外務省は7月27日に不正アクセスを検知し、約3か月後の10月30日に、約3,600件の個人情報が漏えいした可能性を公表しました。同じ日、日本交通も7月の不正アクセスについて、対象者約29万人の内訳を初めて示しています。一方、KDDIとライフネット生命は検知から1週間で件数まで公表しました。公表までの時間と中身は、事案ごとに大きく違います。
2026年10月28〜31日付の公表を中心に、国内の不正アクセスに関する情報を18項目に分けて整理した。外務省は、外部とのやり取りが可能なネットワークへの不正アクセスで、メールアドレスや氏名など約3,600件(うち外務省員以外の方のものが約900件)が漏えいした可能性があると10月30日に発表した。検知は7月27日である。
日本交通は7月の不正アクセスについて、ハイヤー利用者や採用応募者、事故の相手方など6つの区分の対象人数を示した。佐賀大学は約8万人分と患者情報の漏えいの可能性を、良品計画は「MUJIアプリ」で最大約2,726万件の流出の可能性を発表した。KDDIとライフネット生命の件、近鉄グループホールディングスの件など、連携先や委託先への不正アクセスをきっかけにした公表も相次いだ。
【参考動画】
11月1日に公開したセキュリティの記事5本を、伊野部トピ子が約8分の動画で整理しました。こ
10月28〜31日に公表された主な8件
外務省は10月30日、外務省が運用するネットワークへの不正アクセスで、個人情報が漏えいした可能性があると発表しました。同じ日には日本交通、佐賀大学、良品計画、KDDIとライフネット生命、東急不動産が、翌31日には近鉄グループホールディングス(GHD)が公表しています。
個人情報保護委員会が、4月1日から10月16日までに直接受け付けた不正アクセスによる漏えい等の速報を集計し、漏えいのおそれを含む延べ本人数を約2億6000万人と示したことは、10月31日の記事で伝えました。この記事では、10月28〜31日付の公表を中心に、18項目を取り上げます。同じ不正アクセスに関する複数社の発表をまとめた項目や、1社の別の事案を併記した項目もあります。掲載日を確かめられないTBSショッピングの公表も含めています。クラブツーリズムの件と、GMOインターネットグループの件は、別の記事で取り上げます。各組織の状況は、11月1日朝までに確認できた公表に基づきます。
18項目を並べると、2つのことが見えてきます。1つは、検知や発生から、対象者の範囲や情報の項目を示すまでの時間です。外務省は検知から約3か月、日本交通は不正アクセスから3か月半あまりを経て、対象者の範囲を示しました。もう1つは、連携先や委託先への不正アクセスをきっかけに、情報が漏えいした、または漏えいした可能性があると公表した事例が複数あることです。
| 組織(公表日) | 件数・規模 | 主な対象・項目 | 経路など |
|---|---|---|---|
| 外務省(10/30) | 約3,600件(うち外務省員以外の方のもの約900件) | メールアドレス、氏名など | 外部とのやり取りが可能なネットワーク。7月27日に検知 |
| 日本交通(10/30、第6報) | 6区分の合計で約29万人 | ハイヤー利用者、従業員、採用応募者、家族、取引先、事故の相手方 | 7月11日の不正アクセス |
| 佐賀大学(10/30) | 約8万人。患者情報は調査中 | 氏名、住所、パスワード、患者の傷病名など | 事務部門のNASでランサムウェアとみられる被害 |
| 良品計画(10/30) | 最大約2,726万件 | メールアドレス、生年月日、性別 | 公式アプリ「MUJIアプリ」 |
| 花キューピット(10/28) | 4,238,242件 | ログインID、パスワードのハッシュ値、メールアドレス | 管理システムへの不正アクセス |
| KDDI・ライフネット生命(10/30) | 最大2万2,541件 | 氏名、郵便番号、電話番号、メールアドレス、会員識別子 | ライフネット生命の連携システムの脆弱性 |
| 近鉄GHD(10/31) | 2,678件 | 氏名、社債の購入金額 | NTTデータの委託先の「デジタル証券プラットフォーム」 |
