ロリポップ!AIエージェントクラウドがxAI Grok対応、Hermes AgentがXのリアルタイム検索を獲得

「今、Xでこの話題どう受け止められてる?」——その問いに、AIエージェントが代わりにXの中を歩き回って答えを持ち帰ってくれる。そんな仕組みが、専門知識ゼロのまま手元に届く時代がやってきました。GMOペパボのロリポップ!AIエージェントクラウドが、xAIのGrokとの連携を開始。設定にかかる時間はわずか5分です。


GMOペパボが提供する「ロリポップ!AIエージェントクラウド byGMOペパボ」は、Hermes AgentのLLM設定においてxAI Grokへの対応を開始した。

Grokを設定するとx_searchツールが自動で有効になり、AIエージェントがX(旧Twitter)上の公開投稿をリアルタイムに検索して回答できる。XのサブスクリプションであるX Premium+またはSuperGrokを契約しているユーザーは、追加のAPI課金なしでGrok-4.3などのGrok-4系モデルを利用可能で、トークン従量課金は発生しない。連携の所要時間は5分で、手順は5段階からなる。具体的には、Mac / LinuxまたはWindowsでGrok CLIをインストールし、ターミナルまたはPowerShellを再起動した上でgrok loginを実行し、xAIアカウントでログインする。その後、Mac / Linuxでは~/.grok/auth.json、Windowsでは%USERPROFILE%\.grok\auth.jsonに生成されるauth.jsonファイルを、管理画面のLLM設定タブにあるxAI Grokカードにアップロードし、モデルを選択して完了する。

From: 「今のXで何が話題?」AIエージェントがリアルタイムに答えます — Grok連携スタート

【編集部解説】

ロリポップ!AIエージェントクラウドは、もともと2026年4月にOpenClaw対応で提供を開始し、その後同月28日にHermes Agentを搭載しました。Hermes Agent搭載は、国内主要ホスティング7社比較においてマネージドサービスとして初(GMOペパボ調べ、2026年4月28日時点)とされています。今回のxAI Grok対応は、その流れに続く主要アップデートの一つに位置付けられます。

今回の連携で特筆すべきは、AIエージェントが「Xのリアルタイム情報」へ直接アクセスできるようになった点です。技術的には、GrokのResponses APIに組み込まれたx_searchというツールを、Hermes Agent側が自動で有効化する仕組みになっています。一般的なWeb検索ツールと異なり、xAIのX Searchツールを通じてX上の情報を取得する構造のため、引用元情報を伴う回答が可能です。

ここで重要なのが「課金体系の選択肢」です。通常、Grok APIはトークン単位の従量課金となりますが、今回の手順ではxAIのOAuth認証(auth.jsonによるログイン情報)を用いる仕組みのため、X Premium+またはSuperGrokのサブスクリプション契約があれば、利用枠の範囲内で追加料金が発生しません。AIエージェントを24時間動かしっぱなしにする用途では、この差は運用コストを大きく左右します。

ユースケースとしては、競合サービスの評判モニタリング、トレンド分析、Xへの投稿案の自動生成といった、ソーシャルリスニング業務との親和性が高いと考えられます。Hermes Agentは長期記憶や経験の蓄積を特徴とする「自己成長型」エージェントですから、毎朝の定期実行で得た知見を積み重ねることで、運用するほど自社文脈への最適化が期待できる設計です。

一方で、慎重に見るべき側面もあります。X上の情報はリアルタイム性に優れる反面、誤情報やボットによる投稿、文脈の欠落といったノイズも多く含まれます。エージェントの回答をそのまま意思決定に用いると、判断を誤るリスクは無視できません。また、auth.jsonにはxAIアカウントの認証情報が含まれるため、ファイルの取り扱いには注意が必要であり、アップロード先のサービスを信頼できるかどうかも前提条件として確認しておきたいところです。

