PwC Middle Eastの4レポートに偽引用—「Citizen Pulse」4カ国導入の主張に裏付けなし、GPTZeroがBig 4全社で類似問題を報告

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レポートの脚注に貼られたURLの末尾に、「utm_source=chatgpt.com」という文字列が残っていました。ChatGPTがリンクを提示するときに自動で付くパラメータです。世界136カ国で事業を展開するファームの公開資料に、なぜそれが手つかずのまま載ったのか。しかも問題はURLの話で終わりませんでした。


AI検出ツールを提供するGPTZeroは2026年7月28日、PwCのメンバーファームPwC Middle Eastが2024年から2026年に公開した4本のレポートに、幻覚引用と裏付けのない主張が含まれると報告した。2025年公開の「Transforming Governance」は全面的にAI生成である確率84%、巻末資料を除くと100%と判定され、17件の引用のうち2件が偽と確認された。

同レポートはPwCの「Citizen Pulse」をデンマーク、サウジアラビア、アメリカ、オーストラリアの政府が使用していると記載するが、引用元に裏付けはない。4本全体で雰囲気引用と認定されたのは4件である。GPTZeroはDeloitte、EY、KPMGについても同種の調査を公開している。

From: 文献リンクChasing the Hallucinations: PwC report hallucinates product and government customers

【参考動画】

【編集部解説】

今回、AIの痕跡を見つけるのに高度な解析はほとんど必要ありませんでした。手がかりのひとつは、レポートの脚注に貼られたURLの末尾です。そこには「utm_source=chatgpt.com」という文字列が残っていました。OpenAIは、ChatGPTの検索機能から外部サイトへ送る参照URLにこのパラメータを自動付与すると説明しています。これは、ChatGPT検索経由で取得されたURLがレポートへ転記された可能性を示します。

もっとも、この一件の重心は引用の不備そのものではありません。GPTZeroが指摘したのは、「Citizen Pulse」という製品の説明と、それを導入したとされる4カ国政府の事例が、揃って引用先の裏付けを欠いているという点です。存在しない論文を引く事例はすでに数多く報告されていますが、自社の提供物と導入実績が同時に宙に浮いているケースは、質の異なる問題だと言えます。

ここは慎重に書き分ける必要があります。確認できるのは、Borger.dk、Vision 2030、Qualtricsのプレスリリース、myGovという4つの引用先のいずれにもCitizen Pulseの記載がないことです。製品が完全に架空であること、4政府が商業的な顧客であったこと、当該文章をAIが生成したことは、いずれも立証されていません。GPTZero自身も、PwC Australiaが2018年から2023年にかけて同名の調査を実施した痕跡があると留保を置いています。

PwC Middle Eastはこの指摘に対し、公表した研究の正確性を重視しており、指摘されたレポートの一部の補足的な引用を更新中である、と回答しました。責任あるAIへの取り組みに沿って、リサーチとコンテンツ制作には全員が守るべき品質管理プロセスがあるとも説明しています。ただし、なぜその誤りが公開物に混入したのかについては触れていません。Financial Timesは、GPTZeroの調査結果を独自に検証したうえでこの件を報じています。

Big 4に問題が並んだ1年をたどる

編集部が注目したいのは、これが単発の事故ではないという点です。

始点は2025年のDeloitte Australiaでした。オーストラリア雇用・職場関係省に納品された237ページの報告書に、存在しない学術論文の参照や連邦裁判所判決からの捏造された引用が含まれていました。シドニー大学の研究者クリス・ラッジ氏が最大20件の誤りを指摘し、Deloitteは44万豪ドル(当時約29万米ドル)の契約のうち最終支払分を返金。改訂版には、同省のAzure環境上でホストされたAzure OpenAI GPT-4oベースのツールチェーンを使用したという開示が追加されました。ただしDeloitteは、個々の誤りがAIによるものだったかという問いには回答していません。

