インテル分割買収へ | ブロードコムとTSMCが検討、半導体業界に激震

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半導体大手のブロードコムと台湾TSMCが、米インテルの分割買収を個別に検討していることが2025年2月16日、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道で明らかになった。

ブロードコムはインテルのチップ設計部門とマーケティング事業の取得を検討。一方、TSMCは投資家コンソーシアムの一員として、インテルの半導体製造工場の一部または全部の取得を模索している。

2024年12月にパット・ゲルシンガーCEOが退任を余儀なくされ、2024年には製造部門で134億ドル(約2兆円)の損失を計上するなど、インテルの業績不振が続いている。

from:Broadcom, TSMC reportedly exploring deals that would split up Intel

【編集部解説】

半導体業界に激震、インテル分割の可能性を深掘り

インテルの分割買収に関する今回の報道は、半導体業界に大きな衝撃を与えています。この動きの背景には、複数の重要な要因が絡み合っています。

まず、インテルの業績不振が深刻化している点に注目する必要があります。2024年には製造部門だけで134億ドル(約2兆円)の損失を計上し、同社の株価も大幅に下落しています。これは、TSMCとの製造技術競争での遅れや、AI市場での出遅れが主な原因とされています。

ブロードコムとTSMCによる分割買収の構想は、インテルの「IDM(統合デバイスメーカー)」モデルの終焉を意味する可能性があります。設計と製造を一体化させてきたインテルの伝統的なビジネスモデルが、専門特化型の新しい産業構造へと移行する転換点となるかもしれません。

特に注目すべきは、この動きがトランプ政権の要請によって進められている点です。米国政府は国内半導体製造能力の維持・強化を重視していますが、同時に外国企業によるインテルの工場支配には否定的な立場を示しています。

この状況は、単なる企業買収以上の地政学的な意味合いを持っています。半導体産業が国家安全保障に直結する現代において、インテルの分割は米国の技術覇権にも影響を与える可能性があります。

また、この動きはAI時代における半導体業界の再編を象徴する出来事とも言えます。TSMCはすでにNVIDIAやAppleなど主要AI企業の製造を担っており、インテルの工場取得によってその地位をさらに強化する可能性があります。

一方で、この買収には複数の課題も存在します。米国政府の承認獲得、複雑な事業分割プロセス、従業員の処遇など、検討すべき事項は山積みです。特に国家安全保障の観点から、完全な外国支配は認められない可能性が高いとされています。

今後の展開として、米国内企業の参画を含む投資コンソーシアムの形成や、政府による一定の関与など、より複雑な取引構造が模索される可能性があります。この動きは、グローバルな半導体産業の勢力図を大きく塗り替える可能性を秘めています。

【用語解説】

  • IDM(Integrated Device Manufacturer)
    設計から製造まで一貫して行う半導体メーカーの形態です。インテルは長年このモデルを採用してきました。
  • ファウンドリ事業
    半導体の受託製造を専門とする事業形態です。TSMCはこの分野で世界最大手となっています。

【参考リンク】

  1. インテル公式サイト(外部)
    半導体業界のリーディングカンパニー、インテルの公式サイト。最新の製品情報を提供
  2. TSMC公式サイト(外部)
    世界最大の半導体受託製造企業TSMCの公式サイト。最新の製造技術情報を掲載

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