Linux、北米デスクトップ市場でシェア10%突破|Windows一強に変化の兆し

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Linuxの北米デスクトップ市場シェアが、Statcounterで初めて10%を超えました。ただし、この数字は利用者数そのものではありません。Windows中心だった市場に何が起きているのか、統計の読み方とともに整理します。


ウェブ解析サービスのStatcounterによると、北米のデスクトップOS市場でLinuxのシェアが初めて10%を超えた。元記事では、2026年5月の3.56%から2026年6月の10.61%へ上昇した一方、Windowsは64.66%から57.63%へ低下したとしている。

ただし、この統計は端末台数や利用者数ではなく、ウェブサイトのページビューを基にしたものだ。元記事は、Linux上で動作するボットのアクセスが影響した可能性も推測しており、今回の急増が実際の利用者移行をどこまで反映しているかは分からない。

From: 文献リンクLinux’s market share in North America has breached 10% for the first time, says StatCounter

【編集部解説】

今回の数字を読むうえで、最初に確認しておきたいのは、Statcounterが示しているのはPCの販売台数やOSのインストール台数ではないという点です。Statcounterは、世界100万以上のウェブサイトで発生する月間30億件以上のページビューを集計し、アクセスに使われたOSの割合を算出しています。利用者数ではなく、ウェブ上で観測された利用量に近い指標です。

2026年8月3日時点の公式データでは、2026年7月の北米デスクトップOS市場において、Windowsが57.54%、Linuxが10.65%、OS Xが21.14%、macOSが8.60%、Chrome OSが2.06%となっています。Linuxが2桁に達したことは確認できますが、「北米のPC利用者の10.65%がLinuxを使っている」と言い換えることはできません。

Statcounterは、ボットによるアクセスを識別して統計から除外するよう努めていると説明しています。また、公開後45日間は集計値を修正する場合があります。元記事が示した急変についても、実際のOS移行だけでなく、アクセス構成やOS判定、データ修正などの影響を考慮する必要があります。Windowsの減少分が、そのままLinuxへ移ったと断定できるデータではありません。

今回の統計でもWindowsは57.54%で最大のシェアを維持しています。したがって、Windowsの優位が失われた、あるいはLinuxが主流になったと評価するのは早計です。一方で、北米のデスクトップウェブ利用において、Windows以外のOSが無視できない規模で観測されていることも事実です。

背景の一つとして考えられるのが、Windows 10のサポート終了です。Microsoftは2025年10月14日にWindows 10の通常サポートと通常のセキュリティ更新を終了しました。Microsoftは、互換性のある端末をWindows 11へ更新するか、新しいWindows 11搭載PCへ交換するよう案内しています。また、条件を満たす端末向けには拡張セキュリティ更新プログラムも用意されています。

この出来事がLinuxのシェア上昇にどの程度影響したかを示す直接的なデータはありません。ただし、Windows 10を使用していた個人や組織が、OSの更新、PCの買い替え、別の環境への移行を検討する時期に入ったことは確かです。そこでWindows 11だけが自動的に選ばれるのではなく、用途によって複数のOSを比較する余地が生まれた可能性があります。これは統計から直接確認できる因果関係ではなく、編集部による状況整理です。

Linuxの10%突破を、長年語られてきた「Linuxデスクトップの年」の到来と結びつけるのは適切ではありません。今回確認できたのは、Statcounterが観測した北米のデスクトップウェブ利用でLinuxが2桁に達したということまでです。

それでも、この数字には意味があります。デスクトップOS市場をWindowsとその他に分けて考えるのではなく、利用目的や端末ごとに異なるOSが選ばれる市場として見る必要が出てきたためです。ブラウザやクラウドサービスを中心に作業する場合、OSを問わず利用できる作業も増えています。反対に、特定の業務ソフトや周辺機器を必要とする利用者にとっては、Windowsからの移行が難しい場合があります。

今後確認すべきなのは、Linuxが一時的に10%を超えたかどうかだけではなく、数カ月後も同じ水準を維持できるかです。さらに、別の調査でも同様の傾向が確認されるか、個人利用だけでなく企業や教育機関の導入にも広がるかによって、今回の変化の意味は変わります。

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【編集部後記】

Linuxは、これまでプログラマーや技術者が使うOSという印象が強くありました。
しかし、生成AIの普及によって、プログラミングの知識がない人でも開発に参加しやすくなっています。コードを書くハードルが下がれば、Linuxに触れる人も自然に増えていくのではないでしょうか。
AIによるプログラミングの民主化が、OS市場の選択肢を広げる可能性もありそうです。
今回の10%突破が一時的な変化なのか、今後の推移にも注目したいところです。


【用語解説】

Linux
Linuxカーネルを中核として構成されるオープンソースOSの総称。Ubuntu、Debian、Fedora、Linux Mintなど、用途や運営主体の異なる多数のディストリビューションが存在。

ページビュー
ウェブページがブラウザに読み込まれた回数。StatcounterのOS統計は、利用者数や端末台数ではなく、提携サイトで観測されたページビューを基に算出。

Windows 10のサポート終了
MicrosoftがWindows 10の通常サポートと通常のセキュリティ更新を終了したこと。終了日は2025年10月14日。条件を満たす端末向けには拡張セキュリティ更新プログラムも提供。

【参考リンク】

Statcounter Global Stats(外部)
ブラウザ、OS、検索エンジン、端末種別などの利用割合を、月間30億件を超えるページビューから集計する統計サービス。

The Linux Kernel Archives(外部)
Linuxカーネルの公式配布サイト。安定版や長期サポート版のソースコード、更新情報、関連文書を公開。

Microsoft Windows(外部)
Windowsの機能、対応PC、更新情報、Windows 11への移行方法などを案内するMicrosoft公式サイト。

【参考記事】

Desktop Operating System Market Share North America|Statcounter Global Stats(外部)
北米のデスクトップOS別シェアを月単位で確認できる公式統計。2026年7月はWindowsが57.54%、Linuxが10.65%と表示。

FAQ|Statcounter Global Stats(外部)
Statcounterのデータ収集方法や集計対象を説明する公式FAQ。100万以上のサイトで記録されたページビューから、ブラウザやOSを判定する仕組みを掲載。

Windows 10のサポート終了|Microsoft Learn(外部)
Windows 10 Version 22H2などのサポート終了日と、Windows 11へのアップグレードやPC交換に関するMicrosoftの案内。

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乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。

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