続いてEY。2026年5月14日、GPTZeroはEY Canadaが2025年後半に公開した44ページのレポート「Points of Attack: Uncovering Cyber Threats and Fraud in Loyalty Systems」を検証しました。ロイヤルティプログラムを狙うサイバー攻撃と不正を扱った内容で、27件の参照のうち16件に、捏造、誤帰属、リンク切れなどの問題があると判定され、本文の72%がAI生成と推定されています。Forbes、Gartner、TechCrunch、WIREDに帰属された参照には、リンク切れ、存在しない文書、内容と一致しない一般的なタグページが含まれていました。

この件で最も示唆的なのは、存在しないMcKinseyのレポートを出典とした箇所です。まったく同じ架空の出典表記が、EYのレポートより6カ月早い時期に公開された英国のフィンテック系メディアFinancial ITのブログ記事にも存在していました。未使用のロイヤルティポイントを扱った記事で、EYレポートの記述と表現がほぼ一致します。GPTZeroはこれを、低品質なブログで生まれた架空の出典がBig 4の刊行物へ「洗浄」された可能性を示すものだと評しています。EY Canadaはレポートをサイトから削除し、公開に至った経緯を確認中だと表明。このレポートは特定の顧客向け業務とは無関係だとも説明されました。

そして2026年6月のKPMG。「Total Experience: Redefining Excellence in the Age of Agentic AI」という2025年10月公開のレポートについて、45件の引用のうち出典を正しく指していたのは5件のみという結果が出ました。残りは、実在資料のタイトルを言い換えたものや架空の要素を含むものが28件、曖昧すぎて検証できないものが12件という分類です。KPMGはレポートを削除し、公開の経緯を確認中と表明しています。

Deloitte、EY、KPMG、そしてPwC。1年でBig 4の全社に同種の問題が表面化しました。GPTZeroはこれを「業界全体のパターン」と評していますが、これは同社の分析であり、業界を代表する統計調査に基づくものではない点は押さえておきたいところです。

皮肉は二重になっている

いま4社は、企業にAI導入の助言を売る側にいます。しかもその助言には「AIをどう責任を持って使うか」「誤りを防ぐ体制をどう作るか」が含まれます。

タイミングも際立っていました。PwC米国CEOのポール・グリッグス氏は、企業がAIで犯す二つの大きな誤解の一つとして「AIを技術変革として扱い、CIOやCTOの管掌に閉じ込めること」を挙げ、そうした組織は機会を逃していると指摘しています。AIは全社的な事業変革として捉えるべきだ、という主張です。同氏は2026年3月にも、AIに抵抗するパートナーには社内に居場所がなくなるという趣旨の発言をしています。

方針としては筋が通っています。ただ、指摘された4本のレポートのうち1本は、まさにエージェント型AIをGCC地域の経営層に提案する内容でした。AIの使い方を説く文書が、AIの不注意な利用を疑わせる見本になってしまった構図です。

最も重い含意は「読まれなくても広がる」こと

ここが今回の調査で最も射程の長い部分だと編集部は考えます。

GPTZeroは、レポート3の虚偽の主張を、Perplexity Sonar 2、ChatGPT 5.5 Thinking、Gemini 3.5 Thinkingの3つのツールがそのまま繰り返す様子を記録しました。誤情報がインターネットを汚染するのに人間の読者は必要ない、インデックスされ、ボットがアクセスでき、キーワード的に隣接していればそれで足りる——という指摘です。

EYの件でGPTZeroが推定したFinancial ITからEYレポートへの経路は、この懸念が抽象論ではないことを示しています。Financial ITに同じ架空の出典表記が先に掲載され、その6カ月後にEYレポートにもほぼ同じ表現で現れました。低品質なブログの架空の出典が、Big 4の刊行物という権威をまとって再流通する。その次の段階では、AIの回答を通じて人間の読者を経由せずに複製され、元の文書とは切り離された「よく知られた事実」として定着していく——という経路が考えられます。GPTZeroが示したのは限られた条件下での再現例であり、これが常に起きると実証されたわけではありません。ただし起こり得ることの証拠としては十分です。

