人間のホストとAIアバター、どちらの配信が売れたのか。AnyMind Groupの「AnyLive」は、その比較を2025年6月の時点ですでに可能にしていました。それでも今回、分析機能をあらためて強化したのはなぜでしょうか。手がかりは、配信の量を増やせるようになった先に現れる課題にありそうです。
AnyMind Group株式会社は2026年9月15日、AIライブコマースプラットフォーム「AnyLive」のAIアバター生成・ライブ配信分析機能を更新した。日本でも利用できる。アバターの動き、表情、リップシンクの精度とコメントへの応答速度を改善し、ブランド企業が保有する既存の動画素材やブランドキャラクターからの生成に対応した。
分析機能は人間とAIアバター双方の配信を、アカウント、ブランド、個別配信の単位で扱い、配信プラットフォーム間の比較、コンバージョンファネル分析、配信パフォーマンスの診断、AIによるインサイトの抽出、次回配信に向けた改善提案を提供する。背景として、電通デジタルの調査でライブコマースの利用経験率が2024年の1.6%から2025年に6.0%へ上昇したことを挙げた。
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AnyMind Group、AIライブコマースプラットフォーム「AnyLive」、AIアバター生成・ライブ配信分析機能を強化

【編集部解説】
AnyLiveは、人とAIを組み合わせるライブコマースを段階的に形にしてきました。2025年6月には、人間のホストかAIアバターかを問わず、視聴数やコメント、CVRといった配信データをリアルタイムで把握する分析機能を追加しています。ホストごとのCVRや売上の比較、配信内容や時間帯に応じた人とAIの使い分けも、このときに打ち出されました。
現在の公式サイトでも、ピーク時間帯には人間のホストが配信し、それ以外の時間をAIライバーが担う運用が示されています。
今回の分析面の更新は、人とAIを比べる仕組みを新たに作ったものではありません。すでにある土台の上で、分析の粒度と範囲を広げたものです。
分析の単位は、アカウント、ブランド、個別配信の3つに整理されました。分析・提案の項目には、配信プラットフォーム間の比較、コンバージョンファネル分析、パフォーマンスの診断、AIによるインサイトの抽出、次回配信への改善提案が並びます。2025年6月の時点では、データの自動取得はTikTok Shopとの連携から始まり、ほかのプラットフォームとは順次連携する予定とされていました。今回、「配信プラットフォーム間の比較」が分析項目として加わりましたが、具体的な対応範囲は示されていません。
この変化は、一つひとつの配信結果を見るだけでなく、アカウント、ブランド、個別配信という複数の粒度から、人とAI双方の成果を分析するための材料を増やすものと読めます。複数のプラットフォームで配信するブランドほど、判断できる範囲が広がりそうです。
AIアバターの配信は、長時間続けられることが強みです。一方で、配信の量を増やせるほど、どの配信が購買につながったのかを見極める力の価値が高まります。分析の強化は、量の次に来る課題に応える一手と言えます。
もう一つの柱である既存動画からのアバター生成は、導入時の負担を下げる変化です。
既存の動画素材を保有するブランド企業は、新たに専用動画を撮影する負担を抑えながら、素材をAIアバターの制作・展開に活用できるようになります。ブランドキャラクターからの生成にも対応したことで、キャラクターを顧客との接点に据えてきたブランドが、世界観を保ったままライブ配信へ踏み出す選択肢が増えました。
アバターの元になる映像の扱いは、業界全体でこれから作法が整えられていく領域です。既存の素材に人物が映っている場合、撮影時に想定していた使い道と、その人物の姿で新しい言葉を話すアバターとしての利用は、同じとは限りません。出演者との合意の範囲を確かめることが、導入時の最初の一歩になるでしょう。
市場の規模感については、慎重に読むべき点があります。AnyMind Groupが背景に挙げた6.0%という利用経験率は、2025年5月に実施された調査にもとづくものです。伸び率は大きい一方、この数字のうえでは、9割を超える人がまだライブコマースを体験していないことになります。日本のライブコマースは、成果の出し方を探りながら広がっていく段階にあると言えます。
