ASUS ROG、新型マウス2機種を発表|eスポーツから広がる「人間中心」の入力設計

[最終更新]

Googleで優先するソースとして追加するボタン

ゲーミングマウスの進化は、センサー性能や軽さだけでは語れなくなっています。人間の疲労や手の動きを検証し、形状や重量、ボタン機能を調整できる設計は、日常のPC操作にも新しい視点をもたらします。競技用の工夫は、仕事道具の設計まで変えるのでしょうか。


2026年8月25日、ASUS Republic of Gamers(ROG)はGamescom 2026で「ROG Gladius IV Ace」と「ROG Spatha X 65K」を発表した。Gladius IV Aceは56gの本体に重量調整機構や8,000Hzのポーリングレート、ブラウザ設定機能「Gear Link」を搭載。Spatha X 65Kは12個のプログラマブルボタン、5種類の重量設定、交換可能なスイッチ、磁気式充電ドックを備える。

Digital Trendsによれば、両製品は米国で2026年9月末にASUS eShopとBest Buyから発売予定とされる。価格および日本での発売日・価格については、2026年8月26日時点でASUS公式から確認できていない。

From: 文献リンクROG’s new gaming mice are built for esports, but your spreadsheets will thank you too

【編集部解説】

「高性能なセンサー」だけではなく、人間側を測ってマウスを作る

ROG Gladius IV Aceで注目したいのは、65,000dpiのセンサーや8,000Hzのポーリングレートそのものよりも、マウスの形状を決めるために人間側の動作を測定していることです。

ASUSは開発時にeスポーツ選手へセンサーを装着し、マウスを握る際の動きやグリップを分析したと説明しています。そのデータを形状設計に反映し、手のひらを支える部分を広く、盛り上がりを高くすることで、反復的で高速な操作時の筋肉への負担を抑えることを狙っています。

さらにASUSのテストでは、疲労後のトラッキングでも速度と加速度の安定性を維持し、ターゲットから外れている平均時間が短く、180度のフリック操作でも命中精度が高かったとしています。これはメーカーによる評価であり、第三者による比較試験ではない点には注意が必要ですが、競技用マウスの設計対象がセンサー性能だけでなく、人間の疲労や動作まで広がっていることは読み取れます。

56gが「正解」ではない。人によって最適値を変える

Gladius IV Aceの標準重量は56gですが、3g、5g、7gのウェイトを組み合わせ、最大71gまで調整できます。ASUSはより大きな手向けの「Gladius IV Ace Max」も計画しており、手の大きさやグリップ方法ごとに異なる形状を用意する方針も示しています。

一方、ROG Spatha X 65Kは125~145gとGladius IV Aceより大幅に重く、5種類の重量・バランス設定を選択できます。ウェイトを前方、中央、後方へ配置することで重心まで変更可能です。

今回の2機種を並べると、ROGが軽量化だけでなく、用途に応じた重量やバランスの調整も重視していることがうかがえます。「軽いほど優れている」という一つの基準ではなく、用途、手の大きさ、握り方、操作方法に合わせて入力デバイス側を変える設計だと捉えられます。

マウスは「カーソルを動かす装置」から変わり始めている

もう一つの補助線になるのが、Spatha X 65Kの12個のプログラマブルボタンです。本来はMMOでスキル、マクロ、アイテムなどを指先から実行するための機能ですが、Digital Trendsは表計算や動画編集などの作業にも応用できる点を指摘しています。

ここでは、ゲーミングマウスを「ゲーム以外にも使える」というだけで考えるより、マウスそのものが用途に応じて機能を変更できる入力端末になっていると見る方が重要です。

両機種は「ROG Gear Link」に対応しており、専用アプリをインストールせず、ブラウザからボタンや各種設定を変更できます。Spatha X 65Kでは複数のPCを使う場合でもWebブラウザから設定できるとASUSが説明しています。

今回の2機種からは、人間がデバイスへ適応するのではなく、デバイス側を人間や用途へ適応させるという設計思想が読み取れます。身体に合わせて形状や重量を変え、用途に合わせてボタンの役割まで変える。少なくとも今回の2機種では、人間や用途に合わせて調整できることが、製品設計の重要な要素として前面に出ています。

