DreamCore Studio|AIと会話しながらゲームを作り込める国産ツール、提供開始

ゲームを「作る」という行為は長いあいだ、専門的な知識と環境を持つ人だけに開かれていました。AIがその入口を広げつつある今、問われているのは「誰でも作れる」の先にある問いです。作り始めることと、作り込むことのあいだにある距離を、国産AIゲームプラットフォームはどう埋めようとしているのでしょうか。


株式会社NEIGHBORは2026年6月22日、同社が運営するAIゲームプラットフォーム「DreamCore」の新機能として、高機能ゲーム制作ツール「DreamCore Studio」の提供を開始した。

DreamCore Studioは、AIとのチャット対話を通じてプログラミング不要でゲームを制作できるツールだ。ユーザーが言葉で指示を出すと変更がリアルタイムでゲームに反映され、変更履歴の保存によりいつでも以前の状態に戻せる。エラーが発生した場合もAIがボタン一つで自動修正する機能を備える。完成したゲームはURLで即時公開・共有が可能だ。

同社はこれまで、テキスト指示だけでゲームを生成できるAIエージェントをプラットフォームの中核に据えてきた。DreamCore Studioはその手軽さを維持しつつ、より深く作り込みたいユーザー向けに設計された上位ツールと位置づけられている。

From: 文献リンクAIと会話しながらゲームを作り込める高機能ツール「DreamCore Studio」を提供開始|株式会社NEIGHBOR

【編集部解説】

「会話する」というのは、じつはゲーム開発の文脈では相当に急進的な選択です。

従来のゲーム開発ツールは、「操作を覚えること」を前提に設計されています。Unityであれ、Unreal Engineであれ、あるいはRPGツクールのようなノーコードツールであれ、ユーザーはまず「この環境の語彙と作法」を習得しなければ、思い通りのものを作り始めることができませんでした。

DreamCoreが一貫して選び続けてきたのは、その順序を逆にすることです。CEOの川本龍(ノトフ)氏は「ゲーム制作は、まだ語彙より手順が勝っているメディア」と表現しています。アイデアを先に言葉で投げ、AIがゲームにして返す。DreamCoreが2025年6月にβ版を一般公開、同年9月にアプリ版を正式リリースして以来、この設計思想は変わっていません。

今回の「DreamCore Studio」は、その延長線上にありながら、一段階上のユーザー層を対象にしています。「一度生成して終わり」ではなく、「納得いくまで何度でも手を加える」という反復的な制作プロセスを、会話の継続によって実現する設計です。リアルタイムプレビュー、変更履歴の保存、AIによる自動エラー修正といった機能群は、単なる利便性の追加というより、「作り込む行為そのものをAI対話に統合する」という設計上の選択として読めます。

この進化の方向性は、プラットフォームの成長戦略としても一定の合理性があります。「誰でも5分でゲームが作れる」という入口の広さは、ユーザー獲得には効果的ですが、それだけでは継続利用とコミュニティの厚みを生みにくい。DreamCore Studioが担おうとしているのは、入口から入ったユーザーを「作り続ける人」に転換させる役割です。RobloxやFortniteのUGCエコシステムが強固なのは、プレイヤーとクリエイターが連続していることが大きな要因のひとつですが、DreamCoreも同様の構造を、AI対話という独自の入口から目指していると見ることができます。

ただし、現時点でDreamCore Studioに関する料金体系や、従来のDreamCoreアプリとの具体的な機能の切り分けはプレスリリースから明確には読み取れません。DreamCoreアプリ上では「Basic(月13Mトークン)」「Pro(月36Mトークン+優先生成)」というサブスクリプション区分が確認できますが、DreamCore Studio固有の条件については同社への確認が必要です。

「会話でゲームを作る」という設計が本当に機能するかどうかは、作れるゲームの幅と深さにかかっています。チャット対話で表現できる指示の粒度には限界があり、凝った物理演算や複雑なステート管理を自然言語で制御しようとすると、AIの解釈と意図のズレが生じやすくなります。エラーの自動修正機能はその摩擦を下げる試みですが、「AIに言えば直る」という体験が成立するかどうかは、実際に使い込んでみなければ分からない部分が残ります。

【用語解説】

UGC(User Generated Content)
ユーザー自身が制作・投稿するコンテンツの総称。ゲーム分野ではRobloxやFortniteのクリエイターモードが代表例。プラットフォームが提供するツールを使って一般ユーザーがゲームやマップを作成・公開する仕組みを指す。

ノーコード
プログラミングコードを書かずにソフトウェアやアプリを制作できる開発手法・ツールの総称。専門的なプログラミング知識がなくてもサービスを構築できることから、非エンジニア層への普及が進んでいる。

リアルタイムプレビュー
制作中の変更内容が即座に画面に反映され、動作確認しながら編集できる機能。DreamCore Studioでは、AIへの指示を出すたびに実際に動くゲームが右側の画面に即時反映される。

【参考リンク】

DreamCore 公式サイト(外部)
株式会社NEIGHBORが運営するAIゲーム生成プラットフォーム。テキスト入力だけでプレイ可能なゲームを生成・公開・共有できる。Web版とiOSアプリ版が提供されている。

株式会社NEIGHBOR 公式サイト(外部)
DreamCoreを運営する東京都の企業。AIゲームプラットフォームの開発・運営のほか、教育・企業向けワークショップやクリエイター支援事業を手がける。代表取締役CEOは川本龍(ノトフ)氏。

【参考記事】

DreamCore、AIチャットでゲーム制作できるアプリを正式リリース|PR TIMES(外部)
株式会社NEIGHBORによるDreamCoreアプリ版正式リリース時のプレスリリース。基本無料・iOS/ブラウザ対応・プレミアム機能別途という料金体系、CEOコメントなど今回のDreamCore Studioの前身となるサービスの詳細を確認できる。

思いつきがゲームになる——AIで切り拓く”ポスト広告時代”の日本発ゲームプラットフォーム|PR TIMES STORY(外部)
CEOの川本龍氏へのインタビュー記事。DreamCoreの創業背景・設計思想・「TikTok for Games」というビジョンを詳述。「語彙より手順が勝っているメディア」という発言の文脈が理解できる一次資料。

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【編集部後記】

ゲーム開発の「民主化」という言葉は、ここ数年で使い古された感があります。注目すべきは、DreamCore Studioがその先の問いを立てていることです。道具が会話を覚えた後、作り手に残るのは何か。インターフェースが消えていくほど、問われるのは語彙でも手順でもなく、アイデアそのものの強度になります。私たちがこのプラットフォームに注目し続けるのは、それが道具の話であると同時に、創造性の条件に関する問いだからです。

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乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。