| 東急不動産(10/30、2事案) | 自社管理サイト4,082件、Studio利用サイト25件 | 会員登録情報、問い合わせ内容 | 自社管理サイトはWordPress等の脆弱性とアクセス権限の設定不備。別件でStudioへの不正アクセス |
外務省|外部とやり取りする側のネットワーク
外務省によると、不正アクセスが確認されたのは、外部とのやり取りが可能なネットワークです。外務省には、機密性の高い情報を外務省員の間だけでやり取りする閉域ネットワークと、外部とやり取りできるネットワークの2系統があり、今回は後者にあたります。
7月27日に不正アクセスを検知し、直ちに遮断や認証情報の無効化などの措置をとりました。その後、外部の専門事業者の協力を得て調べた結果、このネットワーク上で扱っていた個人情報を含むメールなどの一部が漏えいした可能性があると分かりました。対象は、メールアドレスや氏名など約3,600件で、このうち約900件が外務省員以外の方のものです。
念のため内容を確かめた結果、漏えいした可能性のある情報に、機密性の高い情報が含まれていたことは確認されなかったとしています。旅券やたびレジなどの情報を扱う領事システムは別に構築されており、今回の不正アクセスの対象ではありません。
外務省は、対象となる方を特定したうえで個別に連絡するとしています。悪用などの二次被害は確認されていませんが、なりすましメールやフィッシングメールに使われるおそれがあるとして、外務省や外務省員を装った不審な連絡に注意するよう呼びかけています。外務省から、パスワードなどの認証情報やクレジットカード情報をメールや電話で尋ねることはないとも明記しています。
検知から公表までは約3か月です。対象には外務省員以外の方の情報も含まれ、外務省は、漏えいした可能性のある個人情報の対象となる方を、これから特定するとしています。再発防止策としては、アクセス制御や認証方法の見直し、監視の強化、情報セキュリティ教育の再徹底を挙げています。
日本交通と佐賀大学|第1報から対象の範囲が示されるまで
日本交通|6つの区分で約29万人
日本交通は10月30日、7月11日に受けた不正アクセスについての第6報を公表しました。システム停止の第1報を伝えた7月の記事では、電話配車が止まり、配車アプリ「GO」は動き続けたことを取り上げました。今回の第6報で、漏えいした可能性のある個人情報の範囲が初めて示されています。
対象は6つの区分に分かれます。ハイヤーの利用者(予約者や乗車した人)約1万3,100人、従業員や退職者約6万100人、採用応募者約10万7,900人、従業員の家族約3万7,700人、取引先の担当者約2,100人、乗務員が関わった事故の相手方約7万2,000人で、合わせると約29万人です。
区分ごとに、含まれる項目が違います。従業員と家族の区分では、一部の人について個人番号(マイナンバー)が含まれます。従業員と採用応募者の区分では、運転免許証の情報や顔写真、銀行口座の情報が含まれる場合があります。事故の相手方の区分には、負傷の状況などが含まれる場合があります。一方、タクシーの配車や乗車に関する情報は対象外で、クレジットカード情報は保有していないとしています。
タクシーを利用しただけの人は対象に含まれません。そのかわり、事故の相手方や採用に応募した人など、日本交通のサービスを日常的に使っていない人も対象に入っています。すべての人にすべての項目が当てはまるわけではなく、一人ひとりに該当する項目を記した通知を、書面または電子メールで順次送っています。問い合わせ窓口(0120-009-098、平日9時〜17時)も設けています。
日本交通は再発防止策として、主要なアカウントへの多要素認証の適用や、個人データの保存期間のルール化と削除などを挙げています。今後の対策には、ハイヤーWeb予約システムの再構築や、委託先のセキュリティの確認と強化が含まれています。
佐賀大学|ランサムウェア被害から約5週間
佐賀大学は10月30日、9月に公表した事務情報システムのランサムウェア被害について、新たに分かったことを発表しました。9月24日8時42分、事務部門が使うNAS(ネットワーク接続型の記憶装置)で、ランサムウェアとみられる被害を確認した件です。9月28日の第1報は、10月19日の記事でほかのランサムウェア被害とあわせて整理しました。
