JAXAは2025年2月2日17時30分00秒(日本標準時)、鹿児島県の種子島宇宙センターからH3ロケット5号機を打ち上げた。搭載されていた準天頂衛星システム「みちびき6号機」は、打ち上げから約29分3秒後に予定通り分離に成功した。
H3ロケットは三菱重工業が主契約者として開発を担当した日本の新型基幹ロケットで、今回の打ち上げは5号機となる。みちびき(準天頂衛星システム)は内閣府が運用する日本の衛星測位システムで、GPSを補完・補強するシステムとして機能している。
主要データ
- 打ち上げ場所:種子島宇宙センター 吉信射点
- 打ち上げ時刻:2025年2月2日17時30分00秒(JST)
- 衛星分離時刻:打ち上げから約29分3秒後
- 使用ロケット:H3ロケット5号機
- 打ち上げ衛星:みちびき6号機(準天頂衛星)
- 実施機関:宇宙航空研究開発機構(JAXA)
from:H3ロケット5号機による「みちびき6号機」(準天頂衛星)の打上げ結果
【編集部解説】
H3ロケットは日本の新しい基幹ロケットとして開発され、今回で5機目の打ち上げとなりました。2023年3月の初号機失敗から4回連続の成功を収めており、日本の宇宙輸送能力の信頼性が着実に向上していることを示しています。
みちびき衛星システムの進化
みちびき衛星システムは、現在4機体制で運用されていますが、今回の6号機打ち上げにより5機体制となります。特筆すべきは、測位精度が数センチメートル単位まで向上することです。
国家戦略としての位置づけ
2026年3月までに7機体制を構築し、さらに2030年代後半までに11機体制を目指すという計画は、日本の測位システムの自立性を高める重要な一歩となります。これにより、米国のGPSへの依存度を低減させることが可能になります。
アジア・オセアニア地域への展開
みちびきシステムの利用範囲は日本国内に限らず、アジア・オセアニア地域全体をカバーすることが計画されています。この地域での測位サービスの向上は、国際協力の新たな形として注目されています。
産業への影響
高精度な位置情報システムの実現により、以下の分野で革新的な発展が期待されます:
- 自動運転車両の精密な誘導
- ドローンの安全な運航管理
- スマートフォンのナビゲーション精度向上
- 災害時の位置情報把握の正確性向上
今後の展望
三菱重工業への打ち上げ事業の移管が計画されており、民間による宇宙輸送サービスの展開が加速すると予想されます。また、バックアップ用の4機の追加衛星開発も2025年度から開始される予定です。
投資規模
みちびき6号機を含む3機の衛星開発費用は約1,000億円とされており、日本の宇宙開発における大規模プロジェクトの一つとなっています。この投資は、将来の測位インフラの確立に向けた重要な布石となるでしょう。