不正アクセスや情報漏えいの公表が相次ぐなか、「費用がかかってもいいので、すぐに手を打ちたい」という声も聞こえてきます。ただ、セキュリティのサービスは料金を公開していないものが多く、頼む前に費用感をつかむのが難しい分野です。
この記事は、事故が起きたときの緊急対応、いますぐ受けられる診断、すぐに入れられる監視・防御を、料金と始められるまでの目安が分かる形で並べたものです。無償で受けられる支援は、無償版の一覧にまとめています。
2026年10月19日時点で、料金かその目安を確かめられたサービスを、緊急対応40件、診断・点検22件、監視・防御21件の計83件並べた。緊急対応で料金を自社サイトに出していたのは3社で、JNSAの一覧に載る38社の多くは、JNSAに書かれた「想定費用」(60万円から500万円から)が費用感をつかむ手がかりになる。診断は、手動を含むもので1回30万円前後から、ツールによるものは月額数千円から。中小企業向けのお助け隊サービスは、IPAの基準で月額の上限が決まっている。
目次
事故が起きた・疑いがあるとき(緊急対応)
いますぐ点検したいとき(診断)
守りをすぐ固めたいとき(監視・防御)
料金を公開していないもの
料金を比べるときに確かめたいこと
この一覧の読み方
- 載せたもの:料金、または料金の目安を、各社のサイト、日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の緊急対応企業一覧、IPAのお助け隊サービスの登録一覧のいずれかで確かめられたもの。どこで確かめたかは各項目に書いています。
- 載せることは推奨ではありません:サービスの品質や料金の妥当性は評価していません。料金は確かめた時点のもので、変わることがあります。
- 料金の書き方:税込か税別かは、各社の記載どおりです。記載がないものは書いていません。「から」は最低額で、範囲や台数で上がります。ドル建ての料金は、為替で円の額が変わります。
- 並び順:並び順は推奨の順ではありません。原則として社名の五十音順で、緊急対応だけは24時間受付を先にしています。各章の頭に基準を書いています。
- 無償版との行き来:無償版の一覧にも載っている会社には、「無償版の同社」のリンクを付けました。
事故が起きた・疑いがあるとき(緊急対応)
受付時間と料金の目安を並べました。まず落ち着いて状況を伝えられる先を一つ選ぶことが大切です。公的な窓口として、IPAの不正アクセス特別相談窓口(電話 03-6759-5760、平日9:30〜17:30、12:00〜13:00を除く)でも、対応できる専門業者の一覧を案内しています。
料金を自社サイトで公開している3社
並び順:社名の五十音順(英字で始まる社名は先にアルファベット順)。
遠隔でログを集め、PC1台の調査と報告を行う。料金は297,000円から(税込。税抜270,000円から)。
現地訪問型やフォレンジックの料金は記載なし。電話番号の表示には同意書への同意が必要。JNSAの一覧にも掲載案内ページ無償版の同社
PCの調査が1台200万円から、サーバーの調査が1台300万円から(いずれも税別、サービス資料による)。報告会は1回10万円から。
発注にはNDAなどの契約が必要。事前に基本契約を結んでおくこともできる。資料の作成時期は不明のため、見積もり時に確認を案内ページ
機器1台の初期調査とクローン保全が49,800円から(税抜、容量で変わる)。詳細調査は別料金。
特急・出張は有料オプション。個人のPCやスマートフォンの調査が中心とみられ、大規模な侵害の調査に向くかは要確認案内ページ
事前の契約がなくても頼めると明記している7社
並び順:24時間受付を先に、その中は社名の五十音順(英字で始まる社名は先にアルファベット順)。
JNSAの想定費用:100万円から。自社サイトでは、フルフォレンジックの調査期間を7〜10営業日程度としている。
JNSAの想定費用:規模と内容に応じて個別に見積もり。自社サイトには「時間単位の作業」とあるが、単価の記載なし。
事前の契約や取引がなくても対応できる(JNSA)。窓口ページ内でフリーダイヤルの番号が2通り書かれているので、連絡前に確認を案内ページ無償版の同社
JNSAの想定費用:100万円から(PCかサーバー1台のフォレンジック調査、調査項目を限定した場合)。
JNSAの想定費用:200万円から(初期対応から初期調査まで。詳細調査は別途見積もり)。技術者2名で2〜3日の調査とある。
JNSAの想定費用:個別に見積もり。電話相談と見積もりは無料(JNSA)。
そのほかのJNSA掲載企業
事前契約の要否は、JNSAにも各社のサイトにも書かれていません。依頼するときに確かめてください。並び順:24時間受付を先に、その中は社名の五十音順(英字で始まる社名は先にアルファベット順)。
