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Meta、Horizon Worldsで過去最大の75億円規模のクリエイター支援を開始|モバイル版も本格展開へ

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-02-21 18:00 by admin

Meta、Horizon Worldsで総額5000万ドルのCreator Fundを発表

Metaは2025年2月20日、Horizon Worldsのクリエイター向けに総額5000万ドル(約75億円)の新しいCreator Fundを発表した。

同時に、Horizon Desktop Editorのアーリーアクセス版を公開し、TypeScriptによる複雑なゲームロジックの実装が可能になった。米国では生成AI機能(音声効果、環境音生成、TypeScript生成)も搭載される。

2025年2月24日からは、以下の18カ国でHorizon Worldsの課金機能を開始する:オーストラリア、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、イタリア、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾(既存の米国、英国、カナダに追加)。

from Meta Will Give $50 Million To The Top Horizon Worlds Creators

【編集部解説】

Metaが発表した5000万ドル規模のHorizon Creator Fundは、同社のメタバース戦略における重要な転換点を示しています。これまでVR中心だった展開から、より包括的なプラットフォームへと進化を図る意思表示と言えるでしょう。

特に注目すべきは、VRデバイスだけでなく、モバイルやデスクトップからのアクセスを重視する方針です。これはRobloxやFortniteなど、既存の成功事例に学んだ結果とみられます。実際、これらのプラットフォームは、デバイスを問わないクロスプラットフォーム展開により、幅広いユーザー層を獲得しています。

新たに導入されるデスクトップエディターは、プロフェッショナルなクリエイターにとって画期的な進展です。TypeScriptによる本格的なプログラミングが可能になり、より複雑なインタラクションや高度なゲームロジックの実装が期待できます。これは、単なる「集まれる場所」から「没入型エンターテインメント空間」への進化を示唆しています。

18カ国での課金機能の展開も重要な一手です。クリエイターが収益を得られる仕組みは、質の高いコンテンツ制作の持続可能性を高めます。特に、アジア太平洋地域への展開は、この地域特有のデジタルコンテンツ消費傾向を考慮すると、大きな可能性を秘めています。

一方で課題も存在します。VRとモバイル・デスクトップでは操作性や没入感が大きく異なるため、クリエイターは両方のプラットフォームに最適化されたコンテンツを制作する必要があります。これは開発コストの増加につながる可能性があります。

また、メタバース市場全体の成熟度も考慮すべき要素です。現時点では「メタバースで何ができるのか」という具体的なユースケースが、一般ユーザーにとってまだ明確ではありません。Metaには、単なる資金提供だけでなく、魅力的なユースケースの創出とその訴求も求められるでしょう。

しかし、今回の大規模な投資は、Metaがメタバース市場の将来性を強く信じていることの表れです。特に、モバイルファーストの戦略は、日本を含むアジア市場での展開を考える上で理にかなっています。今後、より多くのユーザーがメタバース空間にアクセスしやすくなることで、新しいデジタルエコノミーの形成が加速する可能性があります。

【編集部追記】

Meta Horizon Worldsの展開国に日本が含まれていない理由について、以下のように分析できます。

法規制と市場特性

Metaは2025年2月時点で、オーストラリアやフランス、台湾など18カ国に新たにサービスを拡大しましたが、日本、韓国、米国領土は明確に除外されています。これは以下の要因が考えられます:

  • 日本特有のデータプライバシー規制への対応
  • 仮想通貨やデジタルアイテム取引に関する法規制の違い
  • メタバースプラットフォームに対する独自の規制要件

ビジネス戦略的な観点

Meta Horizon Worldsは、クリエイターエコノミーの構築を重視しています。日本市場特有の:

  • デジタルコンテンツ課金システムへの対応
  • 現地クリエイターコミュニティとの関係構築
  • ローカライゼーションコスト

といった要素を慎重に検討している可能性があります。

今後の展望

コミュニティフォーラムでの問い合わせに対して、Metaは日本でのサービス提供について明確な時期を示していません。しかし、アジア太平洋地域への展開を進めている現状を考えると、将来的な日本市場への参入の可能性は十分にあると考えられます。

【用語解説】

メタバース:仮想空間上に構築された3D空間。LINEやZoomが2次元的なコミュニケーションツールだとすれば、メタバースは3次元空間での交流を実現するプラットフォームです。

Horizon Worlds:Metaが開発・運営するメタバースプラットフォーム。LINEオープンチャットのように、誰でも自由に「ワールド(部屋)」を作成し、そこでコミュニケーションやゲームを楽しむことができます。

TypeScript:JavaScriptを拡張したプログラミング言語。より安全で大規模な開発に適しています。

【参考リンク】

Meta Horizon Worlds 公式サイト(外部)Metaが提供するメタバースプラットフォームの公式サイト。基本無料で利用可能。

Meta Quest 公式サイト(外部)VRヘッドセット「Meta Quest」の公式サイト。Horizon Worldsを楽しむために必要なデバイス。

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乗杉 海
新しいものが大好きなゲーマー系ライターです!
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