる。

Xash3D FWGS GitHub(外部)Xash3D FWGSエンジンの公式GitHubリポジトリ。オープンソースで開発されており、ソースコードやドキュメントが公開されている。

Velaron GitHub(外部)VelaronのGitHubページ。CSVRで使用されているマルチプラットフォームクライアントの開発者で、関連プロジェクトが確認できる。

【参考動画】

【参考記事】

‘Counter-Strike’ 1.6 Is Getting an Unofficial VR Port by Team Beef | Vice
ViceによるCSVR開発に関する詳細記事。Team Beefの過去の実績やVRポートの技術的背景、Patreon支援額について詳しく解説している。

An unofficial VR port of Counter-Strike 1.6 is coming to Meta Quest | Mixed News
ViceによるCSVR開発に関する詳細記事。Team Beefの過去の実績やVRポートの技術的背景、Patreon支援額について詳しく解説している。

Team Beef Is Unofficially Porting Counter-Strike To Quest & Pico 4 | UploadVR
ViceによるCSVR開発に関する詳細記事。Team Beefの過去の実績やVRポートの技術的背景、Patreon支援額について詳しく解説している。

【編集部後記】

Counter-Strike 1.6がVRで蘇るなんて、25年前にこのゲームに夢中になっていたゲーマーたちには夢のような話です。de_dust2で繰り広げられた数々の名勝負が、今度は自分の手でAKを構えて体験できるかもしれません。Team Beefの技術力には毎回驚かされますが、今回のクロスプラットフォーム対応は特に革新的で、VRプレイヤーがPCの猛者たちと真っ向勝負できるのは胸が熱くなります。6DoF対応が完成すれば、リロードやグレネード投擲の物理的な動作も加わり、まさに「本物のカウンターテロリスト」になった気分を味わえそうです。アーリーアクセスが待ち遠しくて仕方ありません!

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乗杉 海
新しいものが大好きなゲーマー系ライターです!