innovaTopia

ーTech for Human Evolutionー

VRChat、アバターマーケットプレイス機能を近日実装へ ― Unity不要で直接アバターを試着・購入可能に

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-05-15 17:08 by admin

VRChatは2025年5月15日(日本時間)に公式フォーラムにて「Avatar Marketplace(アバターマーケットプレイス)」の近日リリースを発表した。このマーケットプレイスは、ユーザーがVRChat内で直接アバターを購入できる新機能で、Unityの知識や外部ウェブサイトを利用せずにアバターを入手することが可能になる。

新システムでは、ユーザーはVRChat内のAvatarsタブからExploreをクリックするだけで、アバターを閲覧できる。気に入ったアバターを見つけたら、試着することができ、自分だけに見える状態でアバターの雰囲気やサイズ感を確認した後、VRChatクレジットを使って購入できる。購入したアバターは「My Avatars」タブの「Purchased」リストに追加される。

アバターを販売するクリエイターは、クリエイターエコノミーに参加し、VRChatのウェブサイトからアバターをマーケットプレイスに投稿し、VRChatチームによる審査を受ける必要がある。販売時の収益配分は、50%がクリエイターに、30%がMetaやSteamなどのプラットフォーマーに、20%がVRChatに還元される。

マーケットプレイスのローンチ時には、厳選された高品質なアバターが提供され、初期段階では「選ばれたクリエイター」のみが参加可能で、徐々に拡大していく見込みだ。注目すべきは、Polyarc社の人気VRゲーム「Moss」シリーズに登場するキャラクター「Quill」が、初期アバターの一つとして利用可能になることが発表されている。

VRChatは今後、タグ検索やフィルタリング機能など、マーケットプレイスの改善を計画しており、購入プロセスの簡素化や新しい販売者の継続的な追加も予定している。

References:
 - innovaTopia - (イノベトピア) VRChat Avatar Marketplace Opens To VR Fashion Designers

【編集部解説】

VRChatが発表したアバターマーケットプレイスは、単なるアバター販売システムにとどまらない、仮想世界におけるアイデンティティ表現の革命と言えるでしょう。この新機能は、技術的な知識がなくても誰もが自分らしいアバターを見つけられる環境を整えることで、VR空間での自己表現の可能性を大きく広げます。

特に注目すべきは、このシステムがVRファッションデザイナーという新たなクリエイター層に活躍の場を提供する点です。従来、VRChatでアバターを入手するには、Unityの知識が必要だったり、専門的なウェブサイトを経由する必要がありました。こうした技術的ハードルが、多くのユーザーにとって理想のアバターを見つける障壁となっていました。

新システムでは、VRChat内でアバターを試着し、その場で購入できるようになります。これは実店舗での買い物体験に近く、自分だけに見える状態でアバターを試せるプライベート試着機能も実装されています。この機能により、ユーザーは自分の体型や雰囲気に合うアバターを直感的に選べるようになります。

クリエイター側にとっても、このマーケットプレイスは大きなメリットをもたらします。VRChatの担当者によると「クリエイターたちは、Unityの使い方に不慣れなユーザーをサポートする負担が大きかった」とのこと。新システムではその負担が軽減され、クリエイターはサポート業務ではなく創作活動に集中できるようになります。

また、Polyarc社の人気VRゲーム「Moss」シリーズのキャラクター「Quill」が初期アバターとして登場することも発表されており、今後も様々なIPとのコラボレーションが期待できます。これは、VRChatが単なるソーシャルプラットフォームからエンターテイメントプラットフォームへと進化する兆しとも言えるでしょう。

一方で、購入したアバターのソースファイルはマーケットプレイスからダウンロードできない点には注意が必要です。クリエイターが購入者にソースファイルへのアクセス権を与えることは可能ですが、VRChatによる公式サポートはありません。また、購入したアバターの公開やクローンも不可となっています。

