Apple、2027年にカメラ付きAirPodsとApple Glassesを投入か?|AIウェアラブル元年の全容

[更新]2026年6月19日

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Appleの次の一手は、スマートフォンの「外側」にあります。2027年、同社は耳と目にAIを宿らせる2つのウェアラブルを投入しようとしています。カメラ付きAirPodsは周囲の世界をSiriの視覚に変え、Apple Glassesは日常のメガネをAIの窓口に変える。それはデバイスの進化ではなく、人とAIの関係そのものの更新です。


Bloombergのマーク・ガーマン氏は、ポッドキャスト「TBPN」への出演で「2027年はAppleの歴史上、最大の製品年になる」と発言した。現時点の噂によると、2027年はAppleが初めて6モデルのiPhoneを同一年度に投入する年になる可能性がある。2027年前半にはiPhone 18・iPhone 18eの2モデル、秋にはiPhone Air 2・iPhone 20 Pro・iPhone 20 Pro Max・折りたたみiPhone第2世代(仮称)の4モデルが予定されているとされる(モデル構成は報道により諸説あり)。

20周年記念となるProモデルは四辺が湾曲したベゼルレスに近いデザインを採用する見込みだ。AIウェアラブルとして、カメラ付きAirPodsとApple Glassesも2027年に登場するとガーマン氏は報じている。そのほか、ロボットアームを搭載した卓上型ホームハブ(2027年投入予定。ただし2028年にずれ込む可能性もガーマン氏が示唆している)、M6チップ搭載のiPad Pro・MacBook Air・複数のMac、新型Apple Watchなども来年投入される見通しだ。

From: 文献リンクNext year to be Apple’s ‘biggest product year’ ever, here’s what’s coming – 9to5Mac

【編集部解説】

2027年がAppleにとって特別な年になりそうだという観測が、にわかに現実味を帯びてきました。Bloombergのマーク・ガーマン氏が「Appleの歴史上、最大の製品年」と表現した2027年のラインナップには、iPhoneの6モデル同時投入やMacの刷新が並びますが、その中でも際立つのが、カメラを搭載したAirPodsとApple Glassesという2つのAIウェアラブルです。この2製品は単なる機能拡張ではなく、Appleがスマートフォン中心のエコシステムをどこへ向かわせるかを示す、戦略的な布石として読むことができます。

カメラ付きAirPodsは、ガーマン氏の報道によれば2027年後半の登場が見込まれており、ブランド名として「AirPods Ultra」が検討されているとされます。搭載されるのは、写真や動画を撮影するための一般的なカメラではありません。左右のイヤーバッドにそれぞれ内蔵された赤外線カメラが、ユーザーの周囲の環境をリアルタイムで解析し、その情報をSiriに送る仕組みです。たとえば冷蔵庫の前に立った状態で「今夜の夕食に何が作れる?」と尋ねると、Siriが目の前の食材を認識して提案を返す、といった使い方が想定されています。コンテキスト対応のリマインダーや徒歩ナビゲーションへの応用も検討されているといいます。

ここで重要なのは、この製品がAppleの「Visual Intelligence」戦略の延長線上にある点です。iPhoneのカメラを通じて視覚的な文脈をAIが解釈するこの機能を、耳に装着するデバイスへと移植することで、iPhoneをポケットに入れたままでも周囲の世界とAIがつながり続けるループを作ろうとしているとも読めます。AIウェアラブルとして考えるならば、使い方を「教える」必要がなく、装着するだけで体験が始まるという設計思想が見えます。

Apple Glassesについては、内部コード名「N50」で開発が進んでおり、当初2026年を目指していた発売が2027年後半に後ろ倒しになったと報じられています。ディスプレイは搭載されない見込みであり、完全なAR体験を提供するものではなく、カメラ・スピーカー・マイク・Siriを組み合わせた「AI対応の日常メガネ」という位置づけになりそうです。価格については確認できる公式情報はなく、現時点では不明です。

こうした動きの背景には、スマートグラス市場で先行するMetaの存在があります。EssilorLuxotticaの発表によれば、Ray-Ban MetaシリーズのAIグラスは2025年に700万本以上を販売し、2023〜2024年の累計200万本から急増しました。Counterpoint Researchによれば、2025年上半期のスマートグラス市場全体は前年同期比110%成長し、そのうちMetaが約73%のシェアを占めているとされます。Appleが参入するタイミングとしては、市場がすでに立ち上がり始めたタイミングといえます。