JNSAの想定費用:作業範囲と対象機器に応じて都度見積もり。初動対応は有償。
JNSAの想定費用:100万円から。
JNSAの想定費用:100万円から(個別の緊急対応は都度見積もり)。
JNSAの想定費用:規模と内容に応じて見積もり。自社サイトでは、問い合わせから最速15分でWeb打ち合わせとしている。
JNSAの詳細ページが文字化けして、想定費用を確かに読み取れなかった。自社サイトは「別途見積もり」。
JNSAの想定費用:個別に見積もり。首都圏以外は交通費・宿泊費が別途。調査開始から1週間程度で報告会(自社サイト)。
JNSAの想定費用:規模と内容に応じて都度見積もり。
事前の契約が必要・望ましいとしている4社
並び順:24時間受付を先に、その中は社名の五十音順(英字で始まる社名は先にアルファベット順)。
JNSAの詳細ページが文字化けして、想定費用を読み取れなかった。
JNSAの想定費用:規模と調査対象台数に応じて都度見積もり。
いますぐ点検したいとき(診断)
手動を含む診断
並び順:社名の五十音順(英字で始まる社名は先にアルファベット順)。
ツール診断は10万円から、ペネトレーションテストは20万円から(税抜の参考価格)。手動診断は個別見積もり。
報告書つき。IPAの基準適合リストに掲載案内ページ
外部に公開している資産を洗い出し、30日間のどこかで予告なく侵入を試みる。一律98万円(税抜、2026年中の申込に限った料金)。
重大な問題は即時に速報。IPAの基準適合リストに掲載案内ページ
専門チームがWebアプリを診断する。標準プランは約10リクエストで30万円(税抜)。
報告会と再診断は含まない(報告会は有料で追加)。IPAの基準適合リストに掲載案内ページ
ツールの結果を技術者が手で確かめる簡易版。1ドメイン297,000円(税込)。診断は1日、報告書は3営業日以内。
サーバーやネットワーク機器をIP単位でスキャンし、診断員が結果を確かめる。3IPまで30万円(税抜)、追加1IPごとに25,000円。
報告書は診断終了後5営業日以内。3か月以内の再診断1回無料案内ページ
最大5画面遷移のWebアプリとサーバー設定を、ツールと一部手動で診断する。1サイト330,000円(税込)。
ツールと手動の診断。部分変更後の「急ぎの診断」が40万円、プラットフォーム診断が35万円から(いずれも税抜)。
ツールだけで公開Webアプリを点検するスポット診断。キャンペーンの特別価格10万円。
同社のページの間で金額・日数・税込か税別かの記載が食い違っている。申し込む前に確認を案内ページ
ツールによる診断
並び順:社名の五十音順(英字で始まる社名は先にアルファベット順)。
ドメインを毎日自動で診断する(189項目)。月額4,280円(税込4,708円)。1か月の無料トライアルあり(クレジットカードが必要)。
クラウド型の診断ツール。1URLあたり165,000円(税込)、年間無制限363,000円。手動診断を加えるプランもある。
報告会は有料オプション。IPAの基準適合リストに掲載案内ページ
ツールでWebサイトを自動診断する。1URLあたり1回121,000円(税込)、1年間無制限363,000円。
報告会は別料金。IPAの基準適合リストに掲載案内ページ
AIで広く検出し、有資格者が誤検知を除く診断。5万円から(対象の規模で変わる)。
改修は別途見積もり。日数は自社サイトでは確認できなかった案内ページ
Webアプリを何度でも診断できる月額制のツール。月額19,800円から(税別)。手動診断のオプションは40万円(税抜)。
自社開発のスキャナー。Teamプランは年66万円から(管理対象5まで)。手動を加えた診断は個別見積もり。
年間契約。IPAの基準適合リストに掲載案内ページ
外部公開資産・設定の点検
並び順:社名の五十音順(英字で始まる社名は先にアルファベット順)。
外部公開資産の洗い出しと月ごとの点検、専門家の助言をまとめて代行する。10ドメインで初期費用55,000円+月額77,000円(税込、1か月契約)。
修正作業は含まない案内ページ
公開しているIPとドメインの脆弱性を週ごとに自動収集し、優先順位をつける。自走プラン月額4万円から。
インターネットから見える資産(IP、ドメイン、開いているポート)を攻撃者の目で自動検出し、週ごとに更新する。1ドメイン月額49,500円(税込)、初月無料。
1回の申込で10ドメインまで。公開情報が基のため誤検知の可能性あり案内ページ
AWSなどのクラウド設定をガイドラインに沿って診断し、報告書と説明をつける。ライトプラン30万円から(税抜)。
報告後1か月のメールでの質問対応つき案内ページ
20問ほどの質問に答えると、組織の対策の現在地をレポートにする。単発33,000円(税込)、60分の面談つきは55,000円(税込)。
