DeepSeekが新しいモデルの重みを公開した3日後、米国の官報に、そのDeepSeekを政府のITから外す命令が載りました。命令の署名は7月24日です。前日には国務省が、元Googleエンジニアの会社と、そこに出資した中国のVCを制裁対象にしています。同じ「中国のAI」をめぐる措置でも、2つが止めているものは違います。
米国土安全保障省(DHS)は10月20日付の官報で、中国のDeepSeekの製品を連邦政府の民間機関の調達とITシステムから排除する命令を公示した。命令は連邦調達サプライチェーン安全法(FASCSA)に基づき、マークウェイン・マリン長官が7月24日付で出したもので、DeepSeekの実装を使って開発された他社の製品・サービスも撤去の対象に含む。前日の19日には米国務省が、元Googleのエンジニアが設立した上海至算科技(Zhisuan)と、同社に出資したMiraclePlusなど5団体を、米国知的財産保護法(PAIPA)に基づいて制裁対象に指定した。資産の凍結など5項目の制裁を科す。
10月19日と20日、米国政府は中国のAIに関わる2つの措置を続けて公表しました。発表した省庁も、根拠になった法律も違います。並べて見出しにすると「中国AIへの締め付け」とひとくくりにされがちですが、一方は政府が自分のITから何を外すかを決める調達のルールで、もう一方は営業秘密の窃取に関わった団体の資産と資金の流れを制限する金融制裁です。止めているものが違います。
各国によるDeepSeekの利用制限(77013)や、元Googleエンジニアの起訴(16916、17373)、10月17日に公開されたDeepSeekの新モデル(119008)は、innovaTopiaでも個別の記事として伝えてきました。ここでは官報、国務省と財務省の公表資料、裁判所の記録をもとに、2つの措置が「誰に、何を、どこまで」求めているのかを読み解きます。
2つの措置に至る主な動き
| 時期 | 出来事 | 関連記事/出典 |
|---|---|---|
| 2023年1月 | PAIPAが成立 | 米国務省 |
| 2024年3月 | 元Googleのリンウェイ・ディン氏が営業秘密の窃取で起訴される | 16916、17373 |
| 2025年9月 | 国家情報長官室によるAcronisの調達除外・撤去命令がSAM(米政府の調達システム)に掲載される。FASCSAに基づく最初の命令とされる | 法律事務所Mayer Brownの解説 |
| 2026年1月 | 各国のDeepSeek利用制限をinnovaTopiaで整理 | 77013 |
| 2026年1月 | 陪審がディン氏を経済スパイ罪7件と営業秘密窃取罪7件で有罪と評決 | 米司法省 |
| 2026年7月24日 | DHS長官がDeepSeekの排除・撤去命令(#2026-01)に署名 | 官報の付録 |
| 2026年8月20日 | 連邦地裁が経済スパイ罪7件を無罪とし、営業秘密窃取罪7件の有罪は維持 | 連邦地裁の命令 |
| 2026年9月1日 | ディン氏に禁錮12か月から1日を引いた刑期と、2年間の監督付き釈放の判決 | 連邦地裁の判決書 |
| 2026年10月17日 | DeepSeekが「DeepSeek-V4.1-Flash-1017」を公開 | 119008 |
| 2026年10月19日 | 国務省がZhisuanとMiraclePlusなど5団体をPAIPAで制裁対象に指定。財務省外国資産管理局(OFAC)が一般許可を2本発行 | 米国務省、OFAC |
| 2026年10月20日 | DHSがDeepSeekの排除命令を官報で公示 | 米官報 |
DHSの命令:民間機関のITから何を外すのか
署名は7月、公示は10月
官報に載った通知は、DHSの法律顧問名で出された短い文書です。命令そのものは付録に画像で付いており、表題は「Exclusion and Removal Order #2026-01」、日付は2026年7月24日です。署名したのはマリン長官で、写しは行政管理予算局(OMB)の局長に送られています。署名から官報での公示まで、約3か月の間があります。
