Last Updated on 2025-04-18 14:17 by admin
OpenAIは2025年4月16日、新たなAI推論モデル「o3」と「o4-mini」を発表した。
「o3」はOpenAI史上最も高性能な推論モデルで、コーディング、数学、科学、視覚認識など多様な分野で従来モデルを上回るパフォーマンスを発揮する。「o4-mini」は「o3」の技術を基に、より小型・高速かつコスト効率を重視したモデルとして設計されている。
両モデルは画像を思考プロセスに直接統合できる「Thinking with images」機能を搭載し、スケッチやホワイトボードのメモ、図表なども推論に活用できる。画像の拡大や回転も自動で行い、複雑な課題解決を支援する。
o4-miniはAPI経由で安価に利用でき、ChatGPTの無料ユーザー向けにも提供されている。
from:OpenAI’s upgraded o3 model can use images when reasoning
【編集部解説】
OpenAIが発表した新AIモデル「o3」と「o4-mini」は、AIの進化を象徴する大きな転換点です。特に注目すべきは、画像を思考プロセスに直接組み込むマルチモーダル推論機能です。
これにより、AIは単なる画像認識だけでなく、図表や手書きメモ、設計図などを文脈の中で理解し、推論や意思決定に活用できるようになりました。例えば、製造現場の設計図面や医療画像の解析、研究分野での仮説生成など、従来は人間の専門知識が不可欠だった領域にもAIの活用が広がることが期待されます。
o4-miniは小型・高速・低コストを実現しており、中小企業やスタートアップでも最先端AIを導入しやすくなりました。APIコストが大幅に下がったことで、日常業務や現場でのリアルタイム活用も現実的になっています。日本の製造業や建設業、医療現場など、画像データ活用が求められる分野での応用が加速するでしょう。
一方で、AIの推論力が高まることで、ユーザーがAIの判断プロセスを把握しにくくなる「ブラックボックス化」や、画像情報の誤認識による意思決定ミスのリスクも指摘されています。今後はAIの透明性や説明責任がより強く求められるでしょう。
【用語解説】
o3モデル:OpenAIが2025年4月に発表した最新の高性能AI推論モデル。複雑な問題を段階的に「考える」能力と、画像を含む多様な情報を統合的に推論するマルチモーダル機能が特徴。
o4-miniモデル:o3の技術を小型・高速・低コストで実現したモデル。リアルタイム処理や大量利用に適し、API経由で安価に利用できる。
マルチモーダルAI:テキスト、画像、音声など複数の種類のデータを同時に処理し、複雑な判断や推論を行うAI技術。人間の五感を組み合わせて状況を理解するのに近い。
【参考リンク】
OpenAI公式サイト(外部)
アメリカ・サンフランシスコに本拠を置くAI研究開発企業。ChatGPTやDALL-Eなど先端AIサービスを提供している。