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Apple、スマートグラス向け専用チップ開発で進展 – 2027年のMeta対抗製品に向け量産準備へ

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-09 13:40 by admin

Bloombergのマーク・ガーマン氏が2025年5月8日に報じたところによると、Appleはスマートグラス向けのカスタムチップ開発で進展を見せている。このチップの量産は2026年後半または2027年初頭に予定されており、製品化は2027年頃と見られる。

開発中のチップはApple Watchで使用されている省電力性に優れたSシリーズチップをベースにしており、複数のカメラをサポートする設計になっている。Appleが開発を計画しているスマートグラスは、Meta(旧Facebook)のRay-Banスマートグラスの競合製品となる見込みである。

Appleのスマートグラスは、iPhone 16で導入されたVisual Intelligence(視覚インテリジェンス)のような視覚マルチモーダルAI機能を統合する可能性が高い。これにより、周囲の環境認識や情報表示などの機能が実現できると考えられる。

ティム・クックCEOは「業界をリードする」ARグラスをMetaより先にリリースすることに強い意欲を示しているとされる。しかし、完全なAR(拡張現実)機能を備えたグラスの開発ははるかに先の話で、早くても2028年、現実的には2030年代になる可能性がある。

その間、Appleは2025年後半または2026年初頭により安価で軽量なVision Proヘッドセットを発売する計画であり、その後Macに接続するスリム化されたヘッドセットも開発中とされる。

References:
 - innovaTopia - (イノベトピア)Apple Is Reportedly Making A Custom Chipset For Its Smart Glasses

【編集部解説】

Appleのスマートグラス向けカスタムチップ開発は、同社のウェアラブル戦略における重要なマイルストーンです。このニュースは、Appleが次世代のコンピューティングプラットフォームとしてスマートグラスを本格的に位置づけていることを示しています。

特筆すべきは、このチップがApple Watchで培った省電力技術を活用している点です。スマートグラスのような小型ウェアラブルデバイスでは、バッテリー寿命と発熱管理が最大の課題となります。Apple Watchの技術を応用することで、一日中快適に使用できるスマートグラスの実現に近づいているのでしょう。

複数のカメラをサポートする設計も重要なポイントです。スマートグラスでは、ユーザーの視界を認識し、適切な情報を表示するために複数の視点からの映像処理が必要になります。iPhone 16で導入されたVisual Intelligence機能と組み合わせることで、周囲の物体や場所を認識し、コンテキストに応じた情報を提供できるようになるでしょう。

現在のスマートグラス市場では、MetaのRay-Banスマートグラスが先行していますが、機能面では限定的です。Appleは後発ながらも、より高度な機能と洗練されたデザインで市場に参入する戦略と思われます。これはiPhoneがスマートフォン市場に参入した際と似たアプローチです。

一方で、完全なAR機能を備えたグラスの実現には、光学技術、バッテリー技術、熱管理、プロセッサー性能など、多くの技術的課題が残されています。そのため、真のARグラスの登場は2028年以降になる可能性が高いとされています。

この間、Appleは段階的なアプローチを取り、まずは2025年後半または2026年初頭により安価で軽量なVision Proの後継機を発売し、その後Macに接続するスリム化されたヘッドセットを開発する計画です。これらの製品を通じて、AR/VR技術とユーザー体験を徐々に進化させていくことでしょう。

スマートグラスは、私たちの情報へのアクセス方法や周囲の世界との関わり方を根本的に変える可能性を秘めています。例えば、外国を旅行中にリアルタイム翻訳が視界に表示されたり、道に迷った時に目の前に方向指示が現れたりするなど、日常生活を大きく変える可能性があります。

Appleがこの分野に本格参入することで、技術革新が加速し、市場全体が活性化することが期待されます。同時に、プライバシーやデジタルウェルビーイングなどの課題にどう対応するかも注目点となるでしょう。

【用語解説】

スマートグラス: メガネ型のウェアラブルコンピュータで、デジタル情報を視界に表示したり、カメラやマイクなどのセンサーを搭載したりしている。スマートフォンの機能を目の前に表示できる次世代デバイスと考えるとわかりやすい。

AR(拡張現実): 現実世界にデジタル情報を重ねて表示する技術。例えば、実際の風景に道案内の矢印を表示するなど。ポケモンGOのようなゲームで体験したことがある人も多いだろう。

Visual Intelligence(視覚インテリジェンス): iPhone 16およびiPhone 15 Proに搭載された機能で、カメラで捉えた対象物を認識し、情報を提供する。例えば、ランドマークや芸術作品を認識して解説したり、植物や動物を特定したりできる。

Sシリーズチップ: Apple Watchに搭載されている省電力プロセッサー。小型デバイスでの長時間バッテリー駆動を可能にする設計になっている。最新のApple Watch Series 9ではS9チップが使用されている。

マルチモーダルAI: 複数の種類の入力(テキスト、画像、音声など)を処理できるAIシステム。スマートグラスでは、カメラで捉えた映像と音声認識を組み合わせて状況を理解するなどの用途が考えられる。

【参考リンク】

Apple Vision Pro(外部)Appleの空間コンピュータ。デジタルコンテンツと現実空間を融合させる革命的なヘッドセット。

Meta Ray-Ban スマートグラス(外部)MetaとRay-Banのコラボレーションによるスマートグラス。カメラやマイク、AIアシスタント機能を搭載。

Apple(外部)世界的な技術企業で、iPhone、Mac、Apple Watchなどの製品を開発・販売している。

【参考動画】

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乗杉 海
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