命令は、連邦調達安全評議会(FASC)の勧告と関連する証拠を長官が検討したうえで出したものです。FASCが勧告し、命令を出す権限を持つ者が判断する。これがFASCSAの決めた手順で、命令を出す権限は、対象のシステムに応じてDHS長官、国防長官、国家情報長官に割り振られています。
求めていることは2つ
命令が連邦の民間機関に求めていることは2つです。
1つ目は調達からの除外です。DeepSeekと関連会社、その製品を、民間機関の調達から外します。承認済みの製品リストや、政府向けの電子商取引のマーケットなども含みます。命令の発出後ただちに効力を持ちます。
2つ目はシステムからの撤去です。DeepSeekと関連会社の製品に加えて、「DeepSeekの実装を使って開発された第三者の製品・サービス」も、民間機関のITシステムから取り除くよう求めています。調達からの除外についても、脚注で、民間機関に製品やサービスを提供するために使われる第三者のDeepSeek実装を含むとしています。DeepSeekのアプリを外すだけでは済まず、DeepSeekのモデルを組み込んだ他社の製品も対象になります。
適用が難しい機関は、発出から60日以内に、適用の除外や遵守の延期などを書面で申請できます。CISAが審査し、書面で承認か不承認を伝えます。撤去が終わるまでの間は、通信の監視、ログの強化、データの持ち出しの制御、異常な動きの検知を進めるよう促しています。長官は1年以内に命令を見直し、その後も毎年見直します。
対象外のもの
命令の適用範囲は、連邦の民間行政機関です。国家安全保障システムと機密区画化情報(SCI)システムは、命令の文面で対象から外されています。これらのシステムについてFASCSAに基づく命令を出す権限は、対象に応じて国防長官か国家情報長官にあり、今回のDHSの命令は適用されません。
また、命令には、民間の企業や個人によるDeepSeekの利用を禁じる規定はありません。対象は連邦の民間機関の調達とITです。ただし、連邦の民間機関に製品やサービスを納める企業にとっては、自社製品にDeepSeekの実装が入っていないかが、納入の可否に関わってきます。
なぜDeepSeekなのか:命令が挙げた理由
命令は「供給元からのリスクの要約」として、次の点を挙げています。
- DeepSeekのサーバーは中国にあり、中国の法制度は、政府のサイバー・情報機関に民間企業のインフラへの広いアクセスを認めている
- DeepSeekが運営するサービスでは、アカウントの作成時に個人を特定できる情報を集め、利用者の追跡やデジタル指紋の取得を行う可能性がある
- 質問と回答をやり取りする仕組み上、政府職員や納入業者が使えば、機微な情報が中国に移る可能性がある。その情報は、単独でも公開情報と組み合わせても、米国人や政府の計画についての情報になり得る
- モデルそのものにマルウェアや脆弱性が含まれている可能性がある。オープンソースのセキュリティ研究では、iOSアプリに重大な脆弱性が複数見つかっている
根拠として脚注に並んでいるのは、DeepSeekのプライバシーポリシー、米下院の中国特別委員会の報告書(2025年4月)、セキュリティ企業NowSecureによるiOSアプリの分析(2025年2月)などです。理由の中心は、モデルの性能や価格ではなく、データがどこに置かれ、誰の手に渡り得るかです。1月に整理した各国の利用制限(77013)でも、懸念の中心は同じでした。
DeepSeekは10月17日に「DeepSeek-V4.1-Flash-1017」の重みをMITライセンスで公開したばかりです(119008)。命令の対象には「DeepSeekの実装を使って開発された第三者の製品」が含まれます。公開された重みを使って他社が作った製品に、この文言がどこまで及ぶのか。どの段階の利用を「実装」とみなすのかは、命令の文面からは読み取れません。命令は例外申請の審査を定めていますが、個別の審査結果が公表されるかは示していません。「実装」の境界は、今後のCISAの説明や運用を見ていく必要があります。
国務省の制裁:誰が、なぜ指定されたのか
指定された5団体
国務省が10月19日に公表したファクトシートによると、指定された5団体と指定の理由は次のとおりです。
| 団体 | 説明(国務省の発表による) | 指定の理由 |
|---|---|---|
