MACHINA Summit 7月7日パリで開幕|フィジカルAI専門サミットが初開催

AIが「言葉を扱う存在」から「身体を持つ存在」へと踏み出しつつあるいま、その現場を映すイベントが世界各地で立ち上がり始めています。シリコンバレー、東京、ロンドン——ヒューマノイドと自律ロボティクスを軸にした専門サミットは、もはや一過性の展示会ではなく、地域ごとに定着しつつある「場」になりつつあります。2026年7月7日、パリでフィジカルAI専門サミット「MACHINA」が初開催を迎えます。


2026年7月7日、パリのSTATION FでフィジカルAI専門サミット「MACHINA Summit」が初めて開催される。主催はAIサミット「RAISE Summit」を手がけるChain of Eventsで、RAISE Summit本体(7月8〜9日、ルーブル・カルーゼル)に先立つ「RAISE Week」の一部として位置づけられている。

登壇者にはNVIDIAのJim Fan、Google DeepMindロボティクス責任者Carolina Parada、Boston DynamicsのMarc Raibert(RAI Institute代表)とAmanda McMaster(CEO)、1XのBernt Børnich、Agility RoboticsのJonathan Hurst、Hugging FaceのThomas Wolfらが名を連ねる。プログラムは「Humanoid」「Industrial」「Training」「Integration」の4トラックで構成され、ヒューマノイドの運動性能、産業現場への実装、シミュレーションを用いた学習、AIモデルによる自律的な判断までを扱う。会期中はライブでのロボットデモンストレーションも予定されている。

From: 文献リンクMACHINA Summit公式ページ

【編集部解説】

MACHINAとは何か、STATION Fで一日だけの「密度」

MACHINA Summitは、2026年7月7日にパリのSTATION F(欧州最大級のスタートアップキャンパス)で開催される、一日限りのイベントです。主催は、AIサミット「RAISE Summit」を運営するChain of Eventsで、MACHINAはRAISE Summit本体(7月8〜9日、ルーブル・カルーゼル)に先立つ「RAISE Week」の一部として位置づけられています。

プログラムは「Humanoid」「Industrial」「Training」「Integration」という4つのトラックで構成されています。ヒューマノイドの運動性能や器用さといった身体そのものの話から、工場・倉庫への実装、シミュレーションによる学習、AIモデルによる自律的な判断まで、フィジカルAIという言葉が指す範囲をひと通りカバーする設計です。会期は一日だけですが、単発の展示会というより「その分野に閉じた濃度の高い会議」を志向しているのが特徴で、主催者も「One floor, one day」という表現でこれを強調しています。

参加企業は、NVIDIAやGoogle DeepMindといったAI基盤企業、Uberやフランスの車両リース大手Fraikinのようなロボットの「使い手」となる事業会社、CNRS(フランス国立科学研究センター)やIIT(イタリア工科大学)といった研究機関まで幅広く名を連ねていますが、なかでもBoston Dynamics、1X、Agility Robotics、NEURA Robotics、Apptronikといったヒューマノイドメーカーを中心とした顔ぶれになっています。

登壇者に見る、フィジカルAIの輪郭

先述した登壇者の顔ぶれは、フィジカルAIという領域がどこまで広がっているかをそのまま映しています。生成AIの基盤モデルを作ってきた企業(NVIDIA、Google DeepMind、Hugging Face)と、身体を作ってきた企業(Boston Dynamics、1X、Agility Robotics)が、同じ壇上に立つ構図です。この傾向は他の登壇者にも表れており、OpenAIのLaura Modiano(Founder Experience グローバル統括)、ApptronikのJeff Cardenas(共同創業者兼CEO)、NEURA RoboticsのDavid Reger(創業者兼CEO)らも名を連ねています。

この顔ぶれが示しているのは、フィジカルAIが「ロボット企業だけの話」ではなくなっているという事実です。ソフトウェアとしてのAIが、身体という制約の中でどう機能するかという問いに、両側の当事者が同時に取り組み始めている段階と言えます。

なぜ、いま各地でフィジカルAIサミットが立ち上がっているのか

MACHINAが目を引くのは、それが「孤立した新規イベント」ではないという点です。ヒューマノイド・フィジカルAIに特化したカンファレンス「Humanoids Summit」は、シリコンバレーを起点に、ロンドン、そして2026年5月には東京でも開催されており、フィジカルAI専門のサミットは、すでに世界各地で同時多発的に立ち上がり始めています。

