ChatGPT・Gemini利用増、「なくなったら困る」59.2%|生成AI依存と検索離れの実態

[更新]2026年5月30日

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ICT総研は2026年5月、2026年2月実施の「生成AIサービス利用動向調査」の追加分析結果をまとめた。調査はインターネットユーザー2,024人へのWebアンケートである。生成AIが使えなくなった場合「非常に困る」は18.3%、「ある程度困る」は40.9%で、合計59.2%が困ると回答した。

1年以内の継続利用意向は合計55.9%、「利用する予定はない」は15.8%であった。利用頻度が半年前より増えたとの回答はChatGPT(OpenAI)が67.2%、Gemini(Google)が66.4%、Microsoft Copilotが57.4%、Gensparkが60.0%、Claude(Anthropic)が39.4%である。

生成AI利用後に利用頻度が減ったものは検索エンジンが41.3%、SNSが23.6%であった。今後期待することは「より正確で信頼できる情報提供」が56.6%で最多であった。

From: 文献リンク2026年5月 生成AI価値実感と継続意向調査|ICT総研

株式会社 ICT 総研 公式プレスリリースより引用

【編集部解説】

このレポートから読み取れるのは、生成AIをめぐる利用者の関心が、「使ってみるか」から「手放せるか」へと比重を移しつつある様子です。ICT総研が2026年2月に公表した親調査では、ネット利用者の生成AI利用経験率が54.7%まで上昇し、利用者数は2026年末に3,553万人へ達する見込みと推計されました。前回2024年6月調査の29.0%から25.7ポイントの急上昇です。今回の追加分析は、その急拡大した利用者層が「どれだけ生活に食い込んだか」を測る続報にあたります。

ここで一点、読み解きの注意点を補っておきます。「なくなったら困る」が59.2%という数字は、生成AIの利用経験者を母数とした割合です。一方の「1年以内に使う意向55.9%」は、未利用者を含む全回答者2,024人が母数となっています。母数が異なるため、この二つを単純に並べて「依存も意欲も約6割」と読むと実態を取り違えます。前者は「すでに使っている人の手放しにくさ」、後者は「社会全体への広がりしろ」を指す、別々の指標と理解するのが正確です。

このレポートでとくに技術史的に注目したいのは、検索エンジンの利用が減ったと答えた人が41.3%に上った点でしょう。検索窓にキーワードを打ち込み、複数のリンクを開いて自分で答えを組み立てる——20年以上続いてきた情報収集の作法が、対話で整理済みの答えを受け取る方式へと変わり始めている可能性を示しています。

ただし、ICT総研の「パラダイムシフトはより顕著になる」という見立ては、少し冷静に補正しておきたいところです。海外の調査を重ねると、検索の変化は「消滅」ではなく「再分配」と捉えるほうが実態に近いからです。調査会社ガートナーは2026年までに従来型検索の利用量が25%減少すると予測しましたが、別の利用者調査では、AIチャットを主要または頻繁な調査手段として使う人が55%に達した一方、リサーチで「ふだん検索を使う」と答えた割合はむしろ前年比で増えていました。本レポート自身も「特に変わらない」が28.8%あると記しており、両者の共存は当面続くと読むのが穏当です。

それでも、利用者が生成AIに何を求めているかは明確です。今後への期待で最多だったのは「より正確で信頼できる情報提供」の56.6%でした。これは裏を返せば、現状の生成AIの精度に物足りなさを感じている表れとも読めます。つまり利用者は、便利さは十分に体感しつつ、最後の信頼の一線——事実の正確さ——を埋めてほしいと望んでいると考えられます。

ここに潜在的なリスクが重なります。誤った情報をもっともらしく生成する「ハルシネーション」が解消されないまま検索離れが進めば、出典をたどる習慣が薄れ、誤情報を検証なしに受け入れる土壌が広がりかねません。今回の調査が直接実証した事実ではなく、あくまで懸念としての論点ですが、情報源の透明性や引用の確かさは、今後のサービス選定で重要な差別化要因になっていくと見られます。

産業への波及も見逃せません。検索流入を前提に成り立ってきたWebメディアや広告、SEOの世界では、AIの回答内に「引用される」ことを狙うGEO(生成エンジン最適化)を意識する動きが広がりつつあります。innovaTopiaの読者の多くが関わる領域でも、コンテンツの作り方と評価のされ方が静かに組み替えられている最中だと言えるでしょう。

長期で見れば、この調査は「定着の最初の踏み台」を記録したものと位置づけられます。利用者がサービスに正確性を求め、企業がそれに応えて検索との連携を深めていけば、生成AIは試用フェーズを抜け、電気や検索エンジンのように「あって当たり前の基盤」へと組み込まれていく可能性があります。手放せない道具になりつつあるいまこそ、その答えをどこまで信頼し、どこで自分の頭で検証するか——使い手側の作法が問われる段階に入った、と捉えられそうです。