外部の専門業者による調査で、個人情報が外部へ漏えいした可能性を否定できないことが分かりました。対象は、学生、教職員、元学生、元教職員などの関係者約8万人分で、氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、メールアドレス、パスワードが含まれます。
附属病院の患者の情報も対象になる可能性があり、人数は調査中です。患者の情報には、診療科、傷病名、受診日といった要配慮個人情報が含まれます。侵入の経路も、まだ調査中です。大学は、大学や関係機関を装った不審なメールやSMS、電話に注意するよう呼びかけています。
無印良品と花キューピット|件数は大きく、項目は絞られる
良品計画|MUJIアプリで最大約2,726万件
良品計画は10月30日、無印良品の公式アプリ「MUJIアプリ」で、同社が保有する顧客情報の一部が外部に流出した可能性があると発表しました。対象は最大約2,726万件で、退会した顧客の情報も含みます。
流出した可能性があるのは、メールアドレス、生年月日、性別の3項目です。クレジットカード情報、氏名、住所、電話番号などは含まれません。外部からの不正なアクセスを検知し、該当箇所へのアクセスの遮断と修正の適用を済ませています。発表の時点で、ダークウェブなどへの流出や、情報を悪用した被害は確認されていません。MUJIアプリと無印良品ネットストアは、通常どおり使えます。
同社は、今後この情報を悪用したなりすましメールが届く可能性があるとして、不審なメールのURLを開いたり、個人情報を入力したりしないよう呼びかけています。対象となる可能性のある顧客には順次連絡し、外部への流出が確認された場合は速やかに知らせるとしています。
花キューピット|423万件、パスワードはハッシュ値
花キューピットは10月28日、運営する「インターネット花キューピット」などの会員情報が漏えいしたと発表しました。10月14日から15日にかけて、管理システムに第三者が不正にアクセスし、19日に会員情報の漏えいを確認しています。
対象は4,238,242件で、ログインユーザーID、パスワード、PC用と携帯用のメールアドレスです。パスワードは、元に戻せない形のハッシュ値で保存されていたとしています。発表は当初の「暗号化」という表現を取り消し、現在は「ハッシュ値」と記しています。氏名や住所、電話番号、クレジットカード番号、届け先の情報は含まれていません。対象は、公式のECサイトでメールアドレスを登録した会員です。
同社は、パスワードの変更と、同じIDとパスワードを使っているほかのサービスでの変更を求めています。ハッシュ値で保存していても、使い回したパスワードは別のサービスで試される可能性があります。パスワードの変更を求めているのは、そのためです。
連携先・委託先への不正アクセスによる漏えいの可能性
KDDIとライフネット生命|連携システムの脆弱性
KDDIとライフネット生命は10月30日、共同で発表しました。ライフネット生命のシステムのうち、KDDIと連携するシステムが不正アクセスを受け、KDDIのシステムが保有する顧客情報の一部が外部に漏えいした可能性があります。
ライフネット生命は10月23日に不正アクセスを検知し、同じ日にKDDIへ報告しました。報告を受けたKDDIは翌日、ライフネット生命の連携システムからのアクセス経路を遮断しています。悪意のある第三者が、連携システムの一部機能の脆弱性を通じて、KDDI側の顧客情報を取得した可能性がある、というのが現時点の調査結果です。不正アクセスは連携の範囲に限られ、KDDIの通信設備や、ライフネット生命のほかのシステムには影響がないとしています。
漏えいした可能性のある情報は、項目の組み合わせごとに6つに分けて示されています。最も多いのは「氏名・郵便番号・メールアドレス・会員識別子」の8,434件で、6つを合わせると最大2万2,541件です。一部の顧客は、性別と生年月日も含まれる可能性があります。パスワード、クレジットカード情報、口座情報、運転免許証などの本人確認情報、ライフネット生命が保有する保険契約に関する情報は含まれていません。
ライフネット生命は、この連携システムを使う「auの生命ほけん」について、申し込みの受け付けを含む一部の機能をメンテナンスしています。
近鉄GHD|社債の特典を扱う外部サービス
