数百基の光通信衛星で、日本独自の網を張る。読売新聞が報じたNECの計画は、NEC自身の発表にはまだ現れていません。ただ、2025年からの発表とIR資料を時系列に並べると、実証衛星から2030年代の網へ続く階段はすでに見えています。光の網なのに、なぜ電波の周波数を申請するのかという点も含めて読み解きます。
NECは光通信衛星コンステレーションの構築に向け、2027年度に技術実証衛星を打ち上げる。民生用光送受信機の耐放射線設計、宇宙での高速ネットワーク経路処理、Q/Vバンド通信を軌道上で実証する。宇宙戦略基金の2案件では、光ルータ基盤技術を2026年度末までに開発し、2029年度末までに低軌道衛星を複数打ち上げて軌道上でネットワークを実証する計画だ。NEDOの経済安全保障重要技術育成プログラム(2023年の発表時点で事業規模600億円)の実施予定先にも名を連ねる。2025年11月のIR Dayでは光通信ネットワークの実現を2030年度以降と見込み、2030中期経営計画は衛星コンステレーション事業の事業化を検討するとした。
読売新聞は2026年9月27日朝刊で、NECが数百基規模の網を計画し、総務省を通じてITUに約1300基分の計画を申請したと報じました。9月27日時点で確認できるNECの公表資料には、この規模や申請の詳細は示されていません。
ただ、この計画は突然現れたものではありません。NECの光通信技術、国の支援制度、衛星コンステレーションをめぐる国内外の動きは、innovaTopiaでもそれぞれ個別の記事として伝えてきました。この記事では、そうした点を公表資料でつなぎ直し、報じられた計画がどこから来て、どこへ向かうのかを読み解きます。
点を線でつなぐ:NECの光通信コンステレーションの歩み
まず、これまでの出来事を時系列で並べます。
| 時期 | 出来事 | 関連記事・出典 |
|---|---|---|
| 2023年3月 | NEDOがK Program「光通信等の衛星コンステレーション基盤技術の開発・実証」に着手。NECが実施予定先に | NEDO |
| 2025年1月 | JAXAとNEC、光衛星間通信システム「LUCAS」で、だいち4号と静止衛星の間を1.8Gbpsで結び、観測データを地上へ届ける | JAXA・NEC |
| 2025年3月 | 宇宙戦略基金の2案件で交付決定。4月1日付けで衛星コンステレーション統括部を設置すると発表 | NEC、宇宙戦略基金の解説 |
| 2025年11月 | IR Dayで、光通信ネットワークの実現を2030年度以降と見込む | NEC IR資料 |
| 2025年11月 | 経路制御技術を発表。遅延を半分に、遅延の揺れを30分の1に | NEC、LEO衛星×光リンク |
| 2026年3月 | 技術実証衛星のペイロード設計を完了 | NEC |
| 2026年5月 | 2030中期経営計画で、衛星コンステレーション事業の事業化を「検討」と明記 | NEC IR資料 |
| 2026年9月 | 読売新聞が、数百基規模の計画と、ITUへの約1300基分の計画の申請を報道 | 読売新聞 |
| 2027年度(予定) | 技術実証衛星を打ち上げ | NEC |
| 2029年度末(目標) | 複数の低軌道衛星で、ネットワークを軌道上で実証 | NEC |
こうして並べると、報じられた「2030年代の運用開始」という時間軸は、NECが公表してきた実証計画や見通しと整合します。ただし、数百基規模の運用計画そのものは、NECの公表資料ではまだ確認できません。以下、公表されている中身を順に見ていきます。
なぜ光で、なぜ自前なのか
地上網と並び立つ網
NECは2025年3月の発表で、この網が必要な理由を、強靭性(レジリエンス)とセキュリティという二つの観点から説明しています。自然災害で地上のネットワークが寸断されれば、経済社会に大きな影響が出る。だから地上網から独立し、地上網と並び立つ通信網を宇宙に持つ、という考え方です。
電波の干渉を避け、大容量を運ぶ
光を使う理由は、2026年3月の発表にあります。多数の衛星が連携するコンステレーションでは、衛星同士の通信を電波で行うと干渉が避けにくい。光なら干渉を避けながら、大容量のデータを運べます。
