任天堂はゲームボーイアドバンス作品をSwitch向けに再提供する一方、当時の横型本体を現代化した専用機は発売していません。その空白に登場したKONKR Pocket Advanceは、過去のソフトではなく「携帯機の手触り」を復活させる製品です。
AYANEOのサブブランドKONKRは、Nintendoのゲームボーイアドバンスを現代的に再解釈した携帯ゲーム機「KONKR Pocket Advance」を公開した。横型の本体デザインを踏襲しつつ、3.5インチ・3:2・960×640のLCD、USB Type-C、無線通信、L2/R2を含む操作系を採用する。
カラーはネイビーブルーとコーラルオレンジの2色。価格と具体的な発売日は公式には発表されていない。Digital Trendsは、2026年内の発売と、AYANEOの一部従来製品より広い販売展開が予定されていると報じている。
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Ayaneo’s new handheld revives the Game Boy Advance — Nintendo probably wishes it had done it first
【編集部解説】
KONKR Pocket Advanceを見ると、「なぜ任天堂自身が現代版ゲームボーイアドバンスを作らなかったのか」という疑問が浮かびます。ただし、任天堂がレトロゲームの再提供そのものに消極的だったと評価するのは正確ではありません。
任天堂は、ファミリーコンピュータとスーパーファミコンを小型化した「ニンテンドークラシックミニ」を発売し、2020年には携帯型の「ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズ」も投入しました。現在もNintendo Switch Onlineの「Nintendo Classics」を通じて、ゲームボーイアドバンスを含む過去の作品をNintendo Switch 2/Nintendo Switch向けに提供しています。
一方、クラシックミニシリーズはすでに生産を終了し、スーパーマリオ版のゲーム&ウオッチも期間限定商品として生産を終えました。製品展開を見る限り、任天堂は過去のゲームを継続的に届ける場所を、復刻専用機ではなく現行ハードと有料サービスへ集約しています。レトロゲームに消極的なのではなく、旧ハードの形を復活させて売り続けることには積極的ではない、と捉える方が実態に近いでしょう。
Nintendo Classicsの価値は、過去の作品を現在のNintendo Switch上で遊べることにあります。どこでもセーブ、巻き戻し、オンラインプレイといった機能も加えられ、昔のゲームを現行機のサービスとして利用しやすくする設計です。
これに対してKONKR Pocket Advanceが商品化しようとしているのは、ゲームボーイアドバンスで遊んだときの身体感覚です。横長の本体、3:2の画面、導電性ラバーを使った十字キーとABXYボタン、左右に広がる操作系は、作品の内容ではなく、手の中にあった携帯機の記憶へ働きかけます。
3.5インチ、960×640の画面も単なる高解像度化ではありません。ゲーム映像を縦横4倍で整数倍表示しやすくすることで、ドット絵を現代のワイド画面へ無理に引き伸ばさずに済みます。KONKRが再現しようとしているのはゲームボーイアドバンスそのものではなく、「あの大きさの画面を、あの姿勢で遊ぶ」という体験です。
任天堂の現行戦略から外れた製品だからこそ、KONKR Pocket Advanceには存在意義があります。Nintendo Switchより小さく、ゲームボーイアドバンスに近い比率と操作感を持つ専用機は、過去の携帯機を知る利用者にとって分かりやすい選択肢です。
しかし、第三者製品である以上、任天堂のゲーム資産を自由に収録できるわけではありません。現時点では、ゲームが最初から収録されるのか、どのプラットフォームに対応するのか、利用者がゲームデータをどのように用意するのかが発表されていません。外観がゲームボーイアドバンスに近くても、箱を開けてすぐ任天堂作品を遊べる公式復刻機ではない点は、購入前に理解しておく必要があります。
もちろん、未発表のSoC、メモリ、バッテリー容量、価格は重要です。ただし、この種のレトロ携帯機では、最高性能よりも導入の分かりやすさが満足度を左右します。ゲームの管理や本体設定に慣れた利用者にとっては、画面比率や操作感を優先した魅力的な端末になり得ます。
