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AI駆動のインタラクティブストーリーテリングプラットフォームを発表:Operative Games─500万ドルの資金調達も完了

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Last Updated on 2025-03-19 16:39 by admin

元Riot Gamesのシニアプロデューサーであるライアン・ダーシー氏とBlizzard Entertainmentのテクニカルディレクターであったデビン・カリッシュ氏が2022年に設立したスタートアップ企業Operative Gamesが、AI駆動のインタラクティブストーリーテリングプラットフォームを発表し、500万ドル(約7億5000万円)のシード資金調達を完了した。この資金調達はGriffin Gaming Partnersが主導し、1Up Ventures、Gaingels、Gutter Capitalが参加した。同社は現在12人のチームに成長し、Riot Games、Blizzard Entertainment、Telltale Gamesなどの企業での経験を持つスタッフが在籍している。

同社の技術は、プレイヤーの選択にリアルタイムで適応する動的なナラティブを作成することを目指しており、従来の分岐型ナラティブよりもパーソナライズされた魅力的なストーリーテリング体験を可能にする。AIを活用することで、人間の創造性とAIの能力を組み合わせた、より豊かで反応性の高いナラティブ体験を提供する。

Operative Gamesは2025年に最初のインタラクティブストーリー体験をリリースする予定で、最初はPCとモバイルプラットフォームをターゲットにしている。これらの体験はファンタジー、SF、ミステリーなど、様々なフィクションジャンルにまたがる予定だ。

from Operative Games unveils AI-driven interactive storytelling platform

【編集部解説】

今回のニュースで注目すべきは、Operative Gamesが発表したAI駆動のインタラクティブストーリーテリングプラットフォームです。元Riot GamesとBlizzard Entertainmentという大手ゲーム企業の経験者が設立した企業だけに、その技術力と創造性に期待が集まっています。

このプラットフォームの革新性は、従来のゲームストーリーテリングの限界を超えようとしている点にあります。一般的なゲームでは、開発者があらかじめ用意した選択肢と結末の中からプレイヤーが選ぶという「分岐型ナラティブ」が主流でした。しかし、選択肢が増えるほど開発コストが指数関数的に増大するという課題がありました。

Operative Gamesの技術は、AIを活用してプレイヤーの選択に応じたストーリーをリアルタイムで生成することで、この課題を解決しようとしています。ダーシーCEOが述べているように、「手作りのように感じられながらも、各プレイヤーに対して独自に反応するストーリー」を目指しています。

特筆すべきは、同社のアプローチが「人間の創造性とAIの能力のコラボレーション」を重視している点です。AIはあくまで人間のストーリーテラーを強化するツールとして位置づけられており、完全に自動化されたストーリー生成ではなく、人間の創造性とAIの処理能力を組み合わせることで、より豊かな物語体験を目指しています。

このような技術がゲーム業界にもたらす影響は計り知れません。プレイヤーごとにパーソナライズされた体験が可能になれば、ゲームの再プレイ性は大幅に向上します。また、ストーリーテリングの新たな形を創出する可能性も秘めています。

長期的な視点では、このような技術はゲーム業界だけでなく、教育やトレーニング、メンタルヘルスケアなど様々な分野に応用される可能性があります。例えば、学習者の理解度に合わせて内容が変化する教育コンテンツや、個人の状況に応じたメンタルサポートを提供するアプリケーションなど、その応用範囲は広大です。

Operative Gamesが2025年に予定している最初のリリースがどのような形になるのか、今後の展開に注目していきたいと思います。

【参考用語】

インタラクティブストーリーテリング: プレイヤーの選択や行動によって物語が変化する手法。従来の映画や小説が一方通行であるのに対し、ゲームのように双方向のやり取りで物語が進行する。

LLM (Large Language Model): GPT-4などの大規模言語モデル。膨大なテキストデータから学習し、人間のような文章を生成できるAI技術。

分岐型ナラティブ: 従来のゲームストーリーで採用されていた手法。開発者があらかじめ用意した複数の選択肢と結末から、プレイヤーの選択によって一つの道筋が選ばれる仕組み。例えるなら、複数のルートがある迷路のようなもの。

【参考リンク】

Griffin Gaming Partners(外部)ゲーム業界特化型ベンチャーキャピタル。13億ドルの運用資産を持ち、ゲーム関連企業に投資を行う。

AI Dungeon(外部)AIを使用したインタラクティブフィクションゲーム。プレイヤーの入力に基づいてストーリーを生成する。

Latitude.io(外部)AI Dungeonの開発元。AIを活用したゲーム開発プラットフォームを提供している。

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乗杉 海
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