【用語解説】

生成AI(生成系AI)
テキストや画像、音声などを自動で作り出すAIの総称である。大量のデータから学習したパターンをもとに、利用者の指示(プロンプト)に応じて新たな文章や回答を生成する。ChatGPTやGeminiなどの対話型サービスが代表例だ。

ハルシネーション
生成AIが事実に基づかない内容を、もっともらしい形で出力してしまう現象を指す。「幻覚」と訳される。誤情報であっても自然な文章で提示されるため、利用者が気づきにくい点が課題とされる。本調査で「正確な情報提供」への期待が最多だった背景には、この問題への懸念がある。

GEO(生成エンジン最適化/Generative Engine Optimization)
生成AIの回答内に自社の情報が引用・言及されることを狙う最適化手法である。検索結果での上位表示を目指す従来のSEO(検索エンジン最適化)に対し、AIが答えを組み立てる際の「情報源」として選ばれることを重視する考え方だ。

【参考リンク】

ICT総研(外部)
今回の調査を発表した、ICT分野専門の独立系市場調査・コンサルティング会社。

OpenAI(ChatGPT)(外部)
ChatGPTを開発・提供する米国のAI企業。本調査で利用率・利用頻度の増加率ともに首位。

Google Gemini(外部)
グーグルの対話型生成AI。利用頻度の増加率はChatGPTに次ぐ66.4%を記録した。

Microsoft Copilot(外部)
マイクロソフトの生成AIアシスタント。OfficeやWindowsなど自社製品との連携が特徴。

Genspark(外部)
米MainFuncの自律型AIエージェント。調査・資料作成・電話代行などを自動で実行する。

Anthropic(Claude)(外部)
対話型生成AI「Claude」を開発する米企業。利用が定着した層が多い傾向が示された。

Gartner(ガートナー)(外部)
米国の調査・アドバイザリー企業。ITや市場動向に関する予測を公表している。

【参考記事】

Gartner Predicts Search Engine Volume Will Drop 25% by 2026(外部)
2026年までに従来型検索の利用量が25%減少すると予測。生成AIが検索を代替する流れを指摘する。

The AI-Search Adoption Survey(Orbit Media Studios)(外部)
AI検索の利用実態を年次で追った調査。AIと検索が置き換えでなく共存する構図を数値で示す。

2026年2月 生成AIサービス利用動向に関する調査(ICT総研)(外部)
親調査の発表。利用経験率が29.0%から54.7%へ上昇、利用者数の推計も掲載している。

ICT総研、「2026年2月 生成AIサービス利用動向調査」の結果を発表(日本経済新聞)(外部)
親調査の主要結果を報道。利用者数が2029年末に5,160万人へ拡大する見通しを伝える。

生成AI利用者の59.2%が「なくなったら困る」と回答(commercepick)(外部)
今回の追加分析を国内メディアが報道。4つの主要結果を整理して紹介している。

【関連記事】

ChatGPT・Gemini・Copilot ── 日本の生成AI利用率が54.7%に急伸、ICT総研調査
本記事の母体となった2026年2月の親調査を扱った前編。利用者数推計やサービス別シェアを解説している。

2026年版 生成AI検索(AI Overviews)最適化:Google公式指針の深掘りと次世代戦略レポート
本記事の「検索離れ41.3%」と直結。ゼロクリックの現実とGEOの実務をデータ付きで深掘りしている。

Google公式が示した生成AI検索のSEO新ガイド、AEO・GEOは「依然SEO」
GEO・AEOの位置づけを整理した記事。ガートナーの検索25%減予測など、本記事の参照データも扱う。

Google AI Modeはデフォルト検索になるのか─I/O 2026が問う「10本のリンク」の行方
検索からAIへの移行がWebメディアに与える影響を論じた記事。編集部後記の問いとも響き合う。

【編集部後記】

生成AIが「なくなったら困る」道具になったいま、ふと立ち止まって考えてみたくなります。みなさんは、調べものをするとき検索とAI、どちらを先に開くようになりましたか。

そして、返ってきた答えをどこまで信じ、どこまで自分の目で確かめているでしょうか。私たち編集部も、まさに同じことを手探りしている最中です。便利さと正確さのあいだで、自分なりの付き合い方を見つけていく——その過程を、みなさんと一緒に考えていけたらうれしいです。

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omote
デザイン、ライティング、Web制作を行っています。AI分野と、ワクワクするような進化を遂げるロボティクス分野について関心を持っています。AIについては私自身子を持つ親として、技術や芸術、または精神面におけるAIと人との共存について、読者の皆さんと共に学び、考えていけたらと思っています。