| 上海至算科技(Shanghai Zhisuan Technology Co Ltd、Zhisuan) | 2023年にディン氏が設立。スーパーコンピューター用のチップで動く大規模なAIモデルの学習などを速めるソフトウェア基盤を開発できると売り込んでいた | 米国人の営業秘密の重大な窃取に、認識しながら関与した、または利益を得た。その窃取は、米国の安全保障などへの重大な脅威をもたらすと合理的に見込まれる、またはすでにその脅威に重大な寄与をした |
| Qiji Chuangtan Beijing Investment Management Co Ltd(MiraclePlus) | 中国のスタートアップに投資するVC。年2回、選抜したスタートアップが投資家に追加の資金を求められるプログラムを開く。出資と引き換えにZhisuanの株式を取得 | その窃取に対する重大な資金面などの支援 |
| Beijing Qiji Chuangtan Phase I Venture Capital Center Limited Partnership(Phase I) | 2020年設立。MiraclePlusが運用するファンド | MiraclePlusが直接・間接に所有・支配している、またはその代理などとして行動した、もしくはそう称していた |
| Beijing Qiji Chuangtan Phase II Venture Capital Center Limited Partnership(Phase II) | 2022年設立。MiraclePlusが運用するファンド | 同上 |
| Beijing Qiji Chuangtan Zhiyuan Enterprise Management Center Limited Partnership(Zhiyuan Enterprise) | Phase Iが全額出資 | 同上 |
国務省によると、ディン氏はZhisuanとしてMiraclePlusのプログラムに応募し、Googleの技術や社内システムについての知識を売り込み、Googleの基盤技術を再現できると主張していました。連邦地裁の8月20日の命令にも、この経緯が記録されています。ディン氏は2023年5月にMiraclePlusに応募し、8月に採択されました。参加にあたってMiraclePlusの投資部門から500万元(約70万ドル)の出資を受け、Zhisuanの株式7%と引き換えにしたとされています。2024年の起訴の時点でも、ディン氏が中国のインキュベーションプログラムに参加し、Googleの技術を再現する狙いを投資家に示していたと伝えられていました(17373)。今回の制裁は、そのプログラムの運営者と出資の経路を名指しして、対象に加えました。
ディン氏の裁判のその後
ディン氏は2019年にGoogleに入社し、スーパーコンピューター型のデータセンターに関わるソフトウェアの開発を担当していました。2024年に起訴された時点では、AIの学習を支えるハードウェア基盤やソフトウェアの資料を、個人のクラウドアカウントに移した疑いが持たれていました(16916)。
2026年1月、陪審は経済スパイ罪7件と営業秘密窃取罪7件のすべてで有罪と評決しました。その後、8月20日に連邦地裁は経済スパイ罪の7件について無罪の判断を出しました。2022年5月から2023年4月に資料を移した当時、中国政府に利益を与える意図または認識があったと、合理的な疑いを超えて認めるには証拠が足りない、という判断です。営業秘密窃取罪7件の有罪は維持されました。9月1日には、禁錮12か月から1日を引いた刑期と、出所後2年間の監督付き釈放が言い渡されました。
国務省のファクトシートは、この刑事事件には直接触れていません。ただ、指定の説明には、Zhisuanの設立者がディン氏であることと、Googleの技術の再現を売り込んでいたことを挙げています。刑事事件が裁いたのは個人で、制裁が対象にしたのは、その会社と、そこに資金を出した投資家の側です。
5項目の制裁の中身
PAIPAは、指定した外国の団体に対して、条文に並ぶ制裁から5項目以上を科すよう定めています。条文の区分は(A)から(L)の12で、(F)に含まれる2つの措置は別々に数えます。今回選ばれたのは(A)(D)(H)(I)(J)の5項目で、条文の下限ちょうどです。
