AIエージェントが社内資料や業務システムを扱うには、能力だけでなく安全な接続経路と権限管理が欠かせません。GMOペパボのLinux対応とゼロトラスト連携は、AIを実務へつなぐ際に何を整えるべきかを示しています。
GMOペパボは2026年8月3日、「ロリポップ!ゼロトラストリンク byGMOペパボ」のLinux版クライアントを提供開始した。管理者権限を必要としないユーザースペースモードに対応し、サーバーやコンテナにも導入できる。「ロリポップ!AIエージェントクラウド byGMOペパボ」との連携により、クラウド上のAIエージェントが許可された社内PCや業務システムへ接続可能になる。
ESP32にも実験的に対応するが、動作保証とサポートの対象外だ。料金は無料プランと、1ユーザー月額1,200円(税込)のプランを用意する。

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「ロリポップ!ゼロトラストリンク byGMOペパボ」、AIエージェントが安全につながるLinux版クライアントを提供開始
【編集部解説】
今回の発表で重要なのは、Linuxに対応したこと自体よりも、クラウド上で稼働するAIエージェントを、社内PCやファイルサーバー、開発環境へ接続できる仕組みが用意された点です。
「ロリポップ!AIエージェントクラウド byGMOペパボ」では、OpenClaw、Hermes Agent、NanoClawをブラウザ上の操作で起動でき、AIエージェントをクラウド上で24時間稼働させられます。月額料金は1,200円で、テスト用のLLM無料枠も付属しています。
しかし、AIエージェントを起動しただけでは、社内に保存された資料や開発中のシステムを利用できません。インターネット側から社内環境へ接続するためにポートを公開したり、AIエージェントへ共通の資格情報を渡したりすれば、不正アクセスや認証情報の管理が新たな課題になります。GMOペパボは、この接続部分を「ロリポップ!ゼロトラストリンク byGMOペパボ」で担う構成を示しました。
連携後は、クラウド上のAIエージェントをゼロトラストネットワークへ直接参加させ、許可した端末やシステムだけへアクセスさせられます。どのAIエージェントがどこへ接続できるかは、Web管理画面から設定・変更できます。
これは、AIエージェントへ社内ネットワーク全体を開放するのではなく、業務に必要な接続先だけを与えるという設計です。AIエージェントを単なるクラウドサービスとして扱うのではなく、人やPCと同じように、識別して権限を設定すべきネットワーク参加者として扱う思想が読み取れます。
「ロリポップ!ゼロトラストリンク」は、端末同士をWireGuardによる暗号化されたP2Pメッシュで接続し、アクセスルールによって「誰が、何に接続できるか」を設定します。ルーターのポート開放や証明書管理を必要とせず、既存の社内LANやNASへ接続するサブネットルーターも提供しています。
新しいLinux版クライアントはCLI形式で、管理者権限を必要としないユーザースペースモードに対応しています。そのため、権限が制限されたサーバーやコンテナなど、AIエージェントが稼働する環境にも導入しやすくなっています。認証にはブラウザを併用するデバイスフローを利用でき、事前発行トークンによる認証は近日提供予定です。
Linux上で独自に構築したAIエージェントなども、Linux版クライアントを利用できる可能性があります。ただし、具体的な対応範囲、対応ディストリビューション、必要なシステム要件は今回の発表では明示されていないため、導入時には公式ドキュメントの確認が必要です。
小規模な検証は無料、企業運用には今後提供予定の機能もある
「ロリポップ!ゼロトラストリンク」のフリープランは最大6ユーザーまで無料で、デバイス数に制限はありません。スタンダードプランは1ユーザー当たり月額1,200円(税込)で、ユーザー数は無制限です。Google Workspaceアカウントでフリープランを利用する場合は30日間のトライアルとなり、継続利用には有料プランへの変更が必要です。
現時点ではGoogle SSOに対応しています。Microsoft Entra IDやOktaなどへのSSO連携拡充と、SCIM連携、管理操作ログ、AIエージェントと人間の操作を区別する監査ログなどは今後の提供予定です。
そのため、個人開発や小規模チームがAIエージェントと社内端末の接続を試す入口は用意された一方、既存の企業IdPとの連携や詳細な操作証跡が求められる組織では、予定されている管理機能の提供時期と内容を確認する必要があります。
今回の発表は、AIエージェントに業務データを渡す方法を示した段階であり、企業向けのガバナンス機能には、今後提供予定の項目が残っています。
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【編集部後記】
Linux版にも対応したことで、利用できる環境が大きく広がった点は良いと感じます。これまで導入が難しかったサーバーやコンテナ環境でも、選択肢として検討しやすくなりそうです。
OSの違いによって利用者が限定されにくくなることは、サービス普及の面でも重要です。特に開発者やインフラ担当者にとっては、既存環境を活かしやすい点が魅力でしょう。
さまざまな環境のユーザーが実際に手に取り、試せるようになることに期待したいです。
AIエージェントを業務で使うための入口が、少しずつ広がっていると感じました。
【用語解説】
ゼロトラスト
社内ネットワークからの接続も無条件には信頼せず、利用者や端末を確認したうえで、必要な範囲だけアクセスを許可するセキュリティの考え方。
ユーザースペースモード
OSの管理者権限を使わず、一般ユーザーの権限内でネットワーク機能などを動作させる方式。権限が制限されたサーバーやコンテナへの導入に適した構成。
CLI(Command Line Interface)
画面上のボタンではなく、文字によるコマンド入力でソフトウェアを操作する方式。今回提供されたLinux版クライアントの操作形式。
デバイスフロー認証
入力機能が限られた端末やCLIから認証を開始し、別のブラウザでログインと許可を行う認証方式。
WireGuard
端末間の暗号化通信に使用されるオープンソースの通信プロトコル。ロリポップ!ゼロトラストリンクでは、端末同士を直接つなぐP2Pメッシュ通信に使用。
ACL(Access Control List)
利用者、端末、AIエージェントごとに、接続を許可するシステムや通信先を指定するアクセス制御の設定。
ESP32
Wi-FiやBluetoothの通信機能を備え、センサーやカメラ、自作ロボットなどに利用されるマイコン。今回の対応は実験的な提供で、動作保証とサポートの対象外。
【参考リンク】
ロリポップ!ゼロトラストリンク byGMOペパボ(外部)
料金プラン、対応OS、ネットワーク構成、アクセスルール、提供予定の法人向け管理機能を掲載する公式サイト。
ロリポップ!AIエージェントクラウド byGMOペパボ(外部)
OpenClaw、Hermes Agent、NanoClawをクラウド上で稼働させるサービスの公式サイト。料金、対応機能、外部ツールとの連携方法を掲載。
GMOペパボのAI機能・サービス紹介ページ(外部)
ロリポップ!、ムームードメイン、カラーミーショップ、SUZURIなどで提供するAIエージェント対応機能の一覧。
【参考記事】
OpenClawを専門知識なしで利用可能に!「ロリポップ!AIエージェントクラウド byGMOペパボ」を提供開始|GMOペパボ(外部)
AIエージェントクラウドの提供開始時の公式発表。独立したクラウド環境、24時間稼働、外部AIモデルのAPIキーを登録するBYOK方式、月額料金などの説明。
Agent Ready:技術部が挑むAIエージェント前提の技術基盤づくり|Pepabo Tech Portal(外部)
GMOペパボ技術部が掲げる2026年方針と、AIエージェントを前提としたインフラ、データ基盤、社内IT整備の背景を解説した公式技術記事。


















