Instagram、AI生成プロフィールにラベル|未設定は推薦対象外

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Googleで優先するソースとして追加するボタン

Instagramが、AI生成の人物を掲載するプロフィールにラベルを求め始めました。発表文には「リーチが制限される可能性」とあります。ところが、クリエイターに届く通告画面には「このラベルがなければ非フォロワーに表示できません」と書かれています。開示が、推薦の条件になりました。


Metaは2026年8月31日(現地時間)、Instagramの「AIクリエイター」ラベルを「AI生成プロフィール」に改称すると発表した。新ラベルの対象は、プロフィールにAI生成の人物が登場するアカウントで、制作過程でAIツールを使っているだけのクリエイターは対象外となる。ラベルを設定していないとMetaが検知したプロフィールには通知が届き、おすすめ表示の対象から外れる。

対象外になると、投稿はリールや発見タブでフォロワー以外に推薦されなくなる。復帰の手段は、ラベルを設定するか異議を申し立てるかの2つで、申し立ての回答は多くの場合7日以内に届く。自主的にラベルを設定したクリエイターのリーチに変化はない。旧ラベルの利用者には新名称が表示され、実在の人物を掲載している場合は削除できる。

From: 文献リンクInstagramのAI生成プロフィールの透明性を高める

【編集部解説】

名前ではなく、対象が変わった

5月に試験が始まった「AIクリエイター」ラベルは、AI制作ツールを日常的に使うアカウントに向けたものでした。今回の「AI生成プロフィール」が向いているのは、プロフィールに登場する人物そのものがAIで作られているアカウントです。

判定の軸が「何を使って作ったか」から「登場する人物が実在するか」へ移りました。すでにラベルを設定していたクリエイターに再確認を促し、実在の人物を掲載しているなら外すよう案内しているのは、ラベルの意味が足元で入れ替わったからです。改称というより、置き換えに近い。

この線引きは、AI活用そのものを咎めない設計でもあります。写真の補正やキャプションの推敲、背景の生成といった、AIを制作工程で使うだけのクリエイターは対象外です。そして、欺く意図があったかどうかは要件になっていません。問われているのは制作手段でも動機でもなく、プロフィールに登場する人物が実在する人間かどうか、その一点です。

ラベルが、推薦の条件になった

5月にYouTubeが生成AI動画の自動判定を導入したとき、公式はAIの開示そのものによって視聴者への配信範囲や収益化資格が変わることはないと説明していました。視聴者に判断材料を渡すだけで、扱いそのものは変えない。透明性の施策としては、これが標準的な形でした。

今回のInstagramは、開示を推薦の条件そのものに組み込みました。ラベルがないと、リールや発見タブ、フィードなどで非フォロワーへの推薦対象から外れます。フォロワー向けの通常配信は続きますが、新しい利用者に見つけてもらう経路は大きく細ります。クリエイターの成長には強い逆風です。

8月にオーストラリアの公式チャートがAI生成楽曲を対象から外したとき、各国の制度は「表示するか、外すか」で割れていると書きました。Instagramが示したのは第三の道です。表示すれば残す、しなければ推薦しない。開示を条件に流通を認める、という受け入れ方です。

発表文より、通告画面のほうが強い

ここは運用する人に直接関わるので、正確に書きます。

公式ブログの本文は、ラベルを付けない場合にリーチが制限される可能性がある、という書き方をしています。一方、同じ発表に掲載された通告画面の例では、こう案内されています。このようなプロフィールにはAI生成プロフィールラベルの追加を求めます。このラベルがなければ、あなたのプロフィールとコンテンツは非フォロワーに表示できません。

可能性ではなく、要件と結果として書かれています。発表文の温度を基準に判断すると、実装の温度を読み違えます。AI生成の人物を使って運用しているアカウントは、後者を前提に設計したほうが安全です。

面白いのは、同じ発表の通知画面の例に「プロフィールにAIラベルを追加すると、非フォロワーへのリーチを改善できます」と書かれていることです。同じ事実を、罰ではなく機会として見せている。ラベル追加のボタンが目立つ位置に置かれ、異議申し立てが下部の小さなリンクになっているのも、同じ設計思想でしょう。

復帰の目安は7日

推薦の対象外になった場合、戻る道は2つです。ラベルを設定するか、異議を申し立てるか。

Metaは自社のシステムが常に完全であるとは限らないと認めたうえで、申し立ての窓口を用意しました。発表に掲載された審査申請画面の例では、多くの場合7日以内に回答が届くと案内されています。誤って制限されたとき、この日数がそのまま案件や売上の遅れに変わります。目安が示されているのは、運用する側にとってはありがたい情報です。