規制面では、欧州のDSA(デジタルサービス法)や、日本でも検討が進む生成AIガバナンスの議論において、「リアルタイムSNS情報を学習・参照するAIエージェント」は新たな論点を生む可能性があります。誰の投稿を、どの権限で、どのように要約・再配布するのか——プラットフォームと利用者、第三者の権利関係の整理は、今後数年の課題となるでしょう。

長期的な視点で言えば、今回の発表は「日本のホスティング事業者が、AIエージェント時代のインフラ提供者へと役割を変えつつある」象徴的な事例です。レンタルサーバーがWordPressを動かすための基盤だった時代から、AIエージェントを24時間動かすための基盤へ。Tech for Human Evolutionの観点からは、専門知識を持たない個人や中小企業にも、自律的に動くAIパートナーが手の届く存在になりつつあるという、地殻変動の一場面と捉えられます。

【用語解説】

AIエージェント
LLM(大規模言語モデル)を活用し、ユーザーの指示に基づいてタスクを自律的に実行するソフトウェアのこと。単に質問に答えるチャット型AIとは異なり、ファイル操作、Web検索、外部サービスとの連携など、複数のステップを伴う作業を自ら判断しながら遂行する。

AIエージェントフレームワーク
AIが目的達成のために自律的な判断・行動(プログラミングや外部サービス連携など)を行えるようにするための実行基盤のことだ。Hermes AgentやOpenClawがこれに該当する。

LLM(大規模言語モデル)
Large Language Modelの略称。膨大なテキストデータで学習された自然言語処理モデルで、文章生成、要約、翻訳、コード生成などを担う。Grok-4系、ChatGPT、Claudeなどが代表例となる。

x_search
xAIのResponses API内に組み込まれている専用ツールで、X(旧Twitter)の投稿、プロフィール、スレッドに対するキーワード検索、セマンティック検索、ユーザー検索などを実行できる機能のこと。検索処理はGrok側のサーバーで完結し、引用元のXの投稿情報を伴った結果が返される仕組みだ。

Grok-4 / Grok-4.3
xAI(イーロン・マスク氏が創業)が開発・提供する大規模言語モデルのシリーズ。Xのリアルタイムデータへのアクセス、推論能力、コード生成能力などを備える。本サービスではGrok-4系モデルが利用可能で、xAI公式ドキュメントではGrok-4.3が新世代モデルとして案内されている。

X Premium+ / SuperGrok
Xが提供する有料サブスクリプションプラン。X Premium+またはSuperGrokを契約しているユーザーは、Grokを利用枠内で使用できる。これにより、API従量課金とは別ルートでGrokのモデルを呼び出せる。

マネージドサービス
サーバーの構築をはじめ、OSやソフトウェアの導入、セキュリティアップデート、バージョンアップといった日々の運用管理をサービス提供側が代行する仕組みのことだ。利用者は煩雑なインフラ管理に時間を取られることなく、AIの活用に専念できる。

自己成長型AI(長期記憶)
タスクの実行経験を「スキル」として自律的に蓄積・再利用し、セッションをまたいで記憶を保持するタイプのAIエージェントの設計思想を指す。Hermes Agentが特徴とする機能であり、使い込むほどユーザーの業務や好みに最適化されていく。

OAuth / auth.json
OAuthはサードパーティアプリに対し、パスワードを共有せずに認証情報を委譲するための業界標準プロトコル。auth.jsonは、Grok CLIによるOAuthログイン後にローカル環境に生成される認証情報ファイルで、Grokサブスクリプションの利用権限を保持している。

ソーシャルリスニング
SNS上の投稿、評判、トレンドを継続的に収集・分析し、マーケティングや経営判断に活用する手法のことを指す。本サービスとGrokの組み合わせは、この用途との親和性が高い。

DSA(デジタルサービス法)
Digital Services Actの略。欧州連合(EU)で2022年10月に採択・発効し、2024年2月17日から全面適用が開始された規則。大規模オンラインプラットフォーム事業者に対し、違法コンテンツの削除、透明性確保、リスク評価などの義務を課している。