近鉄GHDは10月31日、2026年7月に発行した第135回無担保社債を100万円以上購入した投資家の情報が漏えいした可能性があると発表しました。社債の特典の申し込みに使う外部サービスを提供するNTTデータから報告を受けたものです。
NTTデータの委託先が提供する「デジタル証券プラットフォーム」に第三者が不正にアクセスし、10月30日に、プラットフォーム内の情報が外部に持ち出された可能性があると報告されました。対象は特典を申し込んだ人だけでなく、100万円以上購入した全員の2,678件で、氏名と社債の購入金額が含まれます。証券口座番号やパスワードなど金融取引に関する情報は保持していないため、対象外です。
同じ31日、NTTデータは、社債購入者への特典付与を支援する「STdirectServices」を停止したと発表しました。委託先が利用するSaaSに第三者が不正にアクセスし、委託先のサービスで扱う個人情報が漏えいした可能性があるとしています。現時点では特典付与の対象となる社債がないため、停止による特典付与業務への影響はないと説明しています。
野村證券も同じ日に、デジタル特典付き社債を購入した一部の顧客の情報が漏えいした可能性があると発表しました。漏えいした可能性のある情報の内容は確認中で、同社のシステムへの不正アクセスは確認されていないとしています。1つのプラットフォームへの不正アクセスが、社債の発行体と証券会社の両方の公表につながっています。
東急不動産|自社で管理するサイトと、外部サービスの2件
東急不動産は10月30日、自社で管理するウェブサイトへの不正アクセスと、利用していた外部サービスStudioへの不正アクセスに伴う情報流出の可能性を、それぞれ公表しました。前者の対象は4,082件、後者は2サイトの問い合わせ情報計25件です。
1件目は、同社が管理する一部ウェブサイトのAWSの共同サーバー環境への不正アクセスです。原因は、WordPressなどのコンテンツ管理システムの脆弱性と、サーバー内のアクセス権限の設定不備を突いた攻撃だったと確認しています。対象は「GREEN CROSS PARK 公式サイト」の会員登録情報4,079件と、「GREENUP Cooldown Project 公式サイト」の問い合わせ情報3件の計4,082件です。10月19日に該当サイトを遮断し、20日以降、アクセス権限の見直しなどを行ったうえで順次復旧しています。
2件目は、ウェブサイト制作サービスStudioへの不正アクセスに伴うものです。「リエネソーラーファーム東松山公式サイト」の5件と「TENOHA 松前公式サイト」の20件で、問い合わせフォームに入力された情報が対象です。Studioへの不正アクセスと利用企業の公表が始まったことは、10月17日の記事で整理しました。提供元の公表から2週間ほどたっても、利用企業の公表が続いています。
そのほかの10件
次の10件は、件数や影響の範囲が比較的小さい公表、または調査中の段階の公表です。メール配信サービスなど、委託先のシステムが関わる事案が多く含まれます。
| 組織(公表日) | 件数 | 対象・状況(各組織の説明) |
|---|---|---|
| NEL「osina」(10/29) | 23万5,329人(個人情報保護委員会への速報時点) | 利用していたデータ分析ツールの脆弱性を悪用された。会員の口座情報やSNS連携の認証情報などが対象 |
| コアデ「はにくじランド」(10/30) | 最大7,622名 | 不正なコマンド実行と認証情報の不正利用の形跡。氏名、住所、電話番号、メールアドレス、購入履歴など。クレジットカード情報は対象外 |
| アイリスプラザ(10/29) | 調査中 | ECサイトで不正アクセスを確認し、サイトを一時停止。現時点でクレジットカード情報の漏えいは確認されていない |
| 九州FG証券(10/28) | 1,708名 | セミナー受付システムへの不正アクセス。メールアドレスが対象。証券口座や取引の情報は別のシステムで管理 |
| クラブネッツ「CNポイント」(10/29) | 1万6,936件と2,857件 | サテライトシステムへの不正アクセス。会員IDと氏名、一部はメールアドレスや住所も。3つのサービスを停止 |
| 鹿児島銀行など4金融機関「Payどん」(10/28) | 記載なし | 委託先アララのメール送信システムへの不正アクセス。メールアドレス、決済日時、店名、金額 |
