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Figma Make:AIバイブコーディングで変わるデザインの未来 – プロンプトだけでアプリ開発が可能に

Figma Make:AIバイブコーディングで変わるデザインの未来 - プロンプトだけでアプリ開発が可能に - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-08 09:42 by admin

デザインソフトウェア企業Figmaは2025年5月7日(水)、AIを活用した新機能「Figma Make」を発表した。この機能は「バイブコーディング」と呼ばれる技術を用いており、ユーザーが短い文章でアプリやウェブサイトのアイデアを説明するだけで、AIがそれに対応する動作コードを自動生成する。

Figma Makeは、Anthropic社が開発したClaude 3.7 Sonnet AIモデルを搭載している。既存のFigmaデザインファイルを入力として受け取り、それに近いコードを生成することも可能だ。また、企業のデザインシステム(フォントサイズやカラーコンビネーションなど)に準拠したデザインを作成する機能も備えている。

この新機能は、年間契約で月額16ドル(約2,400円)からの有料ライセンスユーザーのみが利用可能で、現在はベータテスト段階にある。無料枠は提供されない。

同日サンフランシスコのMoscone Centerで開催された年次カンファレンス「Config 2025」では、「Figma Make」の他に「Figma Sites」「Figma Draw」「Figma Buzz」の計4つの新製品が発表された。「Figma Sites」はデザインを機能的なウェブサイトに変換できるツールで、今後数週間以内にAIコード生成のサポートも追加される予定である。

「バイブコーディング」技術の分野では、GoogleやMicrosoft、OpenAIも独自のツールを展開しており、競争が激化している。OpenAIは同分野のスタートアップWindsurfとの買収交渉を行い、Cursorというスタートアップにも複数回接触していると報じられている。

Figmaは2025年4月にIPO(新規株式公開)の機密申請を行っており、これらの新機能によって事業拡大を図る戦略と見られる。同社は現在1,600人以上の従業員を抱え、2024年には企業価値を125億ドルと評価されている。

Figmaの共同創業者兼CEOのディラン・フィールド氏は、AIの台頭にもかかわらず「時間が経つにつれて、デザイナーの役割の重要性に対する確信はさらに強まった」と述べている。

from:Figma introduces ‘vibe-coding’ AI software design feature

【編集部解説】

Figmaが発表した「Figma Make」は、AIによる「バイブコーディング」の流れを汲む新機能です。この技術は、簡単な文章説明からコードを生成するという点で画期的ですが、その背景には重要な文脈があります。

まず「バイブコーディング」という言葉自体は比較的新しい概念で、直感的なプロンプトからコードを生成する手法を指します。GoogleやMicrosoft、OpenAIなど大手テック企業も同様の技術開発に力を入れており、Figmaはこの競争に参入したことになります。

注目すべきは、Figma Makeが単なる機能追加ではなく、同社の大規模な製品拡張戦略の一部である点です。5月7日に開催された年次カンファレンス「Config 2025」では、8,500人もの参加者を集め、Figma Make以外にも「Figma Sites」「Figma Draw」「Figma Buzz」という計4つの新製品が発表されました。これはFigmaがデザインツールの枠を超えて、ウェブサイト制作やマーケティング資産作成など、より広範な領域へと事業を拡大していることを示しています。

特筆すべきは、Figmaが昨年、AIツールに関する問題を経験している点です。2024年7月には、同社のAIデザインツールが「Apple Weatherアプリ」のデザインを模倣したとして批判を受け、一時的にサービスを停止する事態となりました。CEOのディラン・フィールド氏はこの問題について全責任を認め、サードパーティのAIモデルに起因する問題だったと説明しています。

今回のFigma Makeでは、AnthropicのClaude 3.7 Sonnetモデルを採用することで、こうした問題の再発防止を図っていると考えられます。また、企業のデザインシステムに準拠したコード生成を強調している点も、差別化戦略として注目に値します。

一方で、AIによるコード生成には潜在的なリスクも存在します。「バイブコーディング」は試行錯誤的なアプローチであり、構造化された設計なしにAIが生成したコードを組み合わせると、予測不能なパフォーマンスや脆弱なコードベースにつながる可能性があります。

また、Figma Makeが無料枠を提供せず、有料ライセンスユーザーのみに提供される点も戦略的です。これはFigmaが2025年4月にIPOの機密申請を行ったことと関連しており、収益基盤の強化を図る動きと解釈できます。2024年の収益の50%以上が米国外市場からであり、月間アクティブユーザーの約85%が米国外に所在しているという国際的な展開も注目すべき点です。

今後、デザイナーの役割はAIによって代替されるのではなく、むしろ重要性が増すとフィールドCEOは述べています。AIツールはデザイナーの創造性を拡張し、より高度な問題解決に集中できる環境を提供するでしょう。

Figmaのこの動きは、Adobe、WordPress、Canvaなど複数の領域の競合に対する挑戦状とも言えます。デザインからコード生成、ウェブサイト公開までをシームレスに行える統合プラットフォームの構築は、クリエイティブワークフローの未来を大きく変える可能性を秘めています。

【用語解説】

バイブコーディング(Vibe Coding)
AIに自然言語で指示を出すだけでコードを生成させる新しいプログラミング手法。「雰囲気(Vibe)」を伝えるだけでAIがコードを書いてくれることから名付けられた。従来のように一行一行コードを書く必要がなく、「こういうものを作りたい」という要望をAIに伝えるだけでアプリケーションを構築できる。

Anthropic
2021年に設立されたアメリカのAI企業。OpenAIの元幹部が創設し、対話型AIチャットボット「Claude」を開発している。「人々が信頼できるシステムの構築」を企業理念に掲げ、AIの安全性と透明性を重視している。

Claude 3.7 Sonnet
AnthropicのAIモデルの一つ。Figma Makeで採用されているモデルで、高度な自然言語処理能力を持つ。

Config
Figmaが毎年開催する年次カンファレンス。2025年は5月7日にサンフランシスコのMoscone Centerで開催され、8,500人の参加者を集めた。

【参考リンク】

Figma公式サイト(外部)
UIデザインやワイヤーフレームの作成に便利な、ブラウザ上で共同編集できるデザインプラットフォーム

Anthropic公式サイト(外部)
Claude AIを開発する企業。AIの安全性と信頼性を重視した研究開発を行っている

OpenAI公式サイト(外部)
ChatGPTやDALL-Eなどを開発するAI企業。Microsoftから130億ドルの投資を受けている

【参考動画】

【編集部後記】

AIによるコード生成技術「バイブコーディング」は、デザインとプログラミングの境界を曖昧にしつつあります。皆さんは普段、アイデアを形にする際にどのような壁にぶつかっていますか?もしFigma Makeのような技術が一般化すれば、あなたならどんなアプリやサイトを作ってみたいですか?技術の進化によって、クリエイティブな表現の可能性が広がる今、私たちと一緒に未来のデザインワークフローについて考えてみませんか?

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TaTsu
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