外から見える資産を探し、脆弱性や設定不備を評価する。Selfプラン年額732,000円から(税抜の参考価格)。1か月のスポット利用もある。
月次レポートは上位プランのみ案内ページ
守りをすぐ固めたいとき(監視・防御)
中小企業向けのお助け隊サービス
IPAの基準(2.1版、2025年9月8日)では、1類の月額は、ネットワーク監視が1万円まで、端末が1台2,000円まで(税抜)です。初期費用などはネットワーク・端末それぞれ50万円まで、最低契約期間は2年以内とされています。2類は上限がなく、内容に「相応かつ妥当」であることが求められます。多くは提供地域が限られているので、自社の地域で使えるかを確かめてください。
並び順:社名の五十音順(英字で始まる社名は先にアルファベット順)。
24時間見張り、現地訪問も月額に含む。初期費用488,400円、月額10,000円(税別)。
駆けつけの対応は平日9:00〜18:00案内ページ
UTMを置いて見張り、必要に応じて駆けつける。Standardは初期20,350円・月額12,100円(税込)。
StandardがIPAの登録の対象かは自社サイトで確認できなかった(月額が1類の上限を超える)。登録のあるLightの料金は自社サイトで確認できず案内ページ無償版の同社
PCを24時間365日見張り、事故のときは駆けつける。初期費用0円、1台あたり月額500円(税抜、IPA掲載)。サイバー保険つき。
UTMを置いて24時間365日見張り、事故のときは地域のIT事業者が駆けつける。簡易サイバー保険つき。IPA掲載の料金は初期費用0円、月額6,000円(会員、税抜)。
自社サイトの料金の書き方とIPA掲載の金額が一致しない。申込先ごとに条件が違う(IPA)案内ページ
ネットワーク監視は初期50万円・月額1万円、端末監視は初期5万円・1台月額2,000円(税抜、IPA掲載)。駆けつけと保険つき。
料金は自社サイトで確認できていない(IPA掲載による)案内ページ
ネットワークを24時間見張る。15台までのプランは初期480,000円・月額1,300円(税別)。PC向けは1台月額450円。
最低2年。サイバー保険はUTMの設置が条件案内ページ
ネットワーク監視は初期61,700円・月額1万円(税抜、IPA掲載)。端末監視や、2類のプランもある。
料金は自社サイトで確認できていない(IPA掲載による)案内ページ
PCを見張り、状況に応じて遠隔か現地で対応する。初期費用0円、1台月額2,000円(税別、年額一括)。
最低契約期間が自社サイト(1年)とIPA掲載(2年)で食い違う案内ページ
UTMで24時間見張り、現地での原因調査と初動を年1回まで作業費無償で行う。初期導入費用670,000円、月額ネットワーク監視8,000円(税抜)。
料金表の読み取りに推定を含む。最低2年案内ページ
センサーを置いて24時間見張る。初期費用89,000円から、月額9,800円(税抜、IPA掲載)。
料金は自社サイトに記載なし(IPA掲載による)案内ページ
端末の監視(EDR・MDR)
並び順:社名の五十音順(英字で始まる社名は先にアルファベット順)。
PCなどの端末を守る。1台あたり年59.99ドル(年払い)、月払いは7.99ドル。15日間の無料トライアルあり。
端末を守る。1ユーザーあたり月額449円相当(税別、年間契約)。
300ユーザーまで。人が24時間見張るサービスではなく、自社で運用するツール案内ページ
端末を守る。英語版の価格ページで1台あたり年179.99ドル。
日本語版では価格非公開。購入は認定パートナー経由案内ページ
端末の防御に、検知と対応の支援を加える。26〜49台で1ライセンスあたり年額14,300円(税抜、希望小売価格)。
最小26ライセンスから。25台以下は対象外案内ページ
Webサイトの防御(WAF)
並び順:社名の五十音順(英字で始まる社名は先にアルファベット順)。
WAFを含むWebの防御。Proプランは1ドメイン月20ドル(年払い)。無料プランもある。
日本語のプラン表には基本料金の記載がなく、英語版で確認した案内ページ
クラウド型のWAF。初期費用10万円、月額2万5千円から(税別)。1週間の無料トライアルあり。
最安のプランは最大10サイトまで案内ページ
Webサイトへの攻撃を遮断する。1サイト月額10,000円から(税抜、通信量で変わる)。
認証・パスワード管理
並び順:社名の五十音順(英字で始まる社名は先にアルファベット順)。
IDの管理と多要素認証。1ユーザーあたり月額1,049円相当(年間契約)。
無料版のEntra IDでも多要素認証に対応と記載案内ページ
料金を公開していないもの
