innovaTopia

ーTech for Human Evolutionー

Freepik「F Lite」商用ライセンス画像8,000万枚で訓練したオープンAI画像生成モデルをFal.aiと共同発表

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-01 15:40 by admin

2025年4月29日、スペインのオンラインデザインプラットフォームFreepikは、AIスタートアップFal.aiと共同で新たなAI画像生成モデル「F Lite」を発表した。

F Liteは約100億パラメータを持つ大規模な拡散モデルで、Freepikが保有する8,000万枚の商用ライセンス画像のみを使って2か月間、64基のNvidia H100 GPUで訓練された。著作権的にクリーンなデータのみを使用している点が最大の特徴であり、AIによる画像生成を巡る著作権訴訟が世界的に増加する中で、リスク回避の新たなアプローチとなっている。

F Liteは「スタンダード」と「テクスチャ」の2種類が提供されており、スタンダードはプロンプトへの忠実性が高く、テクスチャはより豊かな質感や創造的な構図を実現するが、エラーが出やすい傾向がある。

モデルの利用には24GB以上のVRAMを持つGPUが必要であり、現時点では主に開発者や研究者、クリエイター向けにオープンソースとして公開されている。

Freepikは、F Liteが他の主要な画像生成AI(Midjourney V7やBlack Forest LabsのFluxシリーズなど)よりも優れているとは主張しておらず、今後はより軽量なバージョンの開発や、コミュニティによるカスタマイズも推奨している。

同様のアプローチはAdobeやGetty Images、Moonvalley、Shutterstockなども進めており、著作権クリアなAI画像生成モデルの市場は今後さらに拡大する見通しだ。

from:Freepik releases an ‘open’ AI image generator trained on licensed data

【編集部解説】

FreepikとFal.aiが共同開発したAI画像生成モデル「F Lite」は、生成AIの開発現場における著作権問題への新たな解決策として注目されています。従来、多くの生成AIモデルはインターネット上に公開されている膨大な画像データを無差別に学習データとして利用してきましたが、その中には著作権で保護されたコンテンツも多く含まれており、世界中で訴訟が相次いでいます。

特に米国やヨーロッパでは、アーティストや写真家団体による集団訴訟や、Getty ImagesによるStability AIへの訴訟など、AIと著作権の関係が大きな社会問題となっています。

F Liteは、Freepikが保有する8,000万枚の商用ライセンス画像のみを用いて訓練されているため、著作権侵害リスクを根本的に回避できるのが最大の特徴です。これは、AIが生み出すクリエイティブな成果物を安心して商用利用できる環境を整えるうえで、非常に意義深い取り組みだと言えるでしょう。

また、オープンソースとして公開されているため、世界中の開発者やクリエイターが自由にカスタマイズや改良を行える点も、技術の発展と透明性の確保という観点から評価できます。

一方で、F Liteの利用には24GB以上のVRAMを持つGPUが必要であり、現時点では主に開発者や研究者向けのツールとなっています。今後はより軽量なバージョンの開発も計画されており、一般ユーザーへの普及や新たな応用分野の開拓が期待されます。また、限定されたデータセットで訓練されているため、生成される画像の多様性や表現力にどこまで広がりが持てるのかは今後の検証課題です。

この動きは、AdobeやGetty Images、Shutterstockなど他の大手企業が進める「著作権クリアなAIモデル」開発の流れとも合致しており、今後のAI業界全体に大きな影響を与える可能性があります。AIと著作権の問題は、法整備や業界の自主規制とともに進化していくでしょう。F Liteの登場は、クリエイティブ産業におけるAI活用の新たなスタンダードを提示したと言えます。

 【用語解説】

商用ライセンス画像
著作権が明確で、商用利用が許可された画像データ。AIの学習データとして利用することで著作権侵害リスクを回避できる。

オープンソース
ソフトウェアやAIモデルの設計情報・ソースコードを無償で一般公開し、誰でも利用・改良できる形態。

【参考リンク】

Freepik公式サイト(外部)
スペイン発のオンラインデザインプラットフォーム。ストック画像やイラスト、テンプレートなどを提供し、AI画像生成サービスも展開している。

F Lite公式ブログ(Freepik内)(外部)
FreepikとFal.aiが共同開発したオープンソースAI画像生成モデル。8,000万枚の商用ライセンス画像のみで訓練されている。

Fal.ai公式サイト(外部)
2022年設立のAIスタートアップ。生成AIモデルのAPIやホスティングサービスを提供している。

NVIDIA H100製品解説(外部)
NVIDIAが2022年に発表したAI・ディープラーニング向けの高性能GPU。大規模AIモデルの学習や推論に最適化されている。

【関連記事】

AI(人工知能)ニュースをinnovaTopiaでもっと読む

著作権に関する記事をinnovaTopiaでもっと読む

投稿者アバター
りょうとく
主に生成AIやその権利問題について勉強中。
ホーム » AI(人工知能) » AI(人工知能)ニュース » Freepik「F Lite」商用ライセンス画像8,000万枚で訓練したオープンAI画像生成モデルをFal.aiと共同発表