同種の連鎖は法曹界でより可視化されています。HEC Parisの研究員ダミアン・シャルロタン氏が2025年4月に開設した、裁判所が幻覚された資料への依拠を認定または示唆した判断を集めるデータベースは、2026年7月29日時点で1,812件が登録されています。第三者による過去の集計では、2025年半ばの約200件から2026年1月に719件、4月初旬に1,227件、6月9日に1,598件という推移が記録されています。公表された判断のうち運営者が確認できた範囲の数字であり、同氏自身も必然的に過少集計になると説明しています。なおこのデータベースは、AI利用が主張されたが未確認の判断も運営者の判断で一部含みます。同氏はこのデータベースを基に、参照の自動検証ツール「PelAIkan」も開発しました。

検出ツールを検出ツールとして読む

ひとつ留保が必要です。今回の告発者であるGPTZeroは、AI検出とHallucination Checkを販売する事業者であり、記事の末尾には自社ツールへの導線が置かれています。調査の信憑性を損なうものではありませんが、公表の動機に商業的な側面が含まれる点は、押さえておく価値があります。

より実務的な留保は、ツールの性能特性のほうです。GPTZeroは今回のPwC調査記事の中で、Hallucination Checkは偽陰性率が極めて低い一方、オンラインで検証できない引用をすべてフラグする設計上、偽陽性率は相対的に高いと書いています。一方、2026年5月に公表された技術報告では偽陽性率0.5%という数値が示されています。この二つは説明として単純には整合しませんが、評価の対象と指標が異なります。0.5%は、実在が確認済みの学術引用419件のうち「捏造」と誤分類された割合(2件)です。オンラインで照合できなかった引用を含むすべてのフラグについて、総合的な偽陽性率を示した値ではありません。同報告では、捏造引用の検出性能として適合率96.1%、再現率94.2%も示されています(こちらは98件の敵対的データセットでの評価で、419件の評価とは別物です)。いずれもGPTZero自身による評価であり、独立した第三者評価ではありません。

技術報告は、判定が「実在」「軽微な問題を伴う実在」「捏造」「判定不能」「不確か」の5クラス分類であることも明記しています。PwC調査で偽と断定されなかった7件には、オンラインで照合できないものと、既存資料に緩く対応するものが含まれますが、GPTZeroの記事はこの7件について5クラス上の内訳を明示していません。そして同社自身が、スキャンは証拠を提供するものであってoracle(神託)ではなく、フラグが立った引用がAIによる幻覚であることを保証できるわけではないと書いています。「フラグが立った」ことと「捏造である」ことは、やはり同じではありません。

なおGPTZeroは、ICLR、IJCAI、ICSE、COLM、ICRAといった学術会議が査読工程の一部でこのツールを利用していると説明しています。COLMとICSEについては、各会議の公式サイトでもGPTZeroによる技術支援を確認できます。

AI検出スコアについても同じです。「AI生成の確率84%」は、AIが書いたという証明ではなく分類モデルによる確率的な推定値です。GPTZeroの主張の強さは、スコア単体ではなく、引用元を人力で一つずつ突き合わせ、「引用先にその記述がない」という検証可能な事実を積み上げた点にあります。Financial Timesも、主要な引用と主張の不整合を確認しています。

この先に起きること

ここからは編集部の見立てです。3つの変化が考えられます。

第一に、成果物の検証コストが可視化されます。Deloitteの部分返金という前例ができたことで、AI利用が疑われる成果物の誤りが契約上の問題に発展し得ることが示されました。納品物の引用検証を誰が担い、その工数を誰が負担するのか——これまで暗黙だった部分が、契約条項として書き出されていく可能性があります。ただし業界全体で法的性質が一律に変わったと言える段階ではありません。

第二に、AI利用の開示が定着に向かうかもしれません。Deloitteの改訂版が使用モデル名まで開示した対応は、成り行きとはいえ一つの型を作りました。標準化までは未確定です。

