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ダークエネルギー変動の兆候 DESI×アタカマ望遠鏡が4.2σの証拠を提示

 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-04-21 12:14 by admin

2025年4月、DESI(ダークエネルギー分光装置)とアタカマ宇宙望遠鏡(ACT)を使った国際研究チームが、宇宙の加速膨張を引き起こす「ダークエネルギー」に関する重要な研究成果を発表しました。約1,500万個の銀河を分析した結果、ダークエネルギーの強さが時間とともに変化している可能性が示され、標準宇宙モデル(Λ-CDM)の見直しが必要な状況が浮上しています。

この研究は、米国エネルギー省のDESIプロジェクトとプリンストン大学主導のACTチームが共同で実施。日本を含む23カ国の研究者が参加し、2025年3月に公開された最新観測データを活用しています。

※Preprint(プレプリント)
https://arxiv.org/abs/2407.07152
from:https://phys.org/news/2025-04-universe-hydrogen-gas-unaccounted.html

【編集部解説】

今回の研究は、宇宙の運命を決める「ダークエネルギー」の性質に迫る画期的な成果です。2つの大規模観測プロジェクトを組み合わせた点が特徴的で、以下の技術的革新が鍵となりました:

  1. DESIの広視野分光
    5,000本の光ファイバーで1晩に5,000天体を同時観測。宇宙の3次元地図作成速度が従来比100倍に向上。
  2. ACTの高精度CMB測定
    宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光を0.5分角(月面の1円玉を識別できる精度)で検出。
  3. 機械学習によるデータ解析
    銀河の形状ノイズをディープラーニングで除去し、観測精度を飛躍的に向上。

観測データからは、ダークエネルギーの密度が138億年前(宇宙誕生時)と現在で最大5%異なる可能性が示唆されています。この発見は、宇宙の最終的な運命(永遠の膨張か収縮か)に関する理論に根本的な問いを投げかけています。

【編集部追記:宇宙の未来を考える旅へ】

今回の研究は、私たちがこれまで信じてきた宇宙の常識に新たな疑問を投げかけています。DESIとアタカマ望遠鏡がとらえた膨大なデータは、138億年の宇宙の歴史の中で、ダークエネルギーの性質がもしかしたら少しずつ変化しているかもしれない、という可能性を示唆しています。もし本当にダークエネルギーが変化しているなら、星々や銀河の未来も、これまで考えられてきたシナリオとは異なるものになるかもしれません。

たとえば、宇宙を膨張させる“見えない力”が、今よりも弱まっていくとしたら、やがて重力が優位になり、宇宙の膨張が緩やかになる日が来る可能性も理論上は考えられます。こうした未来像は、まだ仮説の段階ですが、世界中の理論物理学者たちが真剣に議論を始めています。

ただし、科学者たちはとても慎重です。今回の結果は、DESIがこれまでに集めた3年分のデータ(全5年計画の途中)に基づくもので、統計的な有意性は4.2σと高いものの、科学界で「発見」と認められる5σには届いていません。今後さらに多くのデータが集まり、他の観測手法や日本のXRISM衛星による間接的な検証も進めば、より確かな結論に近づくでしょう。

この研究の面白いところは、宇宙の謎に挑むために、地上の最先端技術と国際的な協力が結集している点です。DESIの5,000本の光ファイバーや、チリの高地にある望遠鏡、そして日本のXRISM衛星など、世界中の知恵と技術がつながっています。

読者の皆さんには、今回の発見を「ひとつの答え」ではなく、「新しい問いの始まり」として受け止めていただけたらと思います。もし夜空を見上げる機会があれば、「宇宙の95%を占める謎が、今も私たちの知らない法則で動いているのかもしれない」と想像してみてください。そして、その謎を解くカギは、これからの科学と、皆さん一人ひとりの好奇心や発想力にも託されています。

この宇宙の謎に、あなたならどんな名前をつけますか? 「ダークエネルギー」の正体を、もし一言で表現できるなら? 編集部はこれからも、皆さんと一緒にこの探究の旅を続けていきたいと思っています。ぜひコメント欄で、自由なアイデアや疑問を教えてください。あなたのひらめきが、次の発見のヒントになるかもしれません。

※本記事の内容は2025年4月時点の観測データに基づいています。今後の研究によって、解釈や結論が変わる可能性があることをご理解ください。

【用語解説】

Λ-CDMモデル
宇宙の組成を「ダークエネルギー(Λ)」「冷たいダークマター」「通常物質」で説明する標準理論。現在、観測データとの矛盾が指摘され始めている。

CMB(宇宙マイクロ波背景放射)
ビッグバンの名残であるマイクロ波。宇宙の「赤ちゃん写真」と呼ばれ、温度分布から初期宇宙の構造を解析できる。

【参考リンク】

DESI公式サイト:宇宙の3次元地図を作成し、ダークエネルギーの研究を進める国際プロジェクト。

XRISM衛星(日本):X線分光観測で高温ガスを分析する日本の衛星。2023年打ち上げ。

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野村貴之
理学と哲学が好きです。昔は研究とかしてました。
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