| 料理王国(10/29) | 約8,000件(延べ件数) | サーバー内のデータを外部から取得できる状態だった。ハッシュ化したパスワードを含む |
| TBSグロウディア「TBSショッピング」(掲載日の表示なし) | 4万9,995人分 | 委託先が利用するメール配信システムへの不正アクセス。メールアドレスなど |
| 大都開発「かたしな高原」(10/30) | 253人 | 委託先イグレックスの管理者アカウントで不正にログインされ、登録者の一覧が閲覧されたおそれ。約3万800件にフィッシングメールが送られた |
| 日本製薬団体連合会など4団体(10/30) | 3万750件 | 委託先ユミルリンクのメール配信サービス「Cuenote FC」からメールアドレスが漏えいした可能性。団体の情報共有システムPRAISE-NET自体は不正アクセスを受けていない |
この段階で利用者ができること
18項目の公表文を並べると、利用者に求めていることは大きく3つです。
1つ目は、パスワードの変更です。花キューピットと料理王国は、パスワードのハッシュ値が対象になったとして、変更を求めています。花キューピットは、同じIDとパスワードを使っているほかのサービスでも変えるよう求めています。日本交通は、暗証番号やパスワードに生年月日や電話番号を使っている場合は変更を検討するよう呼びかけています。
2つ目は、なりすましの連絡への注意です。外務省、良品計画、近鉄GHD、KDDIとライフネット生命など、ほとんどの組織が不審なメールや電話、SMSに注意するよう呼びかけています。今回の事案では、メールアドレスに加えて、生年月日、社債の購入金額、決済の日時と店名など、本物らしさを増す情報が対象になったものがあります。届いた連絡のリンクではなく、公式サイトや公式アプリから確かめるのが確実です。
3つ目は、個別の案内を確かめることです。外務省、日本交通、KDDIとライフネット生命などは、対象者に個別に連絡するとしています。日本交通のように区分ごとに含まれる項目が違う場合、自分に何が関わるかは個別の案内で示されます。
対象の範囲を示すまでの時間
外務省は7月27日の検知から約3か月後、日本交通は7月11日の不正アクセスから3か月半あまり後に、対象の範囲を示しました。佐賀大学は9月24日の被害の確認から約5週間後です。日本交通は7月13日に、佐賀大学は9月28日に、事案そのものは公表していました。一方、KDDIとライフネット生命は10月23日の検知から1週間後に、項目ごとの件数まで公表しました。
個人情報保護法は、不正アクセスによる個人データの漏えいなど、一定の要件にあたる事態では、漏えいの「おそれ」がある段階でも、個人情報保護委員会への報告を事業者に求めています。まず速報を出し、調査の結果を確報で補う仕組みです。行政機関にも、別の条文に基づく報告の義務があります。ただし、委員会への報告と、本人への通知、一般向けの公表は、それぞれ別の手続きです。今回の公表日だけから、各組織がいつ報告や通知をしたかは分かりません。検知した時点で、誰のどの情報が漏れたかが分かっているわけでもありません。外務省は、漏えいした可能性のある情報に機密性の高いものが含まれていないかを確かめています。日本交通は、6つの区分ごとに含まれる項目を整理しました。
今回の公表では、対象の区分や情報の項目が具体的になった事案があります。含まれる項目と含まれない項目、窓口がそろえば、受け取った人は落ち着いて次の行動を選べます。一方で、外務省の対象者の特定や、佐賀大学の患者情報の人数など、調査が続いている部分もあります。利用者は、公表文に加えて、個別の案内や続報を確かめることになります。早く知らせることと、その後に分かったことを具体的に補うこと。その両方が、利用者の次の行動を支えるのだと思います。
【関連記事】
個人情報保護委員会、不正アクセスの漏えい報告を集計 延べ約2億6000万人、安全管理措置のガイドライン改正は前倒しへ
4月以降に委員会へ報告された不正アクセスによる漏えいの速報の集計と、安全管理措置のガイドライン改正の前倒しを伝えた記事。
日本交通が不正アクセスでシステム停止、電話配車は落ちアプリ『GO』は生き残った
7月の日本交通の第1報を伝えた記事。不正アクセスで電話配車などが止まる一方、配車アプリ「GO」は動き続けたことを伝えた。