第三に、検証の側もまた自動化されます。GPTZeroの手法は、自動検索パイプラインが候補を浮上させ、人間が精査するという構成です。シャルロタン氏が自身のデータベースからPelAIkanを派生させたのも、同じ方向の動きだと言えます。生成の自動化と検証の自動化が、並行して進んでいく。「人間による検証だけに頼る者は波に飲まれる」という記事の一文は、ツールの宣伝文句でもありますが、状況の描写としては的を射ていると編集部は考えます。

【関連記事】

EY、AIハルシネーション混入のサイバーセキュリティ報告書を撤回—27引用中16件が捏造
同じGPTZeroの調査を受け、EY Canadaがレポートを撤回した2026年5月の一件。今回のPwCの件の直接の先行事例である。

世界四大会計事務所Deloitte、GPT-4o使用の政府報告書で偽引用発覚し返金対応
Big 4に問題が並んだ1年の起点。44万豪ドルの契約と、Azure OpenAI GPT-4oの使用開示に至る経緯を詳報している。

ネバダ郡検察のAIハルシネーション問題、被告の自由を脅かす重大事案に
本記事で触れたシャルロタン氏のデータベースが「590件以上」だった2025年11月時点の記録。現在の1,812件と並べると増加の速度が見える。

【編集部後記】

GPTZeroのHallucination Checkは、文書内の引用をカード形式で並べ、書誌情報が実在の資料に対応するかを一件ずつ表示します。ローカルのデータベース、外部の引用API、インターネット検索を組み合わせた5段階のパイプラインで、判定は「実在」「軽微な問題を伴う実在」「捏造」「判定不能」「不確か」の5クラスに分かれます。

実在が確認済みの学術引用419件での偽陽性率は0.5%と報告されていますが、同社自身がスキャンは証拠であって神託ではないとも書いています。今回PwC Middle Eastは「一部の補足的な引用を更新中」と回答しました。更新後の版は、Citizen Pulseを4カ国政府が使っているという記述そのものを残すのか、それとも引用だけを差し替えるのか。

【用語解説】

幻覚(ハルシネーション)
生成AIが、事実でない情報を事実であるかのように出力する現象。存在しない論文、架空の判例、実在しない統計などを、もっともらしい形式で生成する。モデルが次に来るトークンを確率的に選ぶ仕組みを基礎とするため、出力の真偽を保証する機構が組み込まれているわけではない。

雰囲気引用(vibe citation)
GPTZeroによる造語で、生成AIの使用に起因すると考えられる引用を指す。実在する複数の出典からタイトルや著者名を混ぜ合わせる、収録誌や会議名を捏造する、イニシャルからフルネームを推測して補うといった、人間の書き手には稀なパターンを特徴とする。「vibe coding(雰囲気コーディング)」からの派生語で、学術的に確立した用語ではない。

AIスロップ(AI slop)
生成AIが大量に吐き出す低品質なコンテンツを指す俗語。統一された定義はなく、専門用語と冗長な修辞に埋め尽くされながら具体性を欠いた文章は、その一類型である。

ソートリーダーシップ(thought leadership)
コンサルティングファームなどが、業界の先行者としての立場を示すために公開するレポートや論考。無償で提供される。今回問題となった4本については、Financial Timesが中東でのコンサル案件獲得に向けた文書と位置づけている。

utm_source
ウェブサイトへの流入経路を計測するためにURL末尾へ付与されるパラメータ。OpenAIは、ChatGPTの検索機能から外部サイトへ送る参照URLにこのパラメータを自動付与すると説明している。今回はこれが公開レポートの脚注URLにそのまま残っていた。

エージェント型AI(Agentic AI)
指示に応答するだけでなく、目標を与えられると自ら手順を立てて複数の作業を実行するAIの形態。自律性の程度や人間の承認が必要な範囲は製品ごとに異なる。今回指摘された4本のうち1本は、この技術をGCC地域の経営層に提案する内容だった。

