Last Updated on 2025-03-28 12:16 by admin
トランプ政権は2025年3月初旬、サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)の選挙セキュリティ予算を削減した。この削減には、選挙インフラ情報共有・分析センター(EI-ISAC)への年間1,000万ドル(約15億円)の資金提供の停止が含まれている。
CISA予算削減の概要
- トランプ政権は2025年3月初旬、CISAの選挙セキュリティ予算を削減
- 削減内容:EI-ISACへの年間1,000万ドル(約15億円)の資金提供停止
- 影響:十数人〜100人程度の職員が影響を受け、一部の選挙セキュリティ活動が縮小
- 対象組織:CISが運営するMS-ISACとEI-ISAC
- CISAの説明:「納税者の資金節約」「重要分野への集中」「重複排除」が目的
- 継続されるサービス:MS-ISACのAlbertネットワーク監視など一部は継続
- 注目点:CISAによれば、EI-ISACの閉鎖はCISの決定であり、CISAの資金削減が他の資金提供を妨げるものではない
- 予算状況:削減額はCISが受け取る総額(2024年度は2,700万ドル)の一部
- 懸念:一部の州・地方選挙当局者は選挙システムの安全確保に懸念を表明
from: How CISA Cuts Impact Election Security
【編集部解説】
この記事は、2025年3月に報じられた米国の選挙セキュリティに関する予算削減についてのものです。複数の情報源を確認したところ、この予算削減の影響については様々な見方があることがわかりました。
CISAは比較的新しい機関ですが、サイバーセキュリティとインフラ保護において重要な役割を果たしてきました。特に、EI-ISACとMS-ISACを通じて提供されてきたサービスは、多くの州や地方自治体にとって重要なリソースでした。
この予算削減の影響については、見解が分かれています。一部の選挙当局者は懸念を表明していますが、CISAは「重要な分野への集中」と「重複の排除」を目的としていると説明しています。また、MS-ISACの一部サービスは継続されるため、すべての支援が停止するわけではありません。
注目すべき点は、CISAによれば、EI-ISACの閉鎖はCISによる決定であり、CISAの資金削減がCISがEI-ISACに他の資金を提供することを妨げるものではないという主張です。これは、予算削減の直接的な影響とEI-ISACの活動縮小の関係が、当初報じられていたほど単純ではない可能性を示しています。
また、この決定は2024年の大統領選挙の後に行われました。選挙の公正性や安全性に対する関心が高まる中、このタイミングでの予算見直しは様々な解釈を呼んでいます。
今後は、各州や地方自治体が独自のセキュリティ対策を強化する動きや、民間セクターとの協力など、代替策を模索する動きが出てくる可能性があります。選挙セキュリティの重要性は変わらないため、この分野の動向は引き続き注目に値するでしょう。
【用語解説】
CISA(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency):
米国国土安全保障省の一部門で、サイバーセキュリティとインフラ保護を担当する機関。2018年に設立され、年間予算は約30億ドル(約4,500億円)、約3,600人の職員を抱える。
EI-ISAC(Election Infrastructure Information Sharing and Analysis Center):
選挙インフラ情報共有・分析センター。米国の選挙セキュリティを守るための組織で、州・地方・部族・領土政府向けにサイバーセキュリティサービスを提供している。
MS-ISAC(Multi-State Information Sharing and Analysis Center):
複数州情報共有・分析センター。州・地方政府機関向けのサイバーセキュリティ情報共有組織。
CIS(Center for Internet Security):
2000年に設立された非営利組織で、サイバー脅威から組織を保護するためのベストプラクティスを提供している。EI-ISACとMS-ISACを運営している。
Albertセンサー :
MS-ISACが提供するネットワーク監視システムで、サイバー脅威の早期検出を支援する。予算削減後も継続して提供される予定のサービスの一つ。
【参考リンク】
CISA(米国サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁)(外部):
米国の重要インフラを保護し、サイバーセキュリティを強化するための連邦政府機関。
CIS(Center for Internet Security)(外部):
サイバーセキュリティのベストプラクティスを提供する非営利組織。
EI-ISAC(選挙インフラ情報共有・分析センター)(外部):
米国の選挙セキュリティを保護するための情報共有・分析センター。