David’s Bridalは2023年の2度目の破産を経て、2025年6月にAI搭載ウェディングプランナー「Pearl Planner」のベータ版を導入した。
フロリダ州デルレイビーチの新店舗では、65インチのタッチスクリーンを使い、花嫁が好みや要望を入力するとPearl PlannerがAIで解析し、最適なベンダーや商品、計画を自動提案・調整する。Pearl Plannerはカップル向けに無料で提供され、ベンダーやサービス提供者からのサブスクリプションやリード生成機能を収益源とする。2025年夏に一般公開予定で、同年秋にはプロのウェディングプランナー向け「Pearl Planner Pro」もリリースされる予定である。ケリー・クックCEOとエリナ・ヴィルク社長がAI戦略を主導し、David’s BridalはAIを活用した新たなプラットフォーム型ビジネスモデルへの転換を進めている。
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David’s Bridal introduces agentic wedding planner features in beta
【編集部解説】
Pearl Plannerの登場は、結婚式準備の効率化だけでなく、ウェディング業界全体の構造変革を促す可能性があります。AIがカップルの好みや計画変更に即応し、300以上のタスクを自動管理することで、従来煩雑だった準備作業が大幅に簡素化されます。ベンダーにとっても、リアルタイムのユーザーデータとAIによるリード生成が新たな集客チャネルとなり、業務の最適化や新規顧客獲得につながります。
一方で、AIによる自動化が進むことで、ユーザー体験のパーソナライズや感情的なサポートの質が問われる場面も増えるでしょう。プライバシーやデータガバナンスへの配慮、AIの判断に依存しすぎない人間らしい価値の維持も今後の課題です。
長期的には、AIと人間の協働による新たなウェディング体験の創出や、他のライフイベント分野への応用も期待されます。David’s Bridalの事例は、伝統産業がテクノロジーで再生するプロセスを示す好例といえるでしょう。
【用語解説】
エージェンティックAI: ユーザーの指示や状況変化に応じて自律的に判断し、タスクを実行するAI技術。
ナレッジグラフ: 情報同士の関係性を構造化し、文脈理解や推論を可能にするデータベース技術。
RAG(Retrieval-Augmented Generation): AIが外部データベースから情報を検索・参照し、精度の高い回答を生成する手法。
ファンクションコーリング: AIが特定のタスクや処理を自動で呼び出して実行する仕組み。
【参考リンク】
【参考動画】
【参考記事】
【編集部後記】
スケジュール調整やタスク管理はAIの得意分野であり、今回の取り組みは非常に理にかなっていると感じました。
AIが複雑な工程を整理し、計画変更にも即座に対応できることで、人間では見落としがちな細かな調整、変更時の再構成など、AIならではの正確さが発揮されます。こうした機能は、忙しい現代人にとって非常に心強い存在だと思います。ベータ版ではありますが、今回の試みがうまくいけばAIのサポートによって、より多くの人が余裕を持って大切なイベントの準備を進められる社会にないかと期待で胸が膨らみました。