UCLA発!電気を100倍貯める驚異の新素材 – ナノファイバーが描く未来のエネルギー運用

 - innovaTopia - (イノベトピア)

UCLAの化学研究チームは、革新的なエネルギー貯蔵デバイスとなる新しいプラスチック製スーパーキャパシタを開発した。この研究成果は2025年1月に『ADVANCED FUNCTIONAL MATERIALS』に掲載された。

主な特徴

  • 導電性プラスチックPEDOTのナノファイバーを垂直成長させる新製法を確立
  • 従来のPEDOTと比較して100倍の導電性を実現
  • 電気化学的活性表面積が従来の4倍に増加
  • 1平方センチメートルあたり4,600ミリファラドの電荷貯蔵容量を達成
  • 7万回以上の充放電サイクルでも性能劣化なし
  • 室温での製造が可能で、環境負荷が低い

研究チームは、UCLAのリチャード・ケイナー特別教授が率い、ムシバウ・フランシス・ジモー博士らが参加した。

from:Direct Fabrication of 3D Electrodes Based on Graphene and Conducting Polymers for Supercapacitor Applications

【編集部解説】

今回の研究成果は、エネルギー貯蔵技術における画期的な進展です。

特筆すべきは、ナノファイバーの製造方法です。従来のPEDOT製造では高温処理が必要でしたが、新手法では室温での製造が可能となり、製造コストと環境負荷の大幅な削減が期待できます。

垂直成長したナノファイバー構造により、イオンの出入りがスムーズになり、高速充放電が実現しました。これは電気自動車の急速充電や、再生可能エネルギーの出力変動の平準化に大きく貢献する可能性があります。

蓄電技術の進歩は電気エネルギーによりあらゆる活動を自動化してきた人類にとっては永遠のテーマであり、今回のスーパーキャパシタの高性能化は特に再生可能エネルギーの電力供給の安定、医療機器や産業用ロボットの小型化等の技術革新に寄与します。また、再生可能エネルギーの利用、医療機器や産業用とボットの高性能化、EV車のバッテリーの堅牢化のようなあらゆる技術的進歩に新たな可能性を生み出す可能性が示唆されています。

実用化に向けての課題

  • 大量生産時の品質安定性の確保
  • 製造コストの最適化
  • 様々な環境下での長期耐久性の検証
  • 高温・低温環境での性能評価
  • 湿度による影響の検証
  • 物理的ストレスへの耐性

【用語解説】

PEDOT:スマートフォンのタッチパネルなどに使用される導電性プラスチック。インクのように印刷可能で、透明な電極として広く利用されています。

スーパーキャパシタ:コンデンサの一種で、瞬間的な大電力の出し入れが得意。電気二重層を利用して電気を貯めます。身近な例では、太陽光で動く電卓の内部などに使用されています。

【参考リンク】

  1. UCLA Materials Science and Engineering(外部)
    UCLAの材料科学工学部門。ケイナー教授の研究グループの詳細な研究成果が掲載されています。
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