Big 4
Deloitte、PwC、EY、KPMGの4大会計事務所・コンサルティングファームの総称。今回のPwC Middle Eastの件で、1年のうちに4社すべてに同種の問題が表面化したことになる。

偽陽性・偽陰性
検査において、実際には該当しないものを該当と判定するのが偽陽性、該当するものを見逃すのが偽陰性。GPTZeroは2026年5月の技術報告で、実在が確認済みの学術引用419件に対する偽陽性率を0.5%、別途98件の評価セットにおける捏造引用の検出適合率を96.1%、再現率を94.2%と報告している。いずれも同社自身による評価である。

GCC(湾岸協力会議)
サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、カタール、バーレーン、オマーンの6カ国による地域協力機構。今回指摘された4本のうち2本が、この地域のEV・モビリティ関連を扱っている。

Vision 2030
サウジアラビアが2016年に打ち出した国家改革計画。石油依存からの脱却を掲げ、行政サービスのデジタル化も含む。レポート内で「Citizen Pulseの導入例」の出典として引用されたが、当該ページに該当する記述はなかった。

Azure OpenAI
MicrosoftのクラウドサービスAzure上でOpenAIのモデルを利用できる法人向けサービス。Deloitte Australiaは改訂版報告書で、GPT-4oを基盤とするツールチェーンを執筆に使用したことを開示した。現在はMicrosoft Foundryブランドへの再編が進んでいる。

ABA Formal Opinion 512
米国法曹協会が2024年7月に公表した、生成AI利用に関する初の倫理指針。AIを使っても能力、依頼者情報の保護、コミュニケーション、合理的な費用といった既存の義務は適用され、成果物の検証責任は弁護士本人に残ると示している。

【参考リンク】

GPTZero(外部)
AI生成テキストの検出ツールを提供する米国企業の公式サイト。今回の調査の発表元である。

GPTZero Hallucination Check(外部)
今回の調査で使用された引用検証ツール。引用の書誌情報が実在資料に対応するかを自動照合する。

GPTZero Investigations(外部)
GPTZeroの調査記事一覧。Deloitte、KPMG、政府報告書、学術論文に関する過去の調査が並ぶ。

Investigation: Hallucinations in Ernst & Young Report on Loyalty Fraud(外部)
EY Canadaのレポートを検証した調査記事。架空の出典が先行ブログに存在した経緯を追跡している。

How does GPTZero’s Hallucination Check detector work(外部)
5段階の検証パイプライン、5クラス分類の定義、偽陽性率0.5%という評価結果を記した技術報告。

PwC Middle East(外部)
今回のレポートを公開したPwCの中東メンバーファーム。域内12カ国に拠点を持ち、従業員は約1万2000人。

PwC Global(外部)
PwCネットワークの公式サイト。136カ国で事業を展開し、従業員は約36万4000人である。

PwC Responsible AI(外部)
PwCの責任あるAI導入支援サービス。今回の声明で言及された取り組みに対応する事業領域である。

Deloitte(外部)
2025年にオーストラリア政府向け報告書の引用の誤りを指摘され、契約の一部を返金したBig 4の一社。

豪雇用・職場関係省 Targeted Compliance Framework 関連公表(外部)
Deloitteの改訂報告書と関連書簡を公開。GPT-4oベースのツールチェーン利用の開示が確認できる一次資料。

EY(外部)
2026年5月、ロイヤルティプログラムのサイバーリスクに関するレポートを幻覚引用の指摘を受け撤回した。

KPMG(外部)
2026年6月、エージェント型AIに関するレポートの45件の引用のうち5件のみが正しかったと指摘された。

AI Hallucination Cases Database(外部)
裁判所が幻覚された資料への依拠を認定または示唆した判断を中心に収録するデータベース。頻繁に更新される。

Saudi Vision 2030(外部)
サウジアラビア政府の国家改革計画。レポート内でCitizen Pulseの導入例の出典として引用された。

Borger.dk(外部)
デンマークの公式公共サービスポータル。導入例の出典として引用されたが、該当する記述は存在しない。

myGov(外部)
オーストラリア連邦政府の行政サービスポータル。オーストラリアの事例の出典として引用された。

IEA Global EV Data Explorer(外部)
国際エネルギー機関のEVデータ検索ツール。車両販売と充電設備を別系列で扱い、混同の照合先となった。

