Last Updated on 2025-06-20 18:04 by admin
Apple が2025年6月9日(現地時間、日本時間6月10日)のWWDC 2025で発表したvisionOS 26により、Vision Pro で「ハイエンドなiPadゲーム」の動作が可能になる。
Apple Vision Pro は理論上ほとんどすべてのiPadアプリを実行できるが、これまで『アサシン クリード ミラージュ』や『バイオハザード ヴィレッジ』などのAAAゲーム開発者は、Vision Pro向けの提供を見送ってきた。Vision Pro にはM2チップが搭載されているものの、visionOSとその機能による追加負荷により、高負荷なタイトルの処理が困難だった。
開発者が直面する主要な問題の一つは、visionOSの利用可能メモリの少なさである。しかし、visionOS 26ではプラットフォームのメモリ上限が引き上げられ、Apple はこれによって「ハイエンドなiPadゲーム」がVision Pro で動作可能になると主張している。
同時に、ソニーのPlayStation VR2 Senseコントローラーの公式サポートも発表された。このコントローラーは6自由度の高性能モーショントラッキング、指の接触検知、バイブレーション機能を提供し、より没入感のあるゲーミング体験を実現する。
また、Logitech Museスタイラスの対応により、3D空間での精密な描画と共同作業が可能になる。ハンドトラッキングも最大3倍高速化され、ゲームの応答性が大幅に向上する。
visionOS 26の正式リリースは2025年後半に予定されている。
from:Apple Vision Pro Will Get “High-End iPad Games” Later This Year | UploadVR
【編集部解説】
WWDC 2025で発表されたvisionOS 26は、Apple Vision Proにとって真の転換点となる重要なアップデートです。これまでVision Proは高性能なM2チップを搭載しながらも、メモリ制約によりAAAゲームの動作が制限されていました。
今回のメモリ上限引き上げは、技術的な制約を解決する根本的な改善といえます。visionOSは空間コンピューティング、リアルタイムハンドトラッキング、パススルー映像処理など多くの処理を同時実行するため、従来のiPadよりも多くのシステムリソースを消費していました。
PlayStation VR2 Senseコントローラーの公式サポートは、Appleの戦略転換を示す象徴的な出来事です。これまでAppleは独自の操作方法にこだわってきましたが、ゲーミング市場での競争力向上のため、サードパーティ製コントローラーを受け入れる方針に転換しました。
6Dofトラッキング、指の接触検知、バイブレーション機能を備えたこのコントローラーにより、従来の手や目による操作では困難だった精密なゲーム操作が可能になります。特にFPSやアクションゲームにおいて、操作性の飛躍的向上が期待されます。
Logitech Museスタイラスの対応も見逃せません。3D空間での精密な描画や設計作業が可能になることで、クリエイティブ分野での活用範囲が大幅に拡大します。建築設計、工業デザイン、アート制作など、専門分野での実用性が格段に向上するでしょう。
ハンドトラッキングの3倍高速化は、ゲーミング体験の応答性を劇的に改善します。従来は手の動きの検出に遅延があったため、リアルタイム性が要求されるゲームでは不満が残っていました。
この技術的進歩により、Meta Quest 3やPICO 4との競争において、Vision Proは初めて真の対抗馬となります。これまでVRゲーミング市場ではMetaが圧倒的優位に立っていましたが、Appleの参入により市場構造が大きく変化する可能性があります。
長期的には、この技術的基盤が次世代Vision Proや廉価版モデルの開発に活用されることが予想されます。空間コンピューティング市場の本格的な普及に向けて、Appleが重要な一歩を踏み出したといえるでしょう。
【用語解説】
visionOS 26:
2025年6月9日のWWDC 2025で発表されたApple Vision Pro向けの最新オペレーティングシステム。メモリ上限引き上げ、PlayStation VR2コントローラー対応、ハンドトラッキング3倍高速化などの機能を搭載。
PlayStation VR2 Senseコントローラー:
ソニーのVRヘッドセット用コントローラーで、visionOS 26で公式サポート。6自由度の高性能モーショントラッキング、静電容量式指タッチ検出、バイブレーション機能を提供。
6DoF:
3次元空間における物体の位置と回転を表現する6つのパラメータ。前後・左右・上下の移動(3軸)と、ピッチ・ヨー・ロールの回転(3軸)を組み合わせた追跡方式。
Logitech Muse:
visionOS 26で新たにサポートされる3D空間対応スタイラス。精密な描画、彫刻、設計作業を空間内で実行可能にする入力デバイス。
ハンドトラッキング:
手の動きや指の位置をリアルタイムで検出・追跡する技術。visionOS 26では従来比3倍の高速化を実現し、ゲームの応答性が大幅向上。
空間コンピューティング:
現実空間とデジタル空間を融合させ、3次元環境でのコンピューター操作を可能にする技術概念。ARやVR技術を活用した次世代コンピューティングパラダイム。
メモリ上限:
オペレーティングシステムがアプリケーションに割り当て可能な最大メモリ容量。visionOS 26では引き上げられ、高負荷ゲームの動作を実現。
【参考リンク】
Apple Vision Pro – Apple(日本)(外部)Apple Vision Proの公式製品ページ。空間コンピューティング体験、最新機能、技術仕様などの詳細情報を提供している。
visionOS – Apple Developer(外部)Apple Vision Pro向けアプリ開発のための公式開発者サイト。visionOSのフレームワーク、API、開発ガイドラインを提供。
visionOS 26、Apple Vision Proにパワフルな新しい空間体験を導入 – Apple Newsroom(外部)visionOS 26の公式発表記事。新機能の詳細、PlayStation VR2コントローラー対応、企業向けAPI強化について解説。
【参考動画】
【編集部後記】
個人的に最も興奮するのは、これがVRゲーミングの新しいスタンダードを作る可能性があることです。Meta Quest 3の独壇場だったハイエンドVRゲーミング市場に、Appleが本格参入する準備が整ったということですから。『アサシン クリード ミラージュ』や『バイオハザード ヴィレッジ』といったAAAタイトルが、Vision Proの美しいディスプレイで楽しめる日が来るなんて、1年前には想像もできませんでした。
特に注目したいのは、Logitech Museスタイラスとの組み合わせです。ゲーミングだけでなく、3D制作やデザイン分野での活用も視野に入れているAppleの戦略が見えてきます。これは単なるゲーム機ではなく、真の意味での「空間コンピューター」への進化を感じさせます。
2025年後半のvisionOS 26正式リリースまで、まだ数ヶ月ありますが、その間にどんなゲームタイトルが対応を発表するのか、今から楽しみで仕方ありません。VRゲーミングの未来が、また一歩明るくなったと感じています。