一方で、何をもって「AI生成の人物」と判定するのかは公表されていません。検知の基準を詳しく明かしていない例は、Instagramに限りません。基準の開示と検出精度の両立は、これから作法が固まっていく領域でしょう。申し立ての導線が最初から用意されているのは、その未成熟を織り込んだ設計とも読めます。

日本の制度は、まだここに届いていない

日本語版のラベル名は「AI生成プロフィール」です。プロフィールの編集画面から切り替えます。

日本にも、AI生成物の表示を求める法律はできました。2026年7月13日に成立した改正公職選挙法です。選挙運動用・落選運動用の文書図画に、実際の撮影と誤認されるおそれのあるAI生成・改変の画像や映像を載せる場合、その旨の表示を義務づけます。施行は2027年3月1日で、新たな罰則は設けられていません。

ただし対象は選挙の場面に限られます。8月にこの場で、生成AIで作られた架空の女性が2年2か月にわたって政治活動を発信していた事案を扱ったとき、改正法がこの発信にまっすぐには届かないと書きました。用途も、対象物も、時期も、条文の想定の外にあったからです。選挙以外の場面で、AI生成の人物が人間として振る舞うことを正面から扱う法律は、日本にはまだありません。

Instagramが今回ラベルを置いたのは、ちょうどその空白にあたる場所です。法ではなく規約が先に来た、ということになります。

もう一点。AI生成の人物を立てたアカウントが企業案件を受ける場合は、景品表示法のステルスマーケティング規制も関わります。ただしこちらで規制を受けるのは、商品やサービスを供給する事業者、つまり広告主です。依頼を受けたクリエイターの側は、規制の対象になりません。AIかどうかも適用の条件ではありません。企業が表示内容の決定に関与していれば、登場するのがAI人物でも実在の人物でも、広告だと分かる表示が必要になる。Instagramのラベルとは、名宛人も判断基準も別の軸だと考えてください。

「実在するか」が、アカウントの属性になった

EUのAI法は、第50条の透明性義務が2026年8月2日に適用開始となりました。対話型AIでは最初の対話時に、ディープフェイクでは遅くとも最初の露出時までに、明確な方法で知らせることを求める設計です。Instagramの発表は、その29日後。公式は規制に一切言及しておらず、あくまで利用者の要望に応えた変更だと説明しています。因果は確認できません。ただ、接触の前にプロフィール単位で開示を置くという形には、方向性の近さがあります。なお欧州委員会のガイドラインは、似せる対象を実在するものに限らず、現実に存在しうるものまで含めて解釈しています。写実的な架空人物も、EUではディープフェイクになり得ます。

今回Instagramがしたことを、機能の数で見れば小さい。ラベルの名前が変わり、推薦の条件が1つ増えただけです。

けれども構造で見ると、プラットフォームが「プロフィールに登場する人物がAI生成か」という値を保持し、その値が違うと判断すれば推薦を絞り、違うと思うなら申し立てられるようにしました。値と、執行と、異議申し立て。アイデンティティの属性が備える3点セットです。

気をつけたいのは、このラベルが示すのは登場する人物がAI生成かどうかであって、アカウントを動かしているのが人間かどうかではない点です。AI人物のアカウントも、多くは人間が運営しています。8月の記事の言い方を借りれば、コンテンツの作り方は示せても、語り手が実在するかまでは示せない。今回動いたのは、その中間にある一段です。

それでも、フォロワー数や認証バッジと並ぶ位置に「ここに映っている人は実在しない」という一項目が置かれた意味は、小さくないと思います。発表に掲載された画面例では、認証バッジとAI生成プロフィールのラベルが同じプロフィールに並んでいました。本人であることの証明と、人物が実在するかどうかの開示。この2つは、これから別々に扱われていくのでしょう。

【関連記事】

【解説】改正公職選挙法のAI表示義務、架空女性アカウントに届かない理由
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ラベルを付けても推薦や収益化には影響しないという設計思想を詳述した記事。本記事の「推薦の条件になった」という対比の起点にあたる

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表示するか、外すかという各国制度の分岐を論じた記事。今回のInstagramは、その中間に第三の道を示した。開示を条件に流通を認める形である

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同じAI生成の人物を対象にした開示要求を、EC側から扱った記事。誰に申告させる設計にするのかという論点が、本記事と共通している

【編集部後記】

アクティビティ欄に届く通知には、こう書かれていました。プロフィールにAIラベルを追加すると、非フォロワーへのリーチを改善できます。制限の話が、改善の話として届きます。

どちらも同じ事実です。ラベルを付ければ推薦され、付けなければ推薦されない。それを罰として書くか、機会として書くかで、受け取る側の動きは変わります。開示を広げたいなら、後者のほうが効くのでしょう。同じ通知を受け取ったとき、あなたはどちらの文面なら設定を開きますか。


