Last Updated on 2025-02-18 10:28 by admin
NANDフラッシュメモリ市場の主要動向について、以下の事実を報告する。
価格下落の現状
2024年第3四半期から4四半期連続で価格下落が継続し、2025年第1四半期の契約価格は前期比15-20%の下落が予測されている。主要メーカー各社は生産調整を実施している。
各社の対応状況
- サムスン電子:西安工場で10%以上の生産削減を実施
- SK hynix:10%の生産削減を計画
- マイクロン:ウエハー生産を10%削減
- キオクシア:生産能力の調整を実施中
技術開発の最前線
各社の最新技術開発状況(2025年2月現在)
- SK hynix:321層NANDを量産中
- サムスン:280層V-NANDを量産開始
- マイクロン:232層3D NANDを展開
- キオクシア:218層技術を確立
市場動向と展望
2025-2029年の市場規模は264億ドルの成長が見込まれ、年平均成長率(CAGR)は6.5%と予測されている。PC出荷は前年比1%増の2億6,220万台、スマートフォン出荷は7%増の12億2,000万台となっている。
from:NAND flash prices plunge amid supply glut, factory output cut
【編集部解説】
2024年後半から続く価格下落の背景には、単なる需要と供給のアンバランスだけでなく、業界全体の構造変化が見られます。特に注目すべきは、NANDフラッシュメモリ市場が「コモディティ」から「プレミアム市場」へと移行している点です。
従来型のスマートフォンやPC向けの汎用品としての需要は確かに減少していますが、AIサーバーやデータセンター向けの高性能製品への需要は着実に成長しています。
技術革新の加速
各メーカーは生産調整と同時に、積極的な技術革新を進めています。例えば、サムスンの290層V-NAND技術や、SK hynixの400層NANDの開発など、より高密度で効率的なメモリの実現に向けた競争が続いています。
この技術革新は、単なる容量の増大だけでなく、消費電力の削減や読み書き速度の向上にも貢献しています。
産業への影響
NANDフラッシュ市場の変化は、私たちの生活に密接に関わる様々な産業に影響を与えています。
特に注目すべきは、AI・機械学習分野での活用です。大規模言語モデル(LLM)の学習には大容量のストレージが必要不可欠で、高性能NANDフラッシュの需要は今後も増加すると予測されています。
今後の展望
2025年後半からは、市場の回復が期待されています。これは単なる需給バランスの改善だけでなく、新しい用途の拡大によるものです。
特に、自動運転車やIoTデバイスなど、エッジコンピューティング分野での需要増加が見込まれています。これらの機器には高速で信頼性の高いストレージが必要とされ、NANDフラッシュメモリの新たな市場となるでしょう。
日本企業への影響
キオクシアを始めとする日本企業にとって、この市場変化は大きな転換点となる可能性があります。汎用品の価格競争から、高付加価値製品の開発競争へとシフトすることで、日本の技術力を活かせる機会が増えると考えられます。
消費者への影響
短期的には、SSDやスマートフォンの価格低下が期待できます。しかし、より重要なのは、高性能なストレージを必要とする新しいサービスや製品が、より手頃な価格で提供されるようになることです。
これにより、AIやVR/ARなどの最新技術を活用したサービスが、より身近なものとなっていくでしょう。