【解説】ファインズ約154万件・池上通信機・佐賀大学・八王子学園・両毛システムズなど、ランサムウェアと予約システムの公表・続報7件を整理
佐賀大学の9月28日の第1報を含め、ランサムウェアの被害と予約システムへの不正アクセスの公表・続報7件をまとめて整理した解説。
【解説】Studio・コミックシーモア・日本郵便など不正アクセス8件、10月16〜17日の公表を整理
ウェブサイト制作サービスStudioへの不正アクセスと、利用企業による公表が始まったことなど、10月16〜17日の8件を整理した解説。
【編集部後記】
近鉄GHDの発表には、対象は特典を申し込んだ人だけではなく、100万円以上購入した全員だと書かれています。特典の申し込みに使うサービスに、申し込まなかった人の氏名と購入金額も置かれていたことが、この一文から分かります。
自分の情報がどこに置かれているかは、利用者の側からはほとんど見えません。今回も、連携先や委託先への不正アクセスをきっかけにした公表が続きました。手元に届いた個別の案内に、どの会社のどのシステムの話かが書かれているかを、一度確かめてみてください。
【用語解説】
ハッシュ値
元のデータから、決まった計算で作る固定長の値。元のデータに戻すことは難しいが、同じパスワードを使い回していると、ほかのサービスへの不正ログインに使われるおそれは残る。
要配慮個人情報
病歴、診療の情報、犯罪の経歴など、不当な差別や偏見が生じないよう、取り扱いに特に配慮が必要な個人情報。個人情報保護法で定められている。
NAS
Network Attached Storageの略。ネットワークにつないで、複数の端末からファイルを保存・共有する記憶装置。
速報と確報
個人データの漏えいなどが起きた、またはそのおそれがあるときに、事業者が個人情報保護委員会に行う報告の2段階。事態を知ったあと速やかに出す速報と、調査の結果をまとめる確報からなる。
なりすまし
実在する企業や組織、人物を装って、メールや電話、SMSなどで連絡し、偽のサイトに誘導したり情報を聞き出したりする手口。
【参考リンク】
不正アクセスによる個人情報の漏えいの可能性について(外務省)(外部)
外務省の10月30日の発表。外部とやり取りできるネットワークへの不正アクセスで、メールアドレスや氏名など約3,600件に漏えいの可能性。
弊社システムへの不正アクセスに関するお知らせ(第6報)(日本交通)(外部)
日本交通の10月30日の第6報。7月11日の不正アクセスについて、ハイヤー利用者や採用応募者など6つの区分の人数と項目を示した。
事務情報システムにおけるランサムウェア被害の発生について(佐賀大学)(外部)
佐賀大学の10月30日の発表。学生や教職員など約8万人分の漏えいの可能性と、患者の要配慮個人情報が対象になることを示した。
ライフネット生命の一部システムへの不正アクセスによるKDDIお客さま情報の漏えいの可能性について(KDDI・ライフネット生命)(外部)
両社の10月30日の共同発表。ライフネット生命の連携システムの脆弱性を通じ、KDDIの顧客情報が最大2万2,541件取得された可能性がある。
外部サービスへの不正アクセスによる投資家様情報漏えいの可能性について(近鉄グループホールディングス)(外部)
近鉄GHDの10月31日の発表。第135回無担保社債を100万円以上購入した2,678件の氏名と購入金額が、外部に持ち出された可能性がある。
STdirectServicesのサービス停止についてのお知らせ(NTTデータ)(外部)
NTTデータの10月31日の発表。委託先が利用するSaaSへの不正アクセスを受け、社債購入者への特典付与を支援するサービスを止めた。
デジタル特典付き社債に関する外部委託先への不正アクセスによるお客さま情報の漏えいについて(野村證券)(外部)
野村證券の10月31日の発表。NTTデータの委託先への不正アクセスで、デジタル特典付き社債の一部購入者の情報が漏えいした可能性がある。
当社管理ウェブサイトにおける不正アクセスおよび個人情報流出の可能性について(東急不動産)(外部)
東急不動産の10月30日の発表。AWSの共同サーバー環境への不正アクセスで、2つのサイトの会員登録情報など計4,082件が対象になった。
外部サービスにおける不正アクセスに伴う当社ウェブサイトへの影響および個人情報流出の可能性について(東急不動産)(外部)
