Last Updated on 2025-02-08 16:44 by admin
トランプ政権下の米運輸省は、2025年2月6日、バイデン政権が推進していた全国電気自動車インフラ(NEVI)整備計画の新規資金提供を停止した。
計画の概要と現状
停止された予算規模は総額50億ドル(約7,400億円)に及び、全米の主要道路沿いに50マイル(約80km)ごとにEV充電ステーションを設置する計画だった。現在までに37の州・地域に5億ドル以上が配分され、14の州で少なくとも1つの充電ステーションが稼働している。
停止の経緯と今後
Emily Biondi連邦高速道路管理局准管理官は2月6日に各州運輸局へ通達を発し、翌7日には全州に対して新規プロジェクトの承認停止を指示。春までに新ガイドライン案を発表し、パブリックコメント募集後に最終版を公開する予定だ。
from:Trump’s Dept of Transport hits brakes on Biden’s EV charger build-out
【編集部解説】
政策的背景と影響
トランプ政権によるNEVIプログラムの停止は、単なる予算凍結以上の意味を持っています。この動きは、アメリカのEVインフラ整備における大きな転換点となる可能性があります。
まず注目すべきは、このプログラム停止の法的な側面です。専門家らは、議会で可決された予算を大統領権限で停止することは1974年の予算管理法に違反する可能性があると指摘しています。
現状のEV充電インフラ
これまでNEVIプログラムでは、約33億ドルが各州に配分され、そのうち5億1100万ドルが契約済み、実際の支出は4000万ドルにとどまっています[13]。この数字は、プログラムの実行速度が当初の期待より遅かったことを示しています。
各州への影響
各州の対応は分かれています。オハイオ州やロードアイランド州などの先進的な州では、プログラムを一時停止していますが、メリーランド州のように既存の予算内で計画を継続する州もあります。
民間セクターへの影響
特筆すべきは、テスラへの影響です。同社はこれまでNEVIプログラムから少なくとも3100万ドルを受け取っていましたが、同社のスーパーチャージャーネットワークは連邦資金に依存せず、むしろ競合他社への資金提供が減少することで恩恵を受ける可能性があります。
今後の展望
運輸省は春までに新しいガイドラインを発表する予定ですが、トランプ大統領のEVに対する批判的な姿勢を考慮すると、プログラムの大幅な見直しが予想されます[15]。
一方で、民間企業主導のEVインフラ整備は継続すると見られています。消費者需要が充電ネットワークの成長を牽引し続けるためです。
技術開発への影響
このような政策変更は、EVメーカーの技術開発戦略にも影響を与える可能性があります。特に、急速充電技術や航続距離の改善に関する研究開発が加速する可能性があります。