今回のリリースでは、料金や、表情やリップシンクの改善幅を示す指標は示されていません。対応する言語や配信プラットフォームは国や地域によって異なるとされており、日本での具体的な提供範囲は個別の確認が必要です。
AnyLiveは2025年に日本語へ対応し、同年8月にはクリエイター向けの「AnyLive for Creators」で、クリエイターとAIアバターの配信結果を比べる分析も打ち出しました。人とAIの成果を比べる仕組みを積み重ねてきた先に、今回の更新があります。配信時間を増やすだけでなく、人とAIをどう組み合わせて成果を高めるか。その判断に使える材料を広げていく歩みは、日本のブランドがライブコマースに本腰を入れるための足場になるでしょう。
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【編集部後記】
2025年8月の「AnyLive for Creators」開始時に導入したのは、マレーシアのクリエイター、ベラ・カーン氏でした。TikTokで140万人以上のフォロワーを持つ同氏が、AIアバター配信の場としてまず選んだのは、フォロワー50万人を超えるTikTokのサブアカウントです。
本人の姿で話すAIを、いきなり本拠地には立たせない。その一歩の置き方は、ブランドが既存動画からアバターを作るときにも参考になりそうです。自社のアバターを、最初にどのアカウントで視聴者と出会わせますか。
【用語解説】
ライブコマース
ライブ配信で商品を紹介し、視聴者がその場で質問や購入をできる販売手法。配信者と視聴者がリアルタイムでやり取りできる点が、録画の動画広告と異なる。
AIアバター(AIライバー)
AIによってモデリング・生成された人物やキャラクターの姿で、ライブ配信に出演する存在。AnyLiveでは「AIライバー」とも呼ばれ、台本にもとづく商品紹介やコメントへの応答を行う。
CVR
Conversion Rateの略で、コンバージョン率のこと。視聴者や訪問者のうち、購入などの目標とする行動に至った人の割合を示す。
コンバージョンファネル
視聴から関心、購入に至るまでの段階を漏斗(ファネル)に見立て、各段階でどれだけの人が次へ進んだか、どこで離れたかを見る分析の枠組み。
リップシンク
発話される音声と、口の動きを合わせる技術。AIアバターでは、ずれが小さいほど自然に話しているように見える。
TikTok Shop
動画プラットフォーム「TikTok」のアプリ内で、商品の紹介から購入までを完結できるEC機能。動画やライブ配信から直接商品を購入できる。
【参考リンク】
AnyLive(外部)
AnyMind Groupが提供するAIライブコマースプラットフォームの公式サイト。AIライバーによる多言語配信と分析機能を紹介している。
AnyMind Group(外部)
AnyLiveを運営するAnyMind Groupの企業サイト。EC、マーケティング、物流などの事業とプレスリリースを掲載している。
電通デジタル(外部)
「EC・店頭をまたぐ購買行動実態調査」を2022年から実施する電通デジタルの企業サイト。調査結果やサービス情報を掲載している。
【参考記事】
生活者の購買行動の調査を実施 AIやライブコマースへの関心など、新たな兆しが見られる(外部)
2025年5月に20〜69歳を対象に実施した第4回調査。ライブコマースの体験が前年の1.6%から6.0%に伸びたことを図で示している。
生成AIライブコマースプラットフォーム「AnyLive」、ライブパフォーマンスを最大化する新機能を提供開始。「データ自動収集・分析」と「スクリプト最適化」でAIが継続的な改善を支援(外部)
2025年6月25日の発表。人間ホストかAIアバターかを問わず配信データを分析し、ホスト別の比較やスクリプト改善を行う機能を追加した。
クリエイターのAIアバターによる24時間ライブ配信を支援する「AnyLive for Creators」を提供開始(外部)
2025年8月21日の発表。クリエイターが自身のAIアバターで24時間配信できる新サービスで、本人とAIの配信結果を比較・評価する。
AnyMind Groupの生成AIライブコマースプラットフォーム「AnyLive」が日本語に対応開始(外部)
AnyLiveが日本語に対応し、対応言語が8言語になったことを伝える発表。国内外のブランドへのライブ配信支援の強化を掲げている。


