一方、公式のゲームボーイアドバンス作品を手間なく遊びたい人には、Nintendo Switch Online + 追加パックの方が明確です。KONKR Pocket Advanceが埋めるのは、ゲームを配信するサービスの不足ではありません。任天堂が現在の商品戦略では埋めていない、「ゲームボーイアドバンスのような専用携帯機をもう一度持ちたい」という需要です。
この製品が成功するかは、懐かしい外観を再現できるかだけでは決まりません。過去の手触りを、現代の利用者が迷わず使える製品へ仕上げられるかが最大の焦点になります。
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【編集部後記】
レトロゲームの遊び方を、専用ハードとして再提案する試みは面白いと感じました。
画面比率や操作感まで意識している点にも、メーカーのこだわりが見えます。
ただ、手軽さを重視するなら、Nintendo Switch 2上で提供されるレトロゲーム環境でも十分かもしれません。
新たに専用端末を購入するほどの違いがあるかは、価格や対応タイトル次第です。
懐かしい外観そのものに価値を感じる人には、魅力的な選択肢になりそうです。
私自身は、まずNintendo Switch 2で遊べる範囲を確認してから判断したいと思いました。
【用語解説】
アスペクト比
ディスプレイの横幅と縦幅の比率。KONKR Pocket Advanceは3:2を採用し、ゲームボーイアドバンスに近い横長の画面構成。
整数倍表示
元映像の1ピクセルを、縦横同じ整数倍の画素で表示する方式。輪郭のぼやけや不均等な拡大を抑え、ドット絵を明瞭に表示するための技術。
SoC(System-on-Chip)
CPUやGPU、メモリ制御機能などを1つの半導体チップに集積した部品。携帯ゲーム機では処理性能、消費電力、対応できるゲームの範囲を左右する主要部品。
PD急速充電
USB Power Delivery規格を利用した充電方式。USB Type-C端子を通じて、接続機器に応じた電力を供給する仕組み。
AYASpace
AYANEOが提供するゲーム管理・クイック設定用ソフトウェア。Pocket AdvanceではAYAHome、AYASettingと組み合わせて利用される。
AYAHome
AYANEOがAndroid携帯ゲーム機向けに開発したホーム画面用ランチャー。アプリ一覧、検索、タッチ操作とコントローラー操作への対応などを備えるソフトウェア。
エミュレーター
特定のゲーム機やコンピューターの動作環境を、別のハードウェア上で再現するソフトウェア。利用するゲームデータの入手方法や権利関係については、利用者自身による確認が必要。
【参考リンク】
AYANEO公式サイト(外部)
WindowsおよびAndroid搭載の携帯ゲーム機、関連ソフトウェア、サポート情報などを掲載するAYANEOの公式サイト。
AYANEO製品一覧(外部)
AYANEOおよびKONKRブランドが展開する携帯ゲーム機、ミニPC、周辺機器などを確認できる公式製品ページ。
ゲームボーイアドバンス公式ページ|任天堂(外部)
2001年に発売されたゲームボーイアドバンスの画面、操作ボタン、通信機能、対応ソフトなどを掲載する任天堂の公式ページ。
【参考記事】
KONKR Pocket Advance Product Showcase: The Retro Icon Awakens…|AYANEO(外部)
本体デザイン、3.5インチ・3:2ディスプレイ、960×640解像度、重量、接続端子、通信機能などを公開した公式製品紹介。
AYASpace|AYANEO(外部)
携帯ゲーム機をコントローラーで操作し、ゲームや本体設定を管理するAYASpaceの機能を紹介する公式ページ。
ゲームボーイアドバンス|任天堂(外部)
ゲームボーイアドバンスの2.9インチ液晶、L・Rボタン、対応カートリッジ、通信プレイなどを確認できる公式資料。
Nintendo Classics|任天堂(外部)
ゲームボーイアドバンスを含む過去のタイトルを、Nintendo Switch 2/Nintendo Switchで提供する公式サービスの機能と利用条件を掲載。
ニンテンドークラシックミニシリーズ|任天堂(外部)
ファミリーコンピュータとスーパーファミコンを小型化した復刻型ゲーム機シリーズ。公式ページでは両製品が生産終了と案内されている。
ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズ|任天堂(外部)
2020年に発売された携帯型の記念商品。スーパーマリオ35周年キャンペーンの終了に伴い、2021年3月31日で生産を終了。

















