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YouTube Shorts、AI似姿生成機能を導入─OpenAI Soraに対抗か

[更新]2026年1月24日

YouTube Shorts、AI似姿生成機能を導入──OpenAI Soraに対抗か

YouTubeのCEOニール・モハンは1月21日、年次レターでクリエイターが自分自身の似姿を使用してShortsを作成できる新機能を発表した。

今年中に提供を開始する予定だ。この機能により、クリエイターはテキストプロンプトでゲームを制作したり、音楽を実験したりすることも可能になる。Shortsは現在1日平均2000億回の視聴回数を記録している。YouTubeは同時に、AI生成コンテンツにおける似姿の使用を管理する新しいツールもクリエイターに提供する。

一方で、昨年10月には資格のあるクリエイターに対して、顔や声などの似姿を特徴とするAI生成コンテンツを識別する似姿検出技術を展開済みだ。クリエイターはこの技術を使ってAI生成コンテンツの削除を要求できる。

YouTubeはまた、TikTokやInstagram Reelsで人気の画像投稿を含む新しいフォーマットでShortsを拡張する計画だ。

From: 文献リンクYouTube will soon let creators make Shorts with their own AI likeness

【編集部解説】

YouTubeがクリエイター自身のAI似姿を使ったShorts制作機能を発表した背景には、OpenAIのSoraアプリが2025年9月に導入した「cameos」機能への対抗という側面があります。Soraでは既にユーザーが自分の似姿を登録し、テキストプロンプトだけでAI生成動画に自分を登場させることが可能になっています。

この技術革新が実現するのは、クリエイターの「時間からの解放」です。従来は撮影、照明、編集に何時間もかかっていた動画制作が、テキスト入力だけで完結する可能性があります。特に1日2000億回という膨大な視聴数を誇るShortsにおいて、量産体制を整えたいクリエイターにとっては魅力的なツールとなるでしょう。

しかし、ここには大きなジレンマが存在します。YouTubeは同時に「AIスロップ」と呼ばれる低品質なAI生成コンテンツとの戦いを宣言しており、クリエイター自身がAIツールで量産したコンテンツが、結果的にプラットフォームの品質を下げるリスクもあります。

注目すべきは、YouTubeが2025年10月から導入している似姿検出技術との連携です。この技術はクリエイターの顔や声を無断で使用したディープフェイク動画を検出し、削除要請を可能にします。つまり「自分のAI似姿は自分だけが使える」という権利保護の仕組みを先に整備した上で、今回の機能を展開する戦略です。

HeyGenやSynthesiaといった既存のAIアバター生成ツールと比較すると、YouTubeの強みはプラットフォーム統合にあります。外部ツールで生成してアップロードする手間が不要になり、Shorts用に最適化された縦型動画を直接生成できる点は、クリエイターのワークフローを大きく変える可能性があります。

長期的には、この技術はクリエイターエコノミーの民主化を進める一方で、「本物の人間が出演する動画」の希少価値を高めるという逆説的な効果も生むかもしれません。視聴者がAI生成コンテンツに慣れた時、生身の人間が汗をかきながら撮影した動画は、より高い信頼性と感情的な価値を持つようになるでしょう。

【用語解説】

Shorts(ショーツ)
YouTubeが提供する60秒以内の縦型短尺動画フォーマット。TikTokやInstagram Reelsに対抗して2020年に開始されたサービスで、スマートフォンでの視聴に最適化されている。

AIスロップ(AI slop)
AI生成による低品質で反復的なコンテンツを指す俗語。スパムやクリックベイトと同様に、プラットフォームの品質を低下させる要因として問題視されている。

ディープフェイク(Deepfake)
AIを使って人物の顔や音声を合成・置換する技術。本人の許可なく似姿を使用した偽動画を生成できるため、悪用のリスクが高い。

似姿検出技術(Likeness Detection Technology)
クリエイターの顔や声などの特徴をAIで識別し、無断使用されているコンテンツを検出する技術。YouTubeが2025年10月から資格のあるクリエイター向けに展開している。

クリエイターエコノミー
個人クリエイターがデジタルプラットフォーム上でコンテンツを制作・配信し、収益を得る経済圏のこと。YouTubeはその代表的なプラットフォームの一つである。

【参考リンク】

YouTube Shorts(外部)
YouTubeの短尺動画プラットフォーム。1日2000億回視聴されモバイルファーストの縦型動画フォーマットでクリエイター向けAIツールも充実

OpenAI Sora(外部)
テキストから動画を生成するAIモデルとアプリ。2025年9月リリースでユーザーの似姿を登録しAI動画に登場できるcameos機能搭載

HeyGen(外部)
AIアバター生成ツールの代表的サービス。顔写真から話すアバターを作成しテキストや音声入力で動画を生成できる企業向けツール

【参考記事】

YouTubers will be able to make Shorts with their own AI likenesses(外部)
The Verge報道。ニール・モハンCEOの年次レター基にYouTubeのAI似姿Shorts制作機能2026年導入を伝えAIスロップ対策にも言及

YouTube to match OpenAI with AI likeness feature(外部)
TechXplore記事。YouTubeの新機能がOpenAI Soraのcameos機能への対抗策と指摘し両プラットフォームの競争関係を分析

OpenAI is launching the Sora app, its own TikTok competitor(外部)
OpenAI Soraアプリ2025年9月ローンチ時の詳細を伝えるTechCrunch記事。ユーザーが似姿使いAI生成動画作成できる機能説明

YouTube’s AI ‘likeness detection’ tool is searching for deepfakes(外部)
2025年10月導入の似姿検出技術を報じるThe Verge記事。クリエイターの顔や声の無断使用ディープフェイク検出し削除要請可能にする仕組み解説

35 YouTube Shorts Statistics For 2026 (Growth & Trends)(外部)
YouTube Shortsの統計データまとめ記事。視聴回数ユーザー数収益化動向などShortsの成長トレンドを数値で示している

【編集部後記】

AIが自分の代わりに動画を作ってくれる未来は、私たちにとって解放なのでしょうか、それとも何か大切なものを失う瞬間なのでしょうか。クリエイターが時間を節約できる一方で、視聴者として私たちは「本物の人間が撮影した動画」にどれほどの価値を見出すようになるのか、興味深いところです。

あなたが好きなクリエイターのAI版が毎日投稿するようになったら、それを歓迎しますか?それとも、たまにしか投稿されない本人出演の動画を待ちたいですか?ぜひ皆さんの考えを聞かせてください。

投稿者アバター
TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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