4万km先でも、広がりは約200m
レーザー光はほとんど広がらずに進みます。NECの解説によれば、約4万km先に届くころでも、光の広がりは約200mにとどまります。この細い光を、高速で動く相手の衛星に当て続けるには、鏡を細かく動かして追尾し、衛星本体の微細な振動まで打ち消す制御が要ります。
NECはこの技術を、すでに宇宙で動かしています。2025年1月、JAXAとNECは、先進レーダ衛星「だいち4号」と約4万km離れた静止軌道の光データ中継衛星との間で、波長1.5μm帯、通信速度1.8Gbpsの光通信を行い、観測データを静止衛星経由で地上へ届けました。NECはこの光衛星間通信システム「LUCAS」で、光通信機器のプライムメーカーを務めています。
だいち4号は夜間や悪天候でも地表を撮像できるレーダ衛星で、道路災害時の緊急観測にも使われる衛星です。観測データを地上局の位置に縛られずに素早く降ろせることは、防災の現場での使い勝手に直結します。
静止衛星を介した1対1の光通信から、低軌道の多数の衛星が網の目のようにつながる光通信へ。いまNECが挑んでいるのは、この一段先の姿です。
公表されている三つの段
この網に向けた計画は、三つの段で公表されています。
| 段 | 枠組み | 主な内容 | 時期 |
|---|---|---|---|
| 技術実証衛星 | NECが発表(成果はNEDO事業と宇宙戦略基金事業にも活用) | 民生用光送受信機の耐放射線、宇宙での経路処理、Q/Vバンド通信 | 2027年度に打ち上げ予定 |
| 光ルータと複数機での実証 | JAXA 宇宙戦略基金(2案件) | 光ルータ基盤技術の開発と地上実証、複数の低軌道衛星によるネットワーク実証 | 2026年度末に開発完了、2029年度末までに軌道上実証 |
| 基盤技術の開発・実証 | NEDO K Program(2023年の発表時点で事業規模600億円) | 地球規模の衛星光通信ネットワーク技術の確立 | 2022〜2029年度(2023年の発表時点の予定) |
2027年度の技術実証衛星
一つ目は、2027年度に打ち上げる小型の技術実証衛星です。2026年3月にペイロードの設計を終えました。軌道上で確かめるのは次の三つです。
民生用の光送受信機が、宇宙の放射線に耐えられるか。米AMDの高性能デバイスで、高速なネットワーク経路の処理ができるか。ミリ波帯のQ/Vバンドで地上と通信できるか。衛星の本体部分には、米Apex Technologyの小型衛星バス「Aries」を採用しました。
地上向けの民生品を使うのには理由があります。多数の小型衛星に光通信機器を載せるには、開発期間の短縮とコストの低減が欠かせない。NECは、量産実績のある地上の汎用技術を活用する方針を示しています。宇宙専用に作り込む設計から、地上で量産されてきた技術を生かす設計へ。数を並べるコンステレーションならではの発想です。
宇宙戦略基金:光ルータと複数機での実証
二つ目は、JAXAの宇宙戦略基金の支援を受けた取り組みです。NECは2025年3月、2案件で補助金の交付決定を受けました。最長10年にわたって民間の技術開発を支える基金の仕組みは、第3期の全体像を解説した記事で整理しています。
光ルータの基盤技術を2026年度末までに開発し、2027年度末までに地上で実証します。そのうえで2029年度末までに低軌道衛星を複数打ち上げ、ネットワークとして軌道上で動かすことを目指しています。技術開発と事業化を加速するため、NECは2025年4月1日付けで衛星コンステレーション統括部を設置しました。
K Program:国の基盤技術開発
三つ目は、NEDOが運営する経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)です。「光通信等の衛星コンステレーション基盤技術の開発・実証」は、2023年3月の発表時点で事業規模600億円、期間は2022年度から2029年度の予定です。
