Last Updated on 2025-05-15 10:43 by admin
2025年5月9日(日本時間)に公開されたRoad to VRの記事によると、AppleはMetaのRay-Banスマートグラスに対抗する専用チップを試作している。Apple Watchで培った低消費電力技術を活用し、複数カメラ制御やオンデバイスAI演算に最適化された軽量設計で、日常利用を想定している。製造はTSMCが担当し、量産は2026年末から2027年にかけて開始される見込みである。併せて、AIサーバー用プロセッサーや次世代Mac用のM6/M7チップ、独自モデムチップも並行開発中である。Appleは本報道に対して公式コメントを控えている。
References:
Apple Reportedly Developing Smart Glasses Chip to Rival Ray-Ban Meta | Road to VR
Apple Is Developing Specialized Chips for Glasses, Macs, AI Servers | Bloomberg
Apple Designing Chips for Smart Glasses That Rival Meta Ray-Bans | MacRumors
Apple smart glasses rumored to arrive as soon as Christmas 2026 | AppleInsider
【編集部解説】
この専用チップ試作報道は、Road to VRが関係者情報として伝えたもので、Apple公式からの発表ではない点に留意が必要です。Apple Watch由来の低消費電力回路をベースに、AR用途で求められる複数カメラの同時計測や画像解析を端末内で実行する設計は、MetaのRay-Banスマートグラスと真っ向から競合する狙いが垣間見えます。
一方で、スマートグラス市場はバッテリー持続時間や装着感、プライバシー保護などの課題を抱えており、軽量化と多機能化の両立が製品成功のカギを握ります。また、AppleがAIサーバー用プロセッサーや次世代Macチップの自社開発を進める背景には、ハードウェアからクラウドまで自前でシリコンを統合する戦略があると考えられます。これによりソフトウェア開発者やパートナー企業を巻き込んだエコシステム構築が加速する可能性があります。
長期的には、スマートグラスがコミュニケーションや作業効率、エンターテインメント体験を一変させるポテンシャルを秘めています。しかし、Appleは過去にも複数ハードの開発延期や中止を経験しており、試作から量産、最終製品化までには依然として不確定要素が多い状況です。今後の情報更新を注視しつつ、拡張現実デバイス市場の動向を見守る必要があります。
【用語解説】
AIサーバー:
人工知能の学習・推論処理を高速かつ効率的に行うサーバー。高性能CPUやGPU、専用AIアクセラレータを搭載し、大量データの並列処理に適している。
モデムチップ:
携帯通信やWi-Fiなどの無線データ伝送を担う半導体。基地局やアクセスポイントとの送受信を制御し、デバイスをネットワークに接続する。
オンデバイスAI:
端末内部で機械学習モデルを実行する方式。通信遅延を低減し、プライバシー保護やオフライン動作を可能にする。
低消費電力技術:
半導体設計や回路制御を工夫して電力消費を抑える技術。バッテリー駆動デバイスの動作時間延長や発熱抑制に寄与する。
複数カメラ制御:
同時に複数のカメラモジュールを動作・同期させる機能。視野拡張や立体視、被写界深度調整など先進的な映像処理を可能にする。
【参考リンク】
Apple(日本)(外部)
iPhoneやMac、Apple Watchなど全製品の情報および購入が可能な公式サイト。
Apple Watch(外部)
健康管理や通知機能、Siriの音声操作などを搭載するウェアラブルデバイスの公式製品ページ。
Mac(日本)(外部)
MacBookやiMacなどのラインナップ、仕様、購入オプションを掲載する公式サイト。
Apple Intelligence(Newsroom)(外部)
AppleのジェネレーティブAI機能「Apple Intelligence」を紹介する公式プレスリリース。
TSMC 会社情報(外部)
世界最大の半導体ファウンドリ―であるTSMCの企業概要や製造プロセスを紹介する公式サイト。