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YouTuberが世界最強ハンドヘルドレーザーを開発 – 法的制限の5万倍出力を実現

YouTuberが世界最強ハンドヘルドレーザーを開発 - 法的制限の5万倍出力を実現 - innovaTopia - (イノベトピア)

Last Updated on 2025-06-14 20:37 by admin

StyroPyroという芸名で知られるYouTuberのドレイク・アンソニーが、世界最強のハンドヘルドレーザー「Laser 2025」を開発したとし、自身のYouTubeにて動画を公開した。米国のレーザーポインターの法的制限は5ミリワットであるが、アンソニーはその5万倍の威力のレーザーポインターを作ろうと考え、実践したのである。

そうして開発されたハンドヘルドレーザーの出力は250ワットで、開発には警察の余剰レーダーガンの筐体を再利用し、eBayなどから調達した複数の高出力青色レーザーダイオードを組み合わせ、CPU用のものを改造した水冷システムを用いたとされている。

彼はこのハンドヘルドレーザーが世界最強である理由として、出力のわずか0.2%でも火災と失明の危険があり、最高レベルのレーザー危険度の閾値を500倍も上回ると説明した。
そして実演では銅線の切断、アルミナ粉末とクロム酸化物からのルビー合成、チタンへの穴開け、さらには融点3422度という超高強度金属のタングステンを溶解し、ダイヤモンドの燃焼を成功させた。

動画は約36分間で、2025年6月4日時点で280万回以上再生されている。

From: 文献リンクA YouTuber just made the world’s most powerful handheld laser

【編集部解説】

今回のStyroPyroによる250ワットハンドヘルドレーザーの開発は、DIYレーザー技術の新たな到達点を示しています。複数の海外メディアが2025年6月初旬に一斉に報じており、その技術的インパクトの大きさを物語っています。

このレーザーの真の革新性は、出力の絶対値よりも「ハンドヘルド」という制約の中で250ワットを実現した点にあります。Anthony氏は警察の余剰マイクロ波レーダーガンの筐体を活用し、映画館プロジェクター用レーザーダイオードとナイフエッジコンバイナーを組み合わせることで、この技術的課題を解決しました。

特に注目すべきは、タングステンの溶解実験です。タングステンは融点3422度という金属中最高の融点を持ち、航空宇宙産業や核融合炉の材料として使用される超高温材料です。これを溶解できるということは、理論上ほぼ全ての金属材料を加工可能であることを意味します。

しかし、この技術には深刻な安全性の課題が存在します。Anthony氏自身が言及している通り、このレーザーの出力のわずか0.2%でも即座の失明と火災の危険があります。米国の法的制限5ミリワットの5万倍という数値は、もはや「レーザーポインター」の範疇を完全に超越しており、産業用切断工具に匹敵する危険性を持っています。

この開発が規制当局に与える影響も無視できません。現在の米国とヨーロッパの規制は、それぞれ5ミリワットと1ミリワットという比較的低出力を想定しており、今回のような極端な高出力DIYレーザーは想定外の存在です。今後、個人レベルでの高出力レーザー製造に対する規制強化が議論される可能性があります。

長期的な視点では、この技術は小規模製造業や研究機関での精密加工技術の民主化につながる可能性を秘めています。従来は大型設備が必要だった金属加工が、より小規模で柔軟な環境で実現できるようになれば、プロトタイピングや少量生産の分野で革新をもたらすかもしれません。

ただし、技術の拡散と安全性のバランスをどう取るかが今後の重要な課題となるでしょう。Anthony氏のような専門知識を持つ化学者による慎重な実験と、一般人による無謀な模倣の間には大きな隔たりがあります。

【用語解説】

レーザーダイオード
半導体を利用してレーザー光を発生させる装置。青色レーザーダイオードは波長450nm前後の青い光を放射し、高出力タイプは産業用切断や映画館プロジェクターに使用される。

ナイフエッジコンバイナー
複数のレーザービームを一つの高出力ビームに合成する光学装置。各レーザーダイオードからの光を精密に配列し、単一の強力なビームとして出力する技術。

PWM(パルス幅変調)
レーザーの出力を制御する電子技術。デューティサイクルと周波数を調整することで、連続出力からパルス出力まで幅広い制御が可能。

タングステン
原子番号74の金属元素。融点3422度と全金属中最高の融点を持ち、電球のフィラメントや航空宇宙産業で使用される超高温材料。

アルミナ(酸化アルミニウム)
化学式Al2O3の化合物。クロム酸化物と混合して高温加熱すると人工ルビーが生成される。工業用研磨材や耐火材料としても使用される。

【参考リンク】

StyroPyro公式YouTubeチャンネル(外部)
ドレイク・アンソニーが運営する化学実験とレーザー技術に特化したYouTubeチャンネル

eBay(外部)
Anthony氏が高出力レーザーダイオードや産業用部品を調達したオンラインマーケットプレイス

【参考動画】

【参考記事】

“World’s strongest handheld laser” – powerful enough to melt titanium(外部)
StyroPyroの250ワットレーザーの技術的詳細と安全性について詳述

Youtuber develops the world’s most powerful hand laser(外部)
ヨーロッパの技術メディアによる客観的報道と法的制限との比較分析

YouTuber Builds 250-Watt Handheld Laser, 50,000 Times Stronger(外部)
20個のニチア型青色ダイオードアレイとナイフエッジコンバイナーの技術仕様を詳細解説

World’s Most Powerful Handheld Laser in 2025(外部)
先進的な水冷システムと現代的集積回路による電力効率向上について工学的観点から詳述

【編集部後記】

今回のStyroPyroの挑戦は、個人の技術力がどこまで産業レベルに迫れるかを示した興味深い事例ですね。皆さんは、こうしたDIY技術の進歩をどう捉えますか?技術の民主化が進む一方で、安全性や規制のバランスも重要な課題となっています。

もし皆さんが同様の技術力を持っていたら、どんな分野で活用してみたいでしょうか?SNSで、技術革新と安全性について、ぜひご意見をお聞かせください。

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TaTsu
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