- 米国内にある、または米国人などの占有・管理下にある、指定団体の財産と財産上の利益の凍結と、それに関わる取引の禁止
- 米国の金融機関が指定団体に対し、12か月で合計1,000万ドルを超える融資・信用供与をすることの禁止(法律に定める人道目的の例外がある)
- 指定団体が利益を持つ、米国の管轄下の外国為替取引の禁止
- 指定団体の利益に関わり、米国の管轄下にある、金融機関の間の、または金融機関による・金融機関を通じた・金融機関への送金や支払いの禁止
- 米国人や米国法人などによる、指定団体の株式などの持分や、債券などの債務性金融商品への投資・多額の購入の禁止
選ばれた5項目はすべて、資産と資金の流れを制限するものです。条文には、輸出規制の対象リスト(エンティティリスト)への掲載や、米政府による調達の禁止、役員の入国拒否もありますが、今回は選ばれていません。
制裁の実務を担う財務省外国資産管理局(OFAC)は、19日に5団体を制裁対象として公表し、あわせて一般許可を2本出しました。一般許可2は、MiraclePlusと関連3団体などが関わる取引について、整理に通常必要な取引を、2027年1月19日午前0時1分(米東部標準時)まで認めています。指定団体への支払いは、米国内の凍結口座に入れることが条件です。Zhisuanは、この許可の対象として名指しされていません。資産の凍結についても、条文上、物品の輸入は除かれています。
国務省の発表は、制裁の解除を求める手続きがあることにも触れています。PAIPAの制裁は、一度指定したら終わりではなく、解除の道も残された仕組みです。
2つの措置を並べて読む
| DeepSeekの排除 | 5団体への制裁 | |
|---|---|---|
| 発表した省庁 | 国土安全保障省(DHS) | 国務省(実務は財務省OFAC) |
| 根拠法 | FASCSA(2018年) | PAIPA(2023年1月成立) |
| 指定・命令の理由 | データの所在と中国の法制度によるリスク(連邦調達安全評議会の勧告を検討) | 米国人の営業秘密の窃取への関与・支援など |
| 対象 | DeepSeek、関連会社、DeepSeekの実装を使った他社製品 | Zhisuan、MiraclePlus、関連する3つのファンド・会社 |
| 求めること | 連邦の民間機関での購入禁止と撤去 | 資産の凍結、指定団体に関わる金融取引・投資の制限 |
| 民間への影響 | 民間の利用は禁止しない。連邦の民間機関に納める企業には影響する | 米国人や米国の金融機関が、指定団体と取引しにくくなる。取引の整理には期限付きの許可がある |
| 日付 | 署名7月24日、官報公示10月20日 | 発表10月19日 |
2つの措置は、狙っている場所が違います。DeepSeekの命令は「政府の手元に何を置くか」を決め、制裁は「窃取に関わった団体の資産と資金の流れ」を制限します。DeepSeekの命令は、DeepSeekが技術を盗んだと認定したものではありません。理由として挙げられているのは、データの所在と、中国の法制度のもとでのアクセスの可能性です。一方の制裁は、米国人の営業秘密の窃取に関わったことを指定の理由にしています。
公表資料は、2つの措置の関係について何も述べていません。ただ、2つの資料と刑事事件の経過を並べると、AIをめぐる米国の対中政策には、輸出規制に加えて、調達、金融制裁、刑事訴追という複数の法的な手段があることが見えてきます。
日本の読者にとっての意味
日本の企業への影響は、米政府向けの契約の有無、米国の拠点、決済の経路などによって変わります。DHSの命令が直接の対象にしているのは連邦の民間機関ですが、そこに製品を納める企業には、契約を通じて影響が及びます。制裁では、米国法人や、米国の管轄下で行う取引が当てはまるかどうかを確かめる必要があります。
DHSの命令の「DeepSeekの実装を使って開発された第三者の製品」という一文は、日本の開発者にも関わります。今回のようにMITライセンスで重みが公開されたモデルは、ライセンスの条件を守れば、自社製品に組み込めます。その手軽さが、公開モデルの大きな価値です。一方で、連邦の民間機関に納める製品では、組み込んだモデルが調達除外や撤去の対象に当たらないかを確かめる必要が出てきました。米政府向けに製品や部品を供給する企業は、自社製品に組み込んだモデルと、適用される契約の条件を把握しておくと、こうした確認に応えやすくなります。