背景には資金の実態もあります。ロボティクス業界は2025年に€379億の資金調達を記録し、世界のロボティクス市場は2026年時点で380億ドル規模、前年比34%増という成長率を記録しています。カンファレンスが各地で立ち上がるのは、資本と人材がその分野に急速に集まっているときに起きる、ごく自然な現象とも言えます。

MACHINAは、この流れの欧州における最新の表れです。フィジカルAIの専門イベントは、もはや「シリコンバレーで年に一度」のものではなくなりつつあり、次にどの都市で、どんな顔ぶれが集まるか——それ自体が、フィジカルAIがどこまで実装フェーズに入っているかを測る指標になりつつあります。

【用語解説】

フィジカルAI(Physical AI)
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOらが提唱する概念で、テキストや画像といったデジタル領域にとどまらず、物理法則を理解し、実世界で動作するAIを指す。ヒューマノイドロボット、産業用自律機械、自動運転などがその応用領域にあたる。ソフトウェアとしてのAIが「身体」を持つ段階への移行を意味する言葉として、2025年以降に急速に普及した。

STATION F
パリにある世界最大級のスタートアップキャンパス。旧貨物駅舎を改装した施設で、数千のスタートアップとアクセラレータープログラムが入居する。MACHINA Summitはこの施設内で開催される。

RAISE Week
AIサミット「RAISE Summit」を中心に、同時期にパリで開催される複数のイベント群の総称。MACHINA Summit(フィジカルAI)、CxO Summit(招待制の経営層向けフォーラム)、ハッカソン、スタートアップコンペティションなどで構成される。

【参考リンク】

MACHINA Summit 公式サイト(外部)
欧州初のフィジカルAI専門サミットの公式ページ。登壇者一覧、アジェンダ、チケット情報を掲載。

MACHINA Summit チケットページ(外部)
参加チケットの種別・価格・プレスアクレディテーション申請の窓口。

RAISE Summit 公式サイト(MACHINA紹介ページ)(外部)
MACHINAとRAISE Summit本体の関係、RAISE Weekの全体像を確認できる。

Humanoids Summit 公式サイト(外部)
シリコンバレー・ロンドン・東京で開催されるヒューマノイド専門サミット。開催地・日程を確認できる。

NVIDIA Isaac(フィジカルAI開発者向け情報)(外部)
Isaac GR00TやCosmosなど、ヒューマノイド産業の技術基盤を提供するNVIDIAの開発者向けページ。

Boston Dynamics Blog(外部)
Atlas・Spotなどの技術発表と動画を公開。MACHINA登壇企業の一つ。

【参考記事】

RAISE Summit Returns to Paris on July 8–9, 2026 — Tech.eu(外部)
RAISE Summit本体の規模とMACHINA Summitの初開催について報じる海外記事。

Humanoids and Hardware: What to Expect at Machina Summit 2026 — RAISE Summit公式ブログ(外部)
MACHINAの4トラック構成と登壇予定企業の技術的焦点を解説する主催者ブログ。

Whose Leading The Way In Robotics, Humanoids & Physical AI in 2026 — RAISE Summit公式ブログ(外部)
2025年のロボティクス業界資金調達額や主要企業の動向を分析。資金調達数値の出典。

State of Robotics 2026 Report — Robotics Center of Silicon Valley(外部)
世界のロボティクス市場規模を報告する年次レポート。市場規模数値の出典。

MACHINA Summit 2026: Everything You Need to Know — AI Expert Magazine(外部)
MACHINAの位置づけと想定される参加者層を整理した記事。

【参考記事】

フィジカルAIとエンボディドAI:「動く知能」と「知能が生まれる条件」をつなぐ2026年の転換点(innovaTopia記事)
フィジカルAIという概念そのものを整理した解説記事。生成AIとの違いや代表的企業の動きを、より詳しく知りたい方はこちら。

【編集部後記】

ステージに立つ企業の顔ぶれを見ていると、AIを作ってきた側とロボットを作ってきた側が、同じ場所で同じ問いに向き合い始めていることに気づきます。フィジカルAIという言葉が指すものは、まだ輪郭がはっきりしません。シリコンバレー、東京、そしてパリ——次にどの都市でこの対話が交わされるのか、私も注目していきたいと思います。

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まお
おしゃべり好きなライターです。趣味は知識をためることとゲームをすること(ソシャゲや音楽ゲームが大好きです)。最近はAIの情勢や地政学の問題を勉強中。時折記者として会見や発表に赴いたり、インタビューを行ったりもしています。