実施予定先は、幹事企業のSpace Compassと、情報通信研究機構(NICT)、アクセルスペース、NECの4者です。この事業は、世界に先んじて地球規模の衛星光通信ネットワークの技術を確立し、ルール形成で主導的な立場に立つことを目的に掲げています。
網を動かす頭脳、経路制御
光の線を何本も張るだけでは、網にはなりません。どの衛星を経由してデータを運ぶかを決める、経路制御の仕組みが要ります。NECは2025年3月の発表で、光通信端末が物理的な帯域を提供し、ルータが相互接続性や高速性、安定性といった通信品質を決めると説明しています。
動き続ける網の難しさ
低軌道の衛星は、地上から見ると次々に空を横切っていきます。衛星同士の距離も、衛星と地上局の距離も、刻々と変わります。地上のネットワークのように、つなぎ方が固定された網ではありません。
地上局から見える衛星が替わるたびに、通信経路の切り替え(ハンドオーバー)が起きます。このとき、データの一部が失われたり、到着の順番が乱れたりして、遅延が大きく揺れる。NECは、現在の低軌道衛星通信サービスには通信中の瞬断や再接続の遅さといった改良の余地があると指摘しています。
衛星の動きは予測できる
NECが2025年11月に発表したネットワーク制御技術は、この課題に正面から取り組んだものです。着眼点は、衛星の軌道があらかじめ計算できることにあります。
衛星の移動による距離の変化をモデルにすれば、最も速くデータが届く経路を少ない計算量で選べる。経路が途切れるタイミングも予測できる。NECは、この考え方でデータ転送の遅延を従来比で半減し、遅延の揺れ(遅延変動)を従来の30分の1に抑制できるとしています。
NECが想定する用途は、災害時の状況把握、自動運転、遠隔での精密な作業を要する無人検査などです。国内でも2025年11月、津波避難が想定される沿岸部や通信が不安定な山間部で、衛星通信を組み込んだ自動運転バスの実証が仙台で始まりました。つながればよい通信から、途切れてはならない用途に使える通信へ。経路制御と光ルータは、その品質を宇宙で高めるための中核技術です。
NECが語ってきた時間軸
計画の先について、NECはIRの場で少しずつ言葉にしてきました。
「まだ発表できる段階ではない」
2025年11月のIR Dayでは、衛星コンステレーションを大きな柱と考えているとしながら、まだ発表できる段階ではないと答えています。そのうえで、光通信のネットワークができるのは2030年度以降と見込んでいると説明しました。
2.5Gbpsから100Gbpsへ
同じ場では、性能面の目標にも触れています。光通信端末の主流は現在2.5Gbpsで、同じものを作っても競争に負ける。数年後には100Gbpsを作りたい、という趣旨です。衛星の数だけでなく、1基あたりの通信能力で先を行こうとする構えが読み取れます。
宇宙光通信の速度は、国内外の研究や企業がそれぞれの条件で伸ばしてきました。innovaTopiaで伝えてきた主な事例を並べます。実験の条件や距離が異なるため、数字を単純に比べることはできません。
| 時期 | 主体 | 内容 | 関連記事・出典 |
|---|---|---|---|
| 2025年1月 | JAXA・NEC | 低軌道のだいち4号と静止衛星の間、約4万kmを1.8Gbpsで結ぶ | JAXA・NEC |
| 2025年 | 中国の研究チーム | 高軌道の衛星から地上へのレーザー通信で1Gbps | 中国の衛星レーザー通信 |
| 2025年11月 | KDDI総合研究所・京都大学ほか | 地上の実験で、光ファイバー増幅器なしに約6万km相当の減衰条件で1Gbps | KDDI総研×京大 |
| 2026年6月 | NTT・MBRYONICS | 従来方式比10倍以上の通信速度向上を可能にする光トランシーバモジュールの開発に向け、覚書を締結 | NTT・MBRYONICS |
| 数年後(目標) | NEC | 100Gbpsの光通信端末 | NEC IR資料 |
事業化の「検討」
2026年5月の2030中期経営計画は、中長期の視点で衛星コンステレーション事業の事業化を検討すると記しました。
NECは2029年度末までの軌道上実証を目指し、光通信の網の実現を2030年度以降と見込んでいます。公表資料から読み取れる時間軸は、ここまでです。