国務省の制裁も、投資する側に一つの問いを投げかけています。今回指定されたのは、窃取に関わった本人の会社だけではなく、その会社に出資したVCと、VCが運用するファンドでした。国務省はMiraclePlusを、窃取に重大な支援を与えたとして指定しています。出資先が掲げる技術の出どころを確かめることの重みを示した例といえます。
DHSの命令は1年以内に見直され、その後も毎年見直されます。公開されたAIモデルを誰もが使える時代に、政府が何を手元に置き、何を外すのか。その線引きは、法律の文言から、日々の運用へと移っていきます。
【関連記事】
中国発DeepSeek、12カ国が使用制限――AIコスト革命の裏にある地政学リスク
DeepSeek-V4.1-Flash-1017公開、検索APIも全ユーザーに開放
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元Googleエンジニア、AI商業秘密盗用で中国企業に利用の疑いで起訴
【編集部後記】
8月20日の連邦地裁の命令には、MiraclePlusについて「民間の団体である」と記した一文があります。刑事裁判では、経済スパイ罪の要件である、中国政府を利する意図や認識が立証されず、その7件は無罪になりました。
2か月後、国務省は政府との関係ではなく、窃取への支援を理由に、その民間の投資の経路を名指ししました。同じ出来事でも、どの法律の物差しを当てるかで、問われるものが変わります。
【用語解説】
FASCSA(連邦調達サプライチェーン安全法)
2018年に成立した米国の法律。政府が調達するIT製品やサービスから、安全保障上のリスクがある供給元を除外・撤去する仕組みを定める。
連邦調達安全評議会(FASC)
FASCSAで設けられた省庁横断の会議体。リスクのある製品やサービスの除外・撤去を勧告し、権限を持つ長官らがそれを踏まえて命令を出す。
CISA(サイバーセキュリティ・インフラ安全保障庁)
米国土安全保障省の傘下で、連邦政府のネットワークと重要インフラの防御を担う機関。今回の命令では例外申請の審査と技術支援を受け持つ。
国家安全保障システム
軍事や情報活動などに使われる、米政府の安全保障上とくに重要な情報システム。FASCSAでは国防長官などが命令の権限を持つ。
機密区画化情報(SCI)
米国で最も厳重に扱われる機密情報の区分。情報機関の活動に関わる情報が中心で、扱うシステムも別に管理される。
重み(AIモデルの重み)
AIモデルが学習で身につけた数値の集まり。重みが公開されると、誰でも手元でモデルを動かしたり、自社製品に組み込んだりできる。
MITライセンス
著作権表示と許諾表示を残すことを条件に、利用・改変・再配布・販売を広く認めるオープンソースのライセンス。
PAIPA(米国知的財産保護法)
米国人の営業秘密を盗んだ外国の個人・団体や、それを支援した者に制裁を科す法律。2023年1月に成立した。
営業秘密
公開されておらず、秘密として管理され、事業上の価値を持つ技術情報や営業情報。米国では盗用が連邦法の犯罪になる。
経済スパイ罪
外国の政府などを利する意図や認識をもって営業秘密を盗むことを罰する米国の罪。営業秘密窃取罪より重く、要件も厳しい。
監督付き釈放
米国の連邦刑事手続きで、刑期を終えて出所した後に、一定期間、保護観察官の監督を受ける制度。刑の代わりに科される保護観察とは別の制度である。
OFAC(財務省外国資産管理局)
米財務省で経済制裁の実務を担う部局。制裁対象の公表や、例外的に取引を認める許可の発行を行う。
一般許可
制裁で禁じられた取引のうち、一定の条件を満たすものを、個別の申請なしに認めるOFACの許可。取引の整理のための期限付きの許可が多い。
エンティティリスト
米商務省が管理する、輸出規制の対象となる外国の団体のリスト。掲載されると、米国製品や技術の輸出に許可が必要になる。
SAM
米政府の調達に関わる事業者の登録や、取引停止・除外の情報を載せる政府のシステム。
【参考リンク】