ただし、いくつかの留保点も整理しておく必要があります。カメラ付きAirPodsは、もともと2026年の発売が検討されていたところ、AIソフトウェアの課題と視覚認識モデルの訓練に必要な時間から、2027年へと計画が後退した経緯があります。Apple Glassesも同様に、開発の難航が繰り返し報じられてきました。ガーマン氏の予測精度は概して高いとはいえ、2027年という時期はあくまで現時点での観測です。また、カメラを通じてユーザーの視覚情報が常時処理されることへのプライバシー上の懸念は、製品が市場に出た際に避けて通れない議論になるでしょう。

iPhoneが「ポケットの中のコンピューター」だったとすれば、Appleが次に目指しているのは「身体に溶け込んだAIとの接点」なのかもしれません。2027年のウェアラブル群は、その問いへの最初の本格的な回答になります。

【用語解説】

Visual Intelligence(ビジュアルインテリジェンス)
Appleが提供するAI機能のひとつ。カメラを通じて捉えた映像や物体を解析し、Siriがその文脈に応じた情報や提案を返す仕組み。iPhone 15 Pro以降に搭載。AirPodsへのカメラ搭載は、この機能を耳装着デバイスへ拡張するものと位置づけられる。

AirPods Ultra(エアポッズウルトラ)
カメラ搭載のAirPodsに検討されているブランド名。現行のAirPods Pro 3(249ドル)を上回る価格帯になるとされており、既存製品との差別化を図るために「Ultra」の名称が使われる可能性があるとガーマン氏が報じている。確定情報ではない。

N50
Appleが開発中とされるスマートグラスの社内コード名。ディスプレイを持たないAI対応グラスとして設計されており、2027年後半の発売を目標としているとされる。

アンビエントコンピューティング(Ambient Computing)
コンピューターの存在を意識せずに、日常の中でシームレスにAIやデジタル機能を利用できる状態・環境のこと。スマートフォンを取り出す動作を省き、身体に装着したデバイスが周囲の状況を解釈して応答するウェアラブルAIの設計思想に通じる概念。

【参考リンク】

Apple(外部)
AppleのAirPodsおよびApple Intelligence関連製品の公式情報ページ。AirPods Pro 3の仕様・価格・対応機能を確認できる。

EssilorLuxottica(外部)
Ray-Ban Metaスマートグラスの製造・販売を担うアイウェア大手。2025年の販売台数など市場の一次データが決算報告で公開されている。

【参考記事】

Apple’s Camera-Equipped AirPods Coming in Late 2027 Alongside 20th Anniversary iPhone|MacRumors(外部)
ガーマン氏のPower Onニュースレターに基づく報道。カメラ付きAirPodsが2027年後半、20周年記念iPhoneと同時期に登場するとされる詳細を伝える。

Gurman: Apple AirPods with built-in camera may arrive in late 2027|GSMArena(外部)
カメラ付きAirPodsのインジケーターライト仕様、コンテキスト対応リマインダーや徒歩ナビ機能の検討状況など、技術仕様の詳細を伝える。

‘AirPods Ultra’ Are Nearly Ready With a Key New Feature|MacRumors(外部)
赤外線カメラの左右両AirPods搭載、LEDインジケーター、「AirPods Ultra」ブランド検討について報じた先行記事。

Apple Smart Glasses: Release date, features, design and price rumors|Macworld(外部)
Apple Glassesの機能・デザイン・発売時期に関する噂をまとめた記事。ディスプレイなし構成、カメラ・Siri統合の詳細を整理している。

Ray-Ban maker EssilorLuxottica says it more than tripled Meta AI glasses sales in 2025|CNBC(外部)
EssilorLuxotticaの2025年決算に基づく一次報道。Ray-Ban MetaのAIグラス販売数が700万本超に達したことを伝える。

Global Smart Glasses Shipments Soared 110% YoY in H1 2025|Counterpoint Research(外部)
2025年上半期のスマートグラス市場動向。前年同期比110%成長、Metaのシェア73%を示す調査データ。

【関連記事】

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【編集部後記】

かつてiPhoneは、電話・カメラ・インターネットを一つに束ねることで、それまでの「道具の文法」を書き換えました。ポケットの中に収まるガラスの板が、私たちの行動様式を根本から変えるまでに、さほど時間はかかりませんでした。カメラ付きAirPodsとApple Glassesが実現しようとしているのは、その次の段階です。AIを道具として使うのではなく、AIを感覚器官の延長として身体に組み込む。スマートフォンを「取り出す」という動作すら省いた先に、どんな体験が待っているのかは、まだ誰にも分かりません。便利か不便かではなく、どこまで受け入れるかという問いが、私たちに静かに突きつけられています。

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乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。