光の網にも、電波の国際調整が要る
光通信衛星と聞くと、電波の周波数は関係なさそうに思えるかもしれません。実際、計画の中心にあるのは光です。
地上とも光で結ぶ、ただし雲が弱点
K Programの事業概要に載る全体像の図では、低軌道の衛星同士に加え、衛星と地上の光地上局の間も光の回線で結ばれています。地球観測衛星や静止衛星も、光の回線でこの網につながる構成です。
光には弱点もあります。図には、雲に遮られて光の回線が途切れる場面が描かれ、二つの手当てが示されています。別の場所にある光地上局へ切り替える「光サイトダイバーシティ」と、電波(RF)の地上局へ切り替える「光/RFダイバーシティ」です。
光を主役にしながら、雲で光が使えないときに備えて電波の経路も併せ持つ。構想図が示しているのは、そうした網の姿です。
別途、NECは2027年度の技術実証衛星にQ/Vバンドの機器を載せ、地上局と通信して電波の伝わり方のデータを取る予定です。NECはその目的を、より高い周波数帯へ移行する将来を見据えたものと説明しています。この実証機器と構想図の代替経路との具体的な関係は、公表されていません。
申請は、利用の確定ではない
電波を使う以上、周波数の国際調整は避けて通れません。その舞台がITUで、衛星網の周波数割当ては各国の主管庁を通じて、周波数帯と業務に応じて事前公表または調整申請から始まり、通告、国際周波数登録原簿への記録へと進みます。
申請しただけで、周波数や軌道の利用が確定するわけではありません。また、申請した機数がそのまま実際に打ち上げる機数になるわけでもありません。2023年に学術誌Scienceに掲載された研究によれば、2017年から2022年にITUへ届け出られた衛星は100万基を超え、当時軌道上で運用されていた衛星の115倍以上にのぼりました。現在最大のコンステレーションであるSpaceXのStarlinkでも、ジョナサン・マクダウェル(Jonathan McDowell)氏の集計で軌道上の数が1万1000機を超えたのは2026年夏のことで、9月時点では1万1100機余りです。
空押さえを防ぐマイルストーン
権利だけを押さえる「空押さえ」を防ぐ仕組みもあります。2019年の世界無線通信会議(WRC-19)は決議35で、指定された周波数帯と業務を使う非静止衛星システムにマイルストーン制度を設けました。周波数の使用開始に関する規則上の期限から2年で10%、5年で50%、7年で全数(1基少ない数も含む)の配備を確認し、届かなければ通告・登録された機数を実際の配備数に合わせて見直します。この決議は2023年の会議(WRC-23)でも改訂されています。
報じられた約1300基という数字も、そのまま最終的な運用機数と受け取ることはできないと私は考えています。ただし、NECの申請内容や配備の目標は公表されておらず、この制度が本件にどう適用されるかも確認できません。
日本のためだけの網ではない
地上網から独立した通信手段を自前で持つことは、経済安全保障の議論そのものです。衛星を多数並べて網をつくる動きは、国内外で同時に進んでいます。
| 主体 | 衛星網 | 規模・時点 | 関連記事 |
|---|---|---|---|
| SpaceX | Starlink(通信) | 軌道上1万1100機余り(2026年9月、マクダウェル氏集計) | Starlink 1万1000機突破 |
| EU | IRIS²(通信) | 348基へ拡大する実施協定に署名(2026年8月) | 衛星コンステレーション100基超 |
| 防衛省 | 画像取得の衛星コンステレーション | 整備・運営事業を約2831億円で契約(2026年2月) | 衛星コンステレーション100基超 |
| NEC | 光通信衛星コンステレーション | 技術実証衛星を2027年度に打ち上げ予定 | 本記事 |
一方で、NEC自身の言葉はもう一歩外を向いています。IR Dayでは、衛星コンステレーションは日本だけのものではなく地球の裏側の国でも使えるとし、欧米と組みながら大きな構想を描く必要があると述べました。宇宙光通信で海外と組む動きは、NTTが欧州の光通信企業MBRYONICSと結んだ協業の覚書にも表れています。