長期的な視点では、このマーケットプレイスはメタバース空間におけるデジタルファッション産業の成長を加速させる可能性があります。実世界のファッションブランドがVR空間に進出する動きも活発化しており、将来的には実世界とVR世界のファッションが融合する未来も見えてきます。2025年6月には「TOKYO AVATAR GATE」というVRChat対応のデジタルファッションマーケットプレイスもグランドオープンを予定しており、デジタルファッション市場の拡大が期待されています。

VRChatのアバターマーケットプレイスは、テクノロジーの進化によって「自分らしさ」の表現方法が多様化する現代社会において、新たな自己表現の形を提供するプラットフォームとして機能していくでしょう。技術的な知識を持たないユーザーでも、自分らしいアバターを簡単に見つけられる環境が整うことで、VR空間での人間関係や文化がさらに豊かになることが期待されます。

【用語解説】

アバター
メタバース内でユーザーの分身として使用される3Dモデルで表現されたキャラクター。ユーザーはアバターを通じて仮想空間内を移動し、他のユーザーとコミュニケーションを取る。

アバターマーケットプレイス
VRChat内で直接アバターを購入できる新機能。ユーザーはVRChat内のAvatarsタブからExploreをクリックするだけで、アバターを閲覧・試着・購入できる。

VRChatクレジット
VRChat内で使用できるアプリ内通貨。1米ドルで120クレジットが購入でき、クリエイターへの支払いは200クレジットで1米ドルとなる。3万クレジット(約150米ドル)から申請可能。

クリエイターエコノミー
VRChatが提供するクリエイター支援プログラム。アバターマーケットプレイスで販売するには、このプログラムに参加する必要がある。

コライダー
VRChat内での物理的な当たり判定を持つオブジェクト。アバターやワールド内のオブジェクトが互いに接触するために必要な要素。

プラベ
「プライベートインスタンス」の略。他のユーザーを招待しない限り、一人だけで利用できるVRChat内の空間。

インスタンス
VRChat内の同じワールドの複製。多くのユーザーが同時に同じワールドを訪れても混雑しないよう、自動的に作成される。

ワールド
メタバース内の個別の仮想空間や環境。ユーザーは様々なワールドを訪れたり、自らワールドを作成したりできる。

Quill
Polyarc社の人気VRゲーム「Moss」シリーズに登場するネズミのキャラクター。VRChatのアバターマーケットプレイスの初期アバターとして利用可能になる予定。

デジタルファッション
デジタル上で制作・表現されるファッション領域全般のこと。主にSNSやゲーム、メタバース内で使用するアバターに着用させる衣服や靴、アイテムを指す。2023年のグローバル市場規模は約150億ドルに達し、2030年までに1,071億ドルに達すると推計されている。

【参考リンク】

VRChat公式サイト(外部):
VRChatはユーザーが仮想世界を作成、公開、探索し、世界中の人々と交流できるソーシャルVRプラットフォーム。PCとVRヘッドセットの両方に対応している。

Polyarc公式サイト(Moss開発元):
(外部)「Moss」を開発したPolyarc社のVRゲーム紹介ページ。Quillというネズミのキャラクターが主人公のアクションアドベンチャーパズルゲーム。

TOKYO AVATAR GATE(外部):
Hakuhodo DY ONEとARROVAが運営するVRChat対応のデジタルファッションマーケットプレイス。日本のマンガ・アニメなどの公式作品とコラボレーションしたデジタルファッションを販売。2025年6月グランドオープン予定。

EXTENSION CLOTHING(外部):
VRファッションデザイナー・アルティメットゆい氏が設立したバーチャル衣装ブランド。自身が欲しいアイテムを中心に様々なVR向けファッションアイテムを制作している。

G-SHOCK × VRChat(外部):
カシオのG-SHOCKがVRChat上に展開する公式ワールド。アバターにG-SHOCKを装着できるデジタルアイテムや、カスタマイズサービスなどを提供している。

【関連記事】

VR/ARニュースをinnovaTopiaでもっと読む

投稿者アバター
乗杉 海
新しいものが大好きなゲーマー系ライターです!
ホーム » VR/AR » VR/ARニュース » VRChat、アバターマーケットプレイス機能を近日実装へ ― Unity不要で直接アバターを試着・購入可能に