ispace HAKUTO-R ミッション2、1月15日打ち上げ決定 – 欧州製マイクロローバー搭載し月面資源探査へ

Firefly社の月面着陸機Blue Ghost、49年ぶりの危機の海へ挑む ~NASAの月面実験10機器を搭載~ - innovaTopia - (イノベトピア)

株式会社ispace(本社:東京都中央区)は、月面探査ミッション2「SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON」を2025年1月15日(水)15時11分(日本時間)に打ち上げることを発表しました。

打ち上げ場所は米国フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地 39A射点で、SpaceX Falcon 9ロケットを使用。着陸は打ち上げから4-5ヶ月後(2025年5月下旬〜6月上旬)を予定しており、着陸地点は月の北半球Mare Frigoris(寒冷の海)、北緯60.5度、西経4.6度に設定されています。

搭載ペイロード

  • TENACIOUSローバー(高さ26cm、幅31.5cm、長さ54cm、重量5kg)
  • 高砂熱学工業の月面用水電解装置
  • ユーグレナの食料生産実験モジュール
  • 台湾国立中央大学の深宇宙放射線プローブ
  • バンダイナムコ研究所のGOI宇宙世紀憲章プレート
  • スウェーデンのアーティストによる赤い小さな家型アート作品

from:ispace、ミッション2 の打ち上げ予定日を発表!

【編集部解説】

ispace社の2度目の月面着陸への挑戦は、民間宇宙開発における重要な転換点となる可能性を秘めています。今回のミッション2では、前回の失敗から得られた教訓を活かし、より慎重なアプローチを取っていることが特徴です。

技術的な進化

RESILIENCEランダーには、前回のミッション1で発生した高度センサーの問題に対する改良が施されています。また、新たに搭載される5kgのTENACIOUSローバーは、小型ながら月の環境に耐える堅牢な設計となっています。

打ち上げ方式

今回特筆すべきは、民間企業による初めての月面探査機の相乗り打ち上げという点です。これは、打ち上げコストの削減という経済的メリットだけでなく、月面探査の効率化という観点からも画期的な試みといえます。

将来への展望

ispaceは既に次世代機の開発も進めており、2027年までにペイロード容量を現行の10倍となる300kgまで拡大する計画を持っています。これは、月での資源開発や居住施設の建設といった将来的なミッションへの布石となるでしょう。

国際協力の新たなモデル

今回のミッションには、日本企業だけでなく、スウェーデンのアーティストによる作品や台湾の研究機関の実験機器など、多様な国際パートナーが参加しています。これは、月面開発における新しい国際協力のモデルケースとなる可能性があります。

技術開発への影響

水電解装置や食料生産実験など、搭載される実験機器は地球上の技術革新にも貢献する可能性を秘めています。特に、限られたリソースでの持続可能な生産システムの研究は、地球上の環境問題解決にも応用できる可能性があります。

リスクと課題

打ち上げから着陸までの期間が4〜5ヶ月と長期に及ぶことは、技術的なリスクを伴います。また、月面での長期運用における放射線や極端な温度変化への対応も重要な課題となります。

産業への波及効果

月面での商業活動の実現は、宇宙産業全体に大きな影響を与える可能性があります。特に、月の資源利用や輸送サービスなど、新たなビジネス機会の創出が期待されます。

【用語解説】

  • レゴリス
    月面を覆う細かい砂や岩の破片
  • 越夜(えつや)
    月の夜(約14日間)を越えて機器を稼働させること
  • RESILIENCE
    「回復力」を意味し、前回の失敗から学び再挑戦する姿勢を表現
  • TENACIOUS
    「粘り強い」の意味で、困難に立ち向かう決意を象徴

【参考リンク】

  1. ispace公式サイト(外部)
    民間月面輸送サービスを提供する日本の宇宙企業。ミッション2の詳細情報を掲載
  2. SpaceX公式サイト(外部)
    Falcon 9ロケットの打ち上げスケジュールや技術仕様の詳細を確認可能

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