Last Updated on 2025-04-25 17:42 by admin
Z世代とミレニアル世代の約半数が大学教育を「無駄金」と評価
2025年4月21日に求人サイトIndeedが発表した調査によると、Z世代の51%とミレニアル世代の41%が自分の大学学位を「無駄金だった」と考えていることが明らかになった。これに対し、ベビーブーマー世代では同様の見解を持つ人はわずか20%にとどまっており、世代間で大きな認識の差があることが示された。
Indeedが準学士以上の学位を持ち、就業中または求職中の18歳以上の米国成人772人を対象に実施したこの調査では、若い世代ほど大学教育への投資に懐疑的であることが判明した。特に注目すべき点として、Z世代の68%が「学位がなくても現在の仕事はできる」と回答している一方、ベビーブーマー世代では49%にとどまっている。
大学教育の価値に対する懐疑的な見方の背景には、以下の要因がある:
学費の高騰:過去20年間で米国のすべての大学(公立・私立、州内・州外)の授業料と手数料が、インフレ調整後でも32%から45%上昇
学生ローンの負担:回答者の52%が学生ローンを抱えて卒業しており、38%が「学生ローンは学位がキャリアを助けた以上に妨げになった」と回答
就職市場の不安定さ:約430万人のZ世代が「NEET」(教育、雇用、訓練のいずれにも従事していない)状態にある
AIの台頭:約30%の卒業生がAIによって自分の資格が時代遅れになったと考えており、Z世代では45%に上昇
一方、Handshakeの教育戦略最高責任者クリスティン・クルズベルガラ氏は、大学教育の価値を即時の就職だけで判断するのは短絡的だと指摘している。大学は単なる資格以上のものを提供し、キャリア向上の見通しを高め、多様な分野への露出、自己発見、管理とリーダーシップ能力の育成に貢献すると主張している。
また、Indeedの求人リストの52%が正式な教育要件を指定していないという事実も、雇用市場の変化を示している。Indeedのキャリアトレンドアナリスト、カイル・M.K.氏は、ルーティンなプログラミング、基本的なデータ分析、自動化されたコンテンツ作成などの分野がAIに特に脆弱である一方、看護、プロジェクト管理、創造的な分野は比較的保護されていると述べている。
一方で、Gallupとウォルトン・ファミリー財団の調査では、Z世代の80%以上が大学教育は「非常に重要」または「かなり重要」だと考えていることも報告されており、教育の価値に対する認識は複雑であることがうかがえる。
【編集部追記】
今回の記事はPerplexityのDiscoverに掲載されている情報に新たな検索を加え、リライトと解説を添えたものになります。本記事に興味を持たれた方は、さらに詳しい情報をPerplexityの該当ページから質問し深掘りすることができます。
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from Z世代にとっての大学の学位の重要性に対するAIの影響
【編集部解説】
大学教育の価値に対する世代間の認識の差は、単なる意見の相違ではなく、経済環境や労働市場の構造的変化を反映しています。Indeedの2025年3月に実施された調査が示す「Z世代の51%が大学を無駄金と考える」という結果は、高等教育をめぐる複雑な現実を映し出しています。
この調査結果を深掘りすると、高等教育に対する評価は世代によって大きく異なることがわかります。ベビーブーマー世代では20%しか大学を「無駄金」と感じていないのに対し、ミレニアル世代では41%、Z世代では51%と世代が若くなるほど否定的な見方が強まっています。この世代間ギャップはなぜ生じているのでしょうか。
最大の要因は、大学教育の費用対効果の変化です。1980年から2010年頃まで、大学卒業者と高校卒業者の賃金格差は拡大し続けましたが、近年この「大学賃金プレミアム」は頭打ちになっています。一方で、過去20年間で米国のすべての大学(公立・私立、州内・州外)の授業料と手数料はインフレ調整後でも32%から45%上昇しており、教育コストの増加が顕著です。
学生ローンの負担も見過ごせない問題です。調査回答者の52%が学生ローンを抱えて卒業しており、特にミレニアル世代は58%と最も高い割合でローンを背負っています。さらに深刻なのは、回答者の38%が「学生ローンは学位がキャリアを助けた以上に妨げになった」と感じていることです。