東急不動産の10月30日の発表。Studioへの不正アクセスに伴い、2つのサイトの問い合わせフォームに入力された計25件が対象になった。
無印良品の公式アプリ「MUJIアプリ」におけるお客さま情報流出の可能性について(良品計画)(外部)
良品計画の10月30日の発表。MUJIアプリで、退会者を含む最大約2,726万件のメールアドレス、生年月日、性別が流出した可能性がある。
当社運営サイト(インターネット花キューピット等)への不正アクセスによる会員情報漏えいに関するお詫びとお知らせ(花キューピット)(外部)
花キューピットの10月28日の発表。不正アクセスで、4,238,242件のID、パスワードのハッシュ値、メールアドレスが漏えいした。
不正アクセスによる個人情報漏えいに関するお詫びとお知らせ(NEL)(外部)
NELの10月29日の発表。データ分析ツールの脆弱性を悪用され、osinaの会員など23万5,329人の情報が漏えいした(速報時点の人数)。
不正アクセスによる個人情報流出の可能性に関するお詫びとお知らせ(コアデ)(外部)
コアデの10月30日の発表。オンラインくじサイト「はにくじランド」への不正アクセスで、最大7,622名の個人情報が流出した可能性がある。
株式会社アイリスプラザECサイト一時停止のお知らせ(アイリスオーヤマ)(外部)
アイリスプラザの10月29日の告知。運営するECサイトで不正アクセスを確認し、サイトを一時停止したうえで情報漏えいの可能性を調べている。
個人情報の漏えいに関するお詫び(九州FG証券)(外部)
九州FG証券の10月28日の発表。セミナー受付システムへの不正アクセスで、2022年12月以降の申込者1,708名のメールアドレスが対象。
【重要】CNポイント サテライトシステムへの不正アクセスによる一部サービス停止および個人情報流出の可能性に関するお知らせ<第1報>(クラブネッツ)(外部)
クラブネッツの10月29日の第1報。CNポイントのサテライトシステムへの不正アクセスで、会員情報が流出した可能性があり、3サービスを止めた。
Payどんへの不正アクセスによる個人情報漏えいの可能性に関するお知らせとお詫び(鹿児島銀行)(外部)
鹿児島の4金融機関によるPayどんの告知。委託先アララのメール送信システムへの不正アクセスで、メールアドレスや決済の内容が漏えいした可能性。
「料理王国ウェブマガジン」個人情報漏えいに関するお詫びとお知らせ(料理王国)(外部)
料理王国編集部の10月29日の発表。サーバー内のデータを外部から取得できる状態になり、会員情報など約8,000件(延べ件数)が漏えいした。
【重要】個人情報漏洩に関するお詫びとお知らせ(TBSショッピング)(外部)
TBSショッピングの告知。委託先のメール配信システムへの不正アクセスで、メールマガジン会員4万9,995人分のメールアドレス等が流出した。
【調査結果のご報告】当社メールマガジン配信サービスを悪用した不審なメールについて(大都開発)(外部)
かたしな高原を運営する大都開発の10月30日の報告。委託先イグレックスの管理者アカウントが悪用され、253人の情報が閲覧されたおそれがある。
メール配信委託先における不正アクセスに伴うメールアドレスの漏えいの可能性に関するお詫びとお知らせ(日本製薬工業協会)(外部)
製薬4団体の10月30日の発表。委託先ユミルリンクのメール配信サービスへの不正アクセスで、3万750件のメールアドレスに漏えいの可能性。
【参考記事】
日本交通29万人分流出か 住所やマイナンバー情報(中日新聞Web)(外部)
共同通信の配信記事。日本交通が10月30日、ハイヤーの利用客や従業員など約29万人分の個人情報が流出した可能性があると発表したと伝えた。
佐賀大でランサムウエア被害 学生ら個人情報8万人分漏えいの可能性 患者情報も流出の恐れ(佐賀新聞)(外部)
佐賀大学の10月30日の発表を伝えた地元紙の記事。附属病院の患者の情報も流出した恐れがあり、人数は分かっていないことを伝えた。
委託先に不正アクセス受け 社債購入者情報漏えいの可能性 NTTデータが発表(NHK)(外部)
NTTデータの委託先への不正アクセスで、社債を購入した投資家の情報が漏えいした可能性があることを伝えた、10月31日のNHKの記事。