【参考リンク】

ロリポップ!AIエージェントクラウド byGMOペパボ(外部)
GMOペパボが提供する、AIエージェントを専門知識なしでクラウド上に構築できるマネージドサービスの公式ページ。

GMOペパボ株式会社(外部)
ロリポップ!レンタルサーバーやmuumuuドメイン、SUZURI、minneなどを運営するインターネットサービス企業の公式サイト。

xAI(Grok)公式サイト(外部)
イーロン・マスク氏が創業したAI企業の公式サイト。Grokシリーズや関連APIの最新情報が掲載されている。

xAI Developer Docs – X Search(外部)
xAI公式開発者ドキュメント内、x_searchツールの仕様、利用方法、サンプルコードを説明したページ。

Nous Research(Hermes Agent開発元)(外部)
Hermes Agentをはじめとするオープンソースの自己成長型AIエージェントを開発する米国の研究組織の公式サイト。

Hermes Agent 公式ドキュメント(外部)
Hermes Agentのインストール、機能、x_searchをはじめとする各種ツール連携を解説する開発者向け公式ドキュメント。

X Premium(外部)
X(旧Twitter)の有料サブスクリプションプラン解説ページ。X Premium+やSuperGrokを含むGrok関連機能の利用条件が確認できる。

【参考記事】

国内初!Hermes Agent に対応『ロリポップ!AIエージェントクラウド byGMOペパボ』(外部)
GMOペパボ公式プレスリリース。2026年4月28日付で国内主要7社比較におけるマネージドサービスとして初対応した旨を発表した一次情報。

GMOペパボ、自己成長型AI「Hermes Agent」をクラウドで利用可能に 国内初(外部)
Impress Watchの報道。ロリポップ!AIエージェントクラウドの月額1,200円という料金体系について報じている。

ロリポップ!AIエージェントクラウドに自己成長型「Hermes Agent」(外部)
AI Watchによる解説記事。Hermes Agentが公開数週間でGitHubスター数10万超を集めた経緯を整理している。

X Search | xAI Docs(外部)
xAI公式開発者ドキュメント。x_searchがResponses API経由で呼び出される技術的な仕組みを解説した一次資料。

X (Twitter) Search | Hermes Agent(外部)
Hermes Agent公式ドキュメント。xAI認証情報の有無で自動有効化される仕様と、OAuth優先の動作を解説する。

xAI Grok OAuth (SuperGrok / X Premium+) | Hermes Agent(外部)
SuperGrokおよびX Premium+契約者がOAuth経由でHermes AgentからGrokを使う手順をまとめた公式ガイド。

ロリポップ!AIエージェントクラウドが登場(innovaTopia)(外部)
innovaTopia既掲載記事。2026年4月の提供開始からHermes Agent追加までの経緯と両フレームワークの違いを整理。

The Digital Services Act package(European Commission)(外部)
欧州委員会が運営するDSA公式情報ページ。法律の成立経緯、適用範囲、義務内容を参照できる一次情報。

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【編集部後記】

AIエージェントに「今、Xで何が話題?」と尋ねるだけで、リアルタイムの空気感が手元に届く時代がやってきました。みなさんなら、この仕組みをどんな場面で活かしたいと感じますか。自社サービスの評判を毎朝確認することでしょうか。それとも、新しい技術トレンドを追いかける情報源として組み込むことでしょうか。

AIエージェントが情報収集の入り口になる未来は、思っている以上に身近です。よろしければ、ご自身の業務や関心領域に重ねて、活用のかたちを一緒に想像してみていただけたらうれしいです。

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Ami
テクノロジーは、もっと私たちの感性に寄り添えるはず。デザイナーとしての経験を活かし、テクノロジーが「美」と「暮らし」をどう豊かにデザインしていくのか、未来のシナリオを描きます。 2児の母として、家族の時間を豊かにするスマートホーム技術に注目する傍ら、実家の美容室のDXを考えるのが密かな楽しみ。読者の皆さんの毎日が、お気に入りのガジェットやサービスで、もっと心ときめくものになるような情報を届けたいです。もちろんMac派!