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遺伝子治療の費用負担軽減へ、米国が成果基準の新支払いモデル導入

遺伝子治療の費用負担軽減へ、米国が成果基準の新支払いモデル導入 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2024-07-05 07:10 by admin

米国のメディケイドプログラムは、患者の治療成果に基づいて数百万ドルの遺伝子治療費用を支払う新しい支払いモデルを試験的に導入します。この取り組みは、高度な科学技術を要する高額治療の財政支援に向けた初期段階です。来年から、メディケアおよびメディケイドサービスセンター(CMS)は、鎌状細胞症の遺伝子治療に対して成果に基づく契約を用いた支払いをテストします。このプログラムにより、FDAによって昨年12月に承認された、Ver­texとCRISPR Ther­a­peu­ticsのCas­gevy(2.2百万ドル)とblue­bird bioのLyf­ge­nia(3.1百万ドル)といった一度きりの遺伝子治療の費用が支払われることになります。

【ニュース解説】

米国では、鎌状細胞症という遺伝性の血液疾患を対象に、新たな遺伝子治療の支払いモデルが試験的に導入されることになりました。この病気は、赤血球が正常な円盤形ではなく、鎌のような形をしているために血流が悪くなり、様々な健康問題を引き起こします。治療法としては、従来の薬物療法や骨髄移植がありましたが、これらには限界があり、完治への道は非常に困難でした。

この背景の中、最近FDAによって承認された2つの遺伝子治療薬、CasgevyとLyfgeniaが注目を集めています。これらは一度の治療で鎌状細胞症を根本から治す可能性を秘めていますが、治療費用がそれぞれ220万ドル(約2億4千万円)、310万ドル(約3億4千万円)と非常に高額であるため、患者や保険制度にとって大きな負担となっていました。

こうした状況を受け、米国のメディケアおよびメディケイドサービスセンター(CMS)は、患者の治療成果に基づいて遺伝子治療の費用を支払う新しいモデルを試験的に導入することを決定しました。この「成果に基づく契約」により、治療が成功し、患者の健康が改善された場合にのみ、治療費用が支払われる仕組みです。これにより、高額な治療費用の負担を軽減し、より多くの患者が最先端の治療を受けられるようになることが期待されます。

この取り組みは、高額な医療技術の費用対効果を評価し、医療制度の持続可能性を高めるための重要な一歩と言えます。しかし、治療成果をどのように評価し、どのタイミングで費用を支払うかなど、実施にあたっては多くの課題があります。また、このモデルが他の高額治療にも適用されるかどうか、長期的な影響はまだ不透明です。

この新しい支払いモデルは、医療技術の進歩に伴う高額な治療費用という課題に対し、創造的な解決策を提案しています。今後、このモデルがどのように展開され、医療制度や患者への影響がどうなるか、注目が集まっています。

from CMS details program to use outcomes-based agreements to pay for sickle cell gene therapies.

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