NECは、民生と安全保障の両方で使うデュアルユースを前提に、銀行や電力といった企業と、網を作ったあとの使い道も検討しているといいます。
自前の網であることと、世界で使われる網であることは矛盾しません。むしろ、数多くの衛星を持続的に運用する事業として成り立たせるには、国内の安全保障需要だけでなく、海外と民間の需要を取り込む設計が欠かせないのでしょう。
次に目に見える節目は、2027年度の技術実証衛星の打ち上げです。網の全体像はまだ公式には示されていません。それでも、最初の1基が軌道に上がる時期は、すでに具体的な年度として示されています。
【関連記事】
日本の宇宙産業、構造転換へ—経産省・宇宙戦略基金 第3期テーマ公表、打上げ能力「年30件」を目指す
経産省による宇宙戦略基金第3期の技術開発テーマと、2030年代前半に打上げ能力を年30件へ高める政府の目標を伝える記事である。
衛星コンステレーション16計画、特性調整後に9つが臨界サイズ超過
衛星コンステレーションがデブリを自己増殖させる臨界サイズを算出し、16計画のうち9つが超過すると示した論文を紹介する記事。
ドコモ・NEC・1Finity・NTT・富士通、6G実現へ総務省事業に採択─AIで複数周波数帯を制御、消費電力半減めざす
ドコモ、NEC、1Finity、NTT、富士通の5者が、6Gに向けた総務省の研究開発事業に採択された内容を伝える記事である。
【編集部後記】
NECの宇宙光通信の解説ページに、開発の初期には熱で光ファイバーが溶けることもあった、という一文があります。太平洋や大西洋の海底に光を通してきた技術を、宇宙へ持ち出したときの苦労です。
海の底と軌道上は、正反対の場所に見えます。それでも、光を弱らせずに遠くまで届けるという課題は同じでした。いつか数百基の衛星を結ぶ光の糸には、海底で積み重ねてきた経験も編み込まれているはずです。
【用語解説】
衛星コンステレーション
多数の人工衛星を軌道上に配置し、一体として運用する仕組み。1基では届かない範囲や頻度を、数を並べることで補う。
低軌道
高度がおおむね2000km以下の地球周回軌道。地上との距離が近く遅延は小さいが、衛星が上空を短時間で通り過ぎる。
静止軌道
赤道上空約3万6000kmの軌道。地球の自転と同じ周期で回るため、地上からは衛星が止まって見える。
LUCAS
JAXAの光衛星間通信システム。静止軌道の光データ中継衛星と地球観測衛星を光で結ぶ。NECが光通信機器のプライムメーカーを務めた。
光ルータ
衛星の網の中で、データをどの衛星経由で運ぶかを振り分ける装置。NECは宇宙戦略基金の支援を受けて基盤技術を開発している。
ハンドオーバー
通信相手の衛星や基地局が切り替わる際に、通信経路を次の相手へ引き継ぐ処理。低軌道衛星の通信では頻繁に起きる。
ペイロード
衛星に搭載され、その衛星の目的となる仕事を担う機器。通信機器や観測センサーなどがこれにあたる。
衛星バス
電源、姿勢制御、通信など、衛星が動くための共通機能をまとめた本体部分。ペイロードを載せる土台となる。
Q/Vバンド
およそ40〜50GHz帯のミリ波の周波数帯。広い帯域を使えるため大容量通信に向くが、雨による減衰を受けやすい。
光サイトダイバーシティ
雲などで光の回線が使えないとき、別の場所にある光地上局へ切り替えて通信を続ける方式。
宇宙戦略基金
JAXAに設けられた基金。民間企業や大学の宇宙分野の技術開発を、最長10年にわたって支援する。
K Program
経済安全保障重要技術育成プログラムの通称。経済安全保障上重要な先端技術の研究開発と実証を国が支援する。
ITU
国際電気通信連合。周波数や衛星軌道の国際的な調整を担う国連の専門機関で、本部はスイスのジュネーブにある。
国際周波数登録原簿
ITUが管理する、国際的に認められた周波数割当ての台帳。通告を経て記録された割当ては国際的な保護の対象となる。
決議35
2019年の世界無線通信会議(WRC-19)が採択した、非静止衛星システムの配備状況を段階的に確認するマイルストーン制度。2023年に改訂された。
デュアルユース