湾岸協力会議(GCC)事務局(外部)
GCCの公式サイト。加盟6カ国の構成と組織の概要を確認できる。

【参考記事】

PwC published ‘thought leadership’ reports marred by AI hallucinations(外部)
Financial Timesが独自検証したうえで報じた記事。PwC Middle Eastの公式回答を全文掲載している。指摘された4本の内訳が、エージェント型AI活用の指南書、行政サービス改善のガイド、域内のEVおよび自動運転車の市場予測であることを明記。リヤドの大気質に関する論文が引用先に痕跡を持たないことにも言及し、誤りが混入した経緯についてPwCが説明していない点を指摘した。

How does GPTZero’s Hallucination Check detector work: A technical report(外部)
2026年5月12日公開の技術報告。実在が確認済みの学術引用419件のうち、捏造と誤分類されたのは2件で偽陽性率0.5%。別途98件の敵対的データセットにおける捏造検出は適合率96.1%、再現率94.2%。5クラス分類の定義と、スキャンは証拠を提供するものであって神託ではないという留保も明記されている。

Investigation: Hallucinations in Ernst & Young Report on Loyalty Fraud(外部)
EY Canadaの44ページのレポートを検証した調査記事。存在しないMcKinseyレポートという同一の出典表記が、EYレポートより6カ月早いFinancial ITの記事にも存在したことを追跡し、GPTZeroがブログからBig 4刊行物へ持ち込まれた可能性を指摘している。参照のURLがほぼすべてリンク切れか架空であり、タイトルの半数以上が実在する出典に対応しないとも報告する。

AI Hallucination Cases Database(外部)
ダミアン・シャルロタン氏が運営する一次情報。2025年4月の開設以降、裁判所が幻覚された資料への依拠を認定または示唆した判断を収録し、2026年7月29日時点で1,812件が登録されている。運営者の判断でAI利用が未確認の判断も一部含む方針、およびこのデータベースを基に自動参照検証ツールPelAIkanを開発したことが記されている。

AI Hallucination Cases: The 1,598-Case Sanctions Tracker(外部)
法曹データベースの過去件数を時点ごとに記録した第三者集計。2025年半ばの約200件、2026年1月の719件、4月初旬の1,227件、6月9日の1,598件という推移と、5月22日から6月9日にかけて18日間で140件増(1日あたり8件弱)というペースを示す。現行の公式ページからは再現できない過去時点の数値の出典。

Deloitte to partially refund Australian government for report with apparent AI-generated errors(外部)
AP通信による報道。237ページの報告書、44万豪ドル(当時約29万米ドル)の契約、シドニー大学のクリス・ラッジ氏が指摘した最大20件の誤り、最終支払分の返金合意、改訂版でのAzure OpenAI使用の開示という一連の数値と経緯の出典。Deloitteが個々の誤りをAIによるものか回答しなかったことも記録している。

Chasing the Hallucinations: KPMG’s AI-Powered Attempt at “Redefining Excellence”(外部)
2025年10月公開のKPMGレポートを検証した調査記事。45件の引用のうち5件が正確、28件が実在資料の言い換えタイトルまたは架空要素を含み、12件は曖昧すぎて検証できないという分類を示している。「残り40件すべてが完全な架空」ではないという内訳が確認できる。

The 2 biggest mistakes companies are making with AI, according to PwC’s US CEO(外部)
PwC米国CEOポール・グリッグス氏へのインタビュー記事。企業がAIで犯す二つの大きな誤解を挙げ、その一つとしてAIを技術変革として扱いCIOやCTOの管掌に閉じ込めることを指摘。全社的な事業変革として捉えるべきだと述べている。今回の指摘とほぼ同時期に公開された。

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山本 達也
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。