サービスの内容は確かめられたものの、料金が公開されていない、または確かめられなかったものです。料金は各社に問い合わせてください。
- Sophos MDR(料金は見積もり)
- トレンドマイクロの法人向け製品(料金は価格表のダウンロードで確認する形)
- サイバーリーズンのEDR・MDR(料金は相談)
- エーアイセキュリティラボ AeyeScan(料金は見積もり)
- エムオーテックス LANSCOPE サイバープロテクション(自社サイトが表示されず確認できなかった)
- 緊急対応の各社の大半(JNSAの想定費用のほかは、自社サイトに金額の記載なし)
料金を比べるときに確かめたいこと
- 税込か税別か。ドル建てか円建てか
- 料金の単位(1台、1ユーザー、1URL、1ドメイン、1サイト、1リクエストあたりなど)
- 初期費用と、最低契約期間
- 料金に含まれないもの(出張の交通費、報告会、再診断、修正作業など)
- 「から」の最低額が、自社の規模で実際にいくらになるか
- キャンペーンや期間限定の料金なら、いつまでか
- 緊急対応なら、事前の契約がなくても頼めるか。見積もりのあと、いつ作業が始まるか
この一覧に載せていないもの
- セキュリティー診断さん(運営会社の名前が分からず、出典のない数字や日数の記載の食い違いが多い)
【編集部解説】
セキュリティのサービスは、料金を公開しない分野です。とくに事故のときの緊急対応は、自社のサイトに金額を書いていたのは調べた範囲で3社だけでした。事故の規模や調べる機器の数で費用が大きく変わるため、一律に書けないという事情はあります。それでも、何も目安がないまま電話をかけるのは、追い詰められた担当者にとって重い負担です。JNSAの一覧にある「想定費用」は、この分野で事前に費用感をつかめる、ほとんど唯一の公的な手がかりになっています。
「すぐに始められる」の意味も、サービスの種類で違います。ツールによる診断やWAFは、早ければ当日から翌営業日に始まります。手動を含む診断は、日程の調整に1〜2週間かかることが珍しくありません。緊急対応は24時間受け付けていても、見積もりと契約の手続きを経てから作業に入ります。事前に契約(リテーナー)を結んでおくと早く動ける、と書く会社が多いのはそのためです。
中小企業には、お助け隊サービスという仕組みがあります。IPAの基準で、1類の月額はネットワーク監視が1万円まで、端末が1台2,000円まで(税抜)と上限が決まっており、駆けつけや簡易なサイバー保険も含まれます。ただ、提供地域が限られるサービスが多く、自社の地域で使えるものを探す必要があります。
無償の入口の先で何にいくらかかるのか。無償版と有償版を行き来しながら、自社に合う相談先を、事故が起きる前に一つ決めておくことをおすすめします。
【用語解説】
インシデントレスポンス(緊急対応)
不正アクセスなどの事故が起きたときに、被害の確認、封じ込め、原因の調査、復旧の支援を行うこと。
EDR
パソコンやサーバーなどの端末の動きを記録・監視し、攻撃の兆候を見つけて対応するための仕組み。
MDR
EDRなどの監視を、専門の事業者が代わりに行い、検知や対応を支援するサービス。
WAF
Webサイトへの攻撃を見分けて遮断する防御の仕組み。クラウド型は、DNSの切り替えなどで比較的早く導入できる。
ASM
インターネットから見える自社の資産(サーバー、ドメイン、開いているポートなど)を洗い出し、弱点を点検し続けること。
UTM
ファイアウォールやウイルス対策など、複数の防御機能を1台にまとめたネットワーク機器。
【参考リンク】
JNSA サイバーインシデント緊急対応企業一覧(外部)
38社の受付時間・対応地域・想定費用(各社の詳細ページ)。2026年4月更新。
IPA 情報セキュリティサービス基準適合サービスリスト(外部)
脆弱性診断などの区分で、基準を満たしたサービスの一覧(2026年10月9日掲載分)。
IPA サイバーセキュリティお助け隊サービス 登録一覧(外部)
中小企業向けの、監視・駆けつけ・保険をまとめたサービスの登録一覧。
IPA 不正アクセス対策特設サイト(外部)
事業者向け・個人向けの相談窓口の案内。
【関連記事】
【随時更新】不正アクセスに備える無償の相談・診断一覧|「どこまで無料か」を比べる
無償で受けられる相談・診断・試用を、無償の範囲が分かる形で並べた一覧。
サイバー侵害速報一覧
公表された事案を、一次発表と情報の確かさを添えて新しい順に並べた一覧。
【編集部後記】
料金を調べていて感じたのは、この分野では「いくらかかるか分からない」こと自体が、相談をためらわせる壁になっているということでした。この一覧が、その壁を少しでも低くするものになればと考えています。皆さんの会社では、事故のときの費用を、どのくらいと見込んでいるでしょうか。