Federal Register|Notice of Order Regarding Exclusion and Removal of DeepSeek Products(外部)
DHSがDeepSeek製品を連邦の民間機関の調達とITから排除する命令を公示した10月20日付の官報。付録に署名済みの命令を収める。
Regulations.gov|Docket DHS-2026-0628(外部)
DeepSeekの排除・撤去命令に関する手続きの記録。署名済みの命令の写しを掲載する、米政府の規制情報サイトの公式ページ。
U.S. Department of State|Imposing Sanctions to Protect Americans from Intellectual Property Theft(外部)
国務省がPAIPAに基づきZhisuanやMiraclePlusなど5団体を指定した10月19日の発表。指定理由と制裁の条項を示す。
OFAC|PAIPA Designations; Issuance of Associated General Licenses(外部)
財務省OFACが5団体の制裁内容と一般許可1・2を公表した10月19日のページ。各団体の中国語名と設立日、科された項目を載せる。
OFAC|PAIPA General License No. 2(外部)
MiraclePlusと関連3団体などとの取引の整理を、2027年1月19日まで認めるOFACの一般許可。凍結口座への支払いが条件。
govinfo|Protecting American Intellectual Property Act of 2022(外部)
PAIPAの条文。指定の要件と、団体に科す制裁の区分(AからL)、5項目以上を科すという定め、物品の輸入の例外などを収める。
U.S. Attorney’s Office, Northern District of California|Former Google Engineer Found Guilty of Economic Espionage and Theft of Confidential AI Technology(外部)
2026年1月に陪審がディン氏を経済スパイ罪と営業秘密窃取罪で有罪と評決したことを伝える、カリフォルニア北部地区の連邦検事局の発表。
govinfo|United States v. Ding, Order Granting Motion for Judgment of Acquittal(外部)
連邦地裁が経済スパイ罪7件を無罪とした8月20日の命令。MiraclePlusへの応募や出資の経緯、無罪の理由を記録している。
DeepSeek|DeepSeek-V4.1-Flash-1017: Wish-Driven Programming Made Real(外部)
DeepSeekが10月17日に公開したDeepSeek-V4.1-Flash-1017の公式発表。モデルの性能と重みの公開について伝える。
MiraclePlus(外部)
北京を拠点とするスタートアップ支援プログラムの公式サイト。年2回、選抜したチームが北京で3か月間のプログラムに参加する。
【参考記事】
Courthouse News Service|Judge acquits ex-Google engineer of economic espionage in AI secrets case(外部)
元Googleエンジニアの経済スパイ罪7件を連邦地裁が無罪とし、営業秘密窃取罪7件の有罪を維持した8月20日の判断を伝える記事。
KQED|Ex-Google Engineer Gets Nearly 1 Year for Stealing AI Secrets(外部)
9月1日にディン氏へ1年弱の禁錮と2年間の監督付き釈放が言い渡された判決を伝える記事。Zhisuanの活動停止にも触れる。
Mayer Brown|DNI Issues First FASCSA Exclusion and Removal Order Against Acronis AG(外部)
国家情報長官室がAcronisに出した、FASCSAに基づく最初の除外・撤去命令を解説した法律事務所の記事。命令の範囲と影響を整理する。


