しかし、大学教育の価値に関する議論は単純ではありません。Lumina FoundationとGallupの調査によれば、学位を持たない成人の70%が学士号を「非常に価値がある」または「かなり価値がある」と評価しています。また、学位を持たない成人の86%が、大学教育は10年以内に投資を回収できると考えています。
この一見矛盾する見解は、「大学教育は価値があるが、現在の価格設定は公正ではない」という認識を示しています。実際、学位を持たない成人のわずか18%しか四年制大学の授業料が「公正」だと考えていません。
専攻分野による収益性の差も重要な要素です。工学、コンピュータサイエンス、看護学、経済学の学位は最も高いROI(投資収益率)を示す一方、人文科学系の学位のROIは低い傾向にあります。さらに、学士課程プログラムの28%は、中退リスクを考慮すると負のROIを示すという分析もあります。
雇用市場の変化も見逃せません。Intelligent.comの2023年調査によれば、採用マネージャーの53%が過去1年間に一部の職種で学士号要件を撤廃しています。AppleやIBMなどの大手企業も多くのポジションで学位要件を削除し、経験と実践的なスキルで候補者を評価する方向に移行しています。
AIの台頭も大学教育の価値に影響を与えています。約30%の卒業生がAIによって自分の資格が時代遅れになったと考えており、Z世代では45%にまで上昇しています。特にルーティンなプログラミング、基本的なデータ分析、自動化されたコンテンツ作成などの分野がAIに脆弱である一方、看護、プロジェクト管理、創造的な分野は比較的保護されています。
しかし、AIは教育そのものを変革する可能性も秘めています。World Economic Forumのレポートによれば、AIは教師の管理業務を自動化し、学生との時間を増やすことで教育システムのギャップを埋める可能性があります。また、学生の評価やガイダンスを改善し、デジタルリテラシー、批判的思考、創造性、問題解決能力の構築を支援することも期待されています。
このような複雑な状況の中で、高等教育の未来はどうなるのでしょうか。一つの方向性は、より実践的で職業指向のプログラムへのシフトです。技術系の証明書プログラムは、典型的な学士号よりも高いROIを示すケースもあります。また、大学は単なる資格以上のものを提供していることをより明確に伝える必要があるでしょう。大学は学びとネットワーキングの活気ある拠点であり、長期的なキャリア発展に貢献する場所です。
高等教育の価値に関する議論は、単に「大学は価値があるか否か」ではなく、「どのような状況で大学は価値があるのか」という問いに焦点を当てるべきでしょう。個人の状況、専攻分野、大学の選択、そして将来のキャリア目標に応じて、その答えは大きく異なります。
【用語解説】
Indeed(インディード)
求人情報をまとめて検索できる世界最大級の求人検索エンジン。世界60ヶ国以上、28言語で展開されている。日本ではリクルートホールディングスの子会社が運営している。
Handshake(ハンドシェイク)
アメリカ発の大学生・新卒向けキャリア支援プラットフォーム。学生と企業、大学のキャリアセンターをつなぐネットワークで、米国を中心に多くの大学で利用されている。
Netflix(ネットフリックス):
アメリカの動画配信サービス。オリジナル作品や映画、ドラマ、アニメなど幅広いコンテンツを世界190カ国以上で提供している。
NEET(ニート):
「Not in Education, Employment, or Training」の略。教育、就業、職業訓練のいずれにも従事していない若者を指す。
学生ローン(Education Loan):
大学や専門学校などの高等教育のために借りるローン。米国では多くの学生が利用しており、返済負担が社会問題となっている。
AI(人工知能):
人間の知的活動を模倣するコンピュータ技術。近年は職業の自動化や新しい職種の創出など、雇用市場に大きな影響を与えている。
【参考リンク】
Indeed(インディード)(外部)世界最大級の求人検索エンジン。多様な求人情報を一括検索できる。
Handshake(ハンドシェイク)(外部)米大学生向けのキャリア支援ネットワーク。学生と企業、大学をつなぐ。
Netflix(ネットフリックス)(外部)世界190カ国以上で利用される動画配信サービス。オリジナル作品も豊富。