Last Updated on 2025-01-16 11:43 by admin
SpaceXは2025年1月15日15時11分(日本時間)、NASAケネディ宇宙センター発射台39Aからファルコン9ロケットの100回目となる記念すべき打ち上げを成功させました。
この打ち上げでは、2機の月面着陸機が搭載され、ファルコン9の第1段ブースターは398回目の回収に成功しています。
搭載された月面着陸機の1つ目は、Firefly Aerospace社の「ブルーゴースト」です。NASAの商業月面輸送サービス(CLPS)の一環として10個の科学技術機器を搭載し、約45日後の月面着陸を目指します。着陸後は月の1日(地球時間で約14日間)とその後数時間の運用が予定されています。
2つ目は、日本のispace社による「HAKUTO-R Mission 2(レジリエンス)」です。前回のミッション失敗を教訓に改良を重ね、「テナシャス」と名付けられた小型ローバー(重量5kg、幅31.5cm×長さ54cm)を搭載しています。HDカメラとシャベルを装備し、4-5ヶ月かけて月を目指します。
from:SpaceX launches 2 lunar landers on path to the Moon
【編集部解説】
民間月面探査の新時代
SpaceXのファルコン9ロケットによる2機の月面着陸機の打ち上げは、商業月面探査の新たなマイルストーンとなりました。
この打ち上げで注目すべき点は、1機のロケットで2つの民間企業の月面着陸機を同時に打ち上げるという効率的なアプローチです。これにより打ち上げコストの削減が実現し、月面探査の商業化が加速することが期待されます。
技術的な挑戦
Firefly Aerospaceのブルーゴースト着陸機は、NASAの商業月面輸送サービス(CLPS)の一環として10個の科学機器を搭載しています。約45日間の月への航行後、「危機の海」と呼ばれる領域への着陸を試みます。この着陸成功は、アメリカの民間企業による月面探査能力の実証となります。
一方、日本のispaceは前回のミッション1での教訓を活かし、レジリエンス着陸機を改良しました。搭載される5kgの小型ローバー「テナシャス」は、月面での画像撮影や表面サンプル採取という野心的なミッションに挑戦します。
月面探査の商業化がもたらす影響
この2つのミッションは、月面探査における官民連携の新しいモデルを示しています。NASAは自身で全てのミッションを実施するのではなく、民間企業のサービスを活用することで、効率的な月面探査を実現しようとしています。
また、ispaceの挑戦は、日本の宇宙産業の競争力を示す重要な機会となります。成功すれば、日本企業による初の月面着陸という快挙となるだけでなく、将来の月面ビジネスにおける重要なプレーヤーとしての地位を確立することができます。
将来への展望
これらのミッションの成功は、月の資源利用や科学研究の新たな可能性を開くことになります。特に、月面での持続可能な活動に向けた技術実証は、将来の月面基地建設や資源採掘に不可欠な知見をもたらすでしょう。
しかし、技術的な課題はまだ多く残されています。月面着陸の成功率は依然として低く、両社にとって慎重な運用が求められます。この挑戦の結果は、今後の民間月面探査の方向性に大きな影響を与えることになるでしょう。