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【編集部後記】

今回の2機種を見て、マウスというデバイスにはまだ進化の余地があるのだと感じました。個人的に面白いのは、56gの軽量モデルと重量級の12ボタンモデルが、どちらも「操作する人に合わせる」という方向で成立している点です。
ゲーミングデバイスは尖ったスペックの印象が強いですが、その試行錯誤が仕事用デバイスにも還元されるなら面白いと思います。特にブラウザから設定できるGear Linkは、専用ソフトに依存しない点で普段使いにも取り入れやすそうです。
マウスは成熟した周辺機器だと思っていましたが、HCIの観点ではまだ再設計できる余地が大きいのかもしれません。
こうした設計思想が一般向けの入力デバイスにもどこまで広がっていくのか、今後も注目したいです。


【参考リンク】

ASUS Republic of Gamers(ROG)公式サイト(外部)
ASUSのゲーミングブランドROGの公式サイト。PC、ディスプレイ、マウス、キーボードなどの製品情報を掲載。

ROG Gladius IV Ace 製品ページ(外部)
Gladius IV Aceの公式製品ページ。56gの重量、人間工学設計、AimPoint Pro 65Kセンサー、Gear Linkなどの仕様を確認できる。

ROG Spatha X 65K 製品ページ(外部)
Spatha X 65Kの公式製品ページ。12個のプログラマブルボタン、重量・重心調整、交換可能なスイッチなどを掲載。

ROG Gear Link FAQ(外部)
ブラウザベースのデバイス設定ツール「Gear Link」の対応製品、OS、ブラウザ、接続方法を説明するROG公式サポートページ。

【参考記事】

ASUS Republic of Gamers Announces New Esports Hardware and Partnerships at Gamescom 2026(外部)
Gamescom 2026でのROG Aceシリーズ発表。Gladius IV Aceのスポーツ科学に基づく設計やプロ選手を用いた評価について説明する公式発表。

ROG Unveils All-New Gaming Gear at Gamescom 2026|ASUS Pressroom(外部)
Gladius IV AceとSpatha X 65Kを含む新製品群の公式発表。重量調整、ボタン構成、Gear Linkなど主要仕様の確認に使用。

The ROG Gladius IV Ace gaming mouse delivers next-level ergonomics and precision|ROG(外部)
プロ選手の動作やグリップを測定し、マウス形状へ反映した開発過程を解説するROG公式記事。

The ROG Spatha X 65K gaming mouse gives you total control over your favorite MMOs|ROG(外部)
Spatha X 65Kの12ボタン、重量・重心変更、スイッチ交換など、高いカスタマイズ性を解説するROG公式記事。

【用語解説】

ポーリングレート
マウスがPCへ位置やクリック情報を送信する頻度を示す値。8,000Hzなら1秒間に最大8,000回情報を送信する。数値が高いほど入力間隔は短くなるが、実際の体感はPC性能やディスプレイ環境などにも左右される。

DPI(Dots Per Inch)
マウスを1インチ動かした際にセンサーが検出する移動量の指標。値が高いほど少ない手の移動でカーソルを大きく動かせる。Gladius IV AceとSpatha X 65Kは最大65,000dpiのROG AimPoint Pro 65Kセンサーを搭載する。

プログラマブルボタン
ユーザーが任意のキー操作やコマンド、マクロなどを割り当てられるボタン。Spatha X 65Kは12個を搭載し、MMOの操作だけでなく、用途に応じた入力方法へカスタマイズできる。

ROG Gear Link
ROG製デバイスの設定をWebブラウザから変更できるツール。キー機能やライティングなどを調整でき、対応機種では専用設定ソフトをダウンロードせず利用できる。Chrome、Edge、Operaなどに対応する。

Human-Computer Interaction(HCI/ヒューマン・コンピュータ・インタラクション)
人間とコンピュータの相互作用を扱う研究・設計領域。入力デバイスでは、操作方法、身体への負担、使いやすさ、インターフェース設計などが対象となる。

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乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。

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