同じ技術や設備を、民生と安全保障の両方の用途で使うこと。
【参考リンク】
読売新聞 2026年9月27日朝刊1面「光通信衛星 数百基体制」
NECの数百基規模の計画、2030年代の運用開始、総務省を通じたITUへの約1300基分の計画申請を報じた紙面記事である。
NEC「1.5μm衛星間光通信を使った超大容量ミッションデータ伝送に世界で初めて成功」(外部)
JAXAとNECがLUCASで、だいち4号と約4万km離れた静止衛星を1.8Gbpsで結び、観測データを地上へ届けたと発表した。
NEC「光通信衛星コンステレーションの推進に向け宇宙戦略基金の活用と新組織を設置」(外部)
宇宙戦略基金2案件の交付決定と、光ルータの開発日程、2029年度末までの複数機による軌道上実証の目標を示した発表である。
NEC IR Day 2025 安全保障 質疑応答(PDF)(外部)
光通信網の実現を2030年度以降と見込み、100Gbps端末や海外連携、デュアルユースへの考えを語ったIR質疑の記録である。
NEC「光通信衛星コンステレーション構築に向けたネットワーク制御技術を新たに開発」(外部)
衛星の動きをモデル化して、データ転送遅延を半減し、遅延変動を従来の30分の1に抑制できるとした経路制御技術の発表である。
NEC「日本初の光通信衛星コンステレーションの実現に向けた技術実証衛星に搭載する機器の設計を完了」(外部)
2027年度に打ち上げる技術実証衛星で、民生用の光送受信機、AMD製デバイス、Q/Vバンド機器を軌道上で試すと発表した。
NEC「2030中期経営計画」(PDF)(外部)
社会インフラ事業の方針として、中長期の視点で衛星コンステレーション事業の事業化を検討すると記したNECのIR資料である。
NEC「光通信システム:宇宙ソリューション」(外部)
約4万km先で光が約200mに広がる例や、相手衛星を追い続ける制御など、NECの宇宙光通信技術の背景を解説するページである。
NEDO「経済安全保障重要技術育成プログラム」で海洋領域と宇宙・航空領域の3事業に着手(外部)
「光通信等の衛星コンステレーション基盤技術の開発・実証」(600億円)を含む、K Programの宇宙・海洋3事業の着手を伝えた。
NEDO 事業概要資料(別紙2-2、PDF)(外部)
光回線とRF回線、二つのダイバーシティを描いた全体像の図と、幹事企業Space Compassを含む4者の実施体制を示す資料である。
ITU「Non-geostationary-satellite networks (Non-GSO)」(外部)
非静止衛星網の届け出が、周波数帯と業務に応じて事前公表または調整申請から始まり、通告と記録へ進む流れを示すITUのページ。
ITU「Resolution 35 (WRC-19)」(PDF)(外部)
非静止衛星システムの配備を、規則上の期限から2年・5年・7年の3段階で確認するマイルストーン制度を定めた決議の本文である。
One million (paper) satellites(著者受理版、PDF)(外部)
2017〜2022年にITUへ届け出られた衛星が100万基を超え、運用中の衛星の115倍以上にのぼると分析した論文の原稿である。
【参考記事】
JAXAとNECが衛星間光通信での観測データ伝送に成功 – 山川プロマネが成果を報告(外部)
LUCASの説明会で、だいち4号の観測データを光データ中継衛星経由で地上へ届けた成果と、NECの担当範囲を伝える記事である。
China claims its high-orbit laser communication tops Starlink speed(外部)
中国の研究チームが、高軌道の衛星から地上へのレーザー通信で1Gbpsを達成したとする、学術誌掲載の成果を伝える記事である。
SpaceX launches 27 Starlink satellites to orbit from California (photos)(外部)
マクダウェル氏の集計を引き、Starlinkの稼働機が1万1100機を超えた2026年9月時点の状況を伝える記事である。


