【用語解説】

AI生成プロフィール(AI-generated profile)
Instagramのアカウント単位のラベル。プロフィールに登場する人物がAIで生成されたものであり、実在の人間ではないことを示す。2026年8月31日に「AIクリエイター」ラベルから改称された。制作工程でAIツールを使うだけのクリエイターは対象にならない。

AIクリエイター(AI creator)
2026年5月にInstagramが試験導入したアカウント単位のラベル。AI制作ツールを日常的に使うクリエイター向けだった。今回の改称で、対象が「AI生成の人物を掲載するプロフィール」へ絞られている。

推薦(おすすめ表示)
フォローしていない利用者に対して、プラットフォームがコンテンツを提示する仕組み。Instagramではリール、発見タブ、フィード内のおすすめなどが該当する。ここから外れても、フォロワーへの通常配信は続く。

発見タブ
Instagramの検索画面に表示される、フォローしていないアカウントの投稿が並ぶ面。英語版の名称はExplore。

文書図画(ぶんしょとが)
公職選挙法上の概念。ポスターやビラといった紙のものだけでなく、画面に表示された情報も含む。一般語の「文書」より広く、SNSへの投稿もこの範囲に入る。

落選運動
特定の候補者を当選させないことを目的とする活動。選挙運動とは別の概念として扱われ、規制のかかる期間も異なる。

ディープフェイク
EU AI法第3条60項の定義では、実在する人物・物・場所・実体・出来事に似せてAIが生成または改変した画像・音声・映像であって、本物であるかのように誤認させるものをいう。欧州委員会のガイドラインは「実在する」を、現実に存在しうるものまで含めて解釈している。

ステルスマーケティング規制
景品表示法にもとづく規制。2023年10月1日施行。事業者が表示内容の決定に関与しているにもかかわらず、広告であることを一般消費者が判別しにくい表示を不当表示として禁じる。規制の対象は商品・サービスを供給する事業者(広告主)であり、依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は対象にならない。

【参考リンク】

欧州委員会|AI法第50条の透明性義務 FAQ(外部)
第50条の適用日、提供者と導入者の区別、ディープフェイクの定義までを整理した欧州委員会の公式FAQ。私的利用の除外にも触れている

欧州委員会|AI透明性義務のガイドライン(外部)
2026年7月20日採択のガイドライン。対話型AIと深層合成それぞれについて、いつまでに何を知らせるべきかを条項ごとに示している

衆議院|公職選挙法及び情プラ法の一部を改正する法律案 本文(外部)
AI生成物の表示義務、選挙に関する責務規定、2027年3月1日という施行期日を収録した改正法の条文そのもの。対象範囲を条文で確認できる

自由民主党|AI生成コンテンツの表示義務化へ(外部)
提出会派の側による改正内容の説明。罰則を設けず、違法行為を明確化することで事業者の削除判断を支えるという設計思想が明記されている

消費者庁|ステルスマーケティングの規制(外部)
景品表示法にもとづくステルスマーケティング規制の概要。事業者の表示に当たる範囲、判断の基準、そして名宛人が誰かをここで確認できる

YouTube ヘルプ|変更または合成されたコンテンツの開示(外部)
開示ラベルと視聴者への配信範囲・収益化資格の関係を説明したYouTubeの公式ヘルプ。未開示が続いた場合の扱いもここに書かれている

【参考記事】

Instagram puts new limits on undisclosed AI profiles(外部)
公式ブログの文言を直接引用しつつ、Wiredが確認したAIインフルエンサー網と、NYTが報じたAI生成医師の事例を背景として並べている

Instagram adds AI Creator labels(外部)
2026年5月4日の記事。旧ラベルがAI制作ツールを使うクリエイター向けだったことを、投稿単位のラベルとの優先関係とともに記録している

Instagram、「AIクリエイター」ラベルを「AI生成プロフィール」に改称 未設定なら表示を制限(外部)
国内で最も早い報道のひとつ。執筆時点で日本語名称が未告知だったと記録しており、日本語版がいつ公開されたかを考える手がかりになる

選挙偽情報対策で法改正、企業SNS運用に投稿・拡散の新リスク(外部)
2026年7月13日成立の改正公職選挙法と改正情プラ法について、頒布者への直接規制と事業者への措置義務という二層構造を実務の観点から解説

「AI作成」表示義務化 選挙運動動画、与野党が法案骨子(外部)
法案骨子の段階の報道。明らかにAI生成と判別できる画像や動画は表示義務の対象外とする整理が、当初から示されていたことがわかる

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山本 達也 代表社員
合同会社デジタルの窓口 代表。ウェブ解析士。生成AI・サイバーセキュリティ・ 宇宙開発領域を中心に執筆。

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