GoProが、レンズ交換式の小型シネマカメラという新しい領域へ踏み込みました。GoProの発表によれば197gのボディにMFTマウントと8K撮影を組み合わせた「MISSION 1 PRO ILS」は、従来のGoProと映像制作の距離をどこまで縮めるのでしょうか。
GoProは2026年8月26日、同社初のレンズ交換式シネマカメラ「MISSION 1 PRO ILS」を発表した。50MPの1型センサーとGP3プロセッサを搭載し、GoProの発表によれば197gの筐体で最大8K60、4K240、Open Gate撮影に対応する。
Micro Four Thirds(MFT)レンズを交換できる一方、電子接点はなく、基本的にマニュアルフォーカスと手動での絞り管理を前提とする。価格は699.99ドル(日本向けには税込122,600円)で、2026年9月から世界で小売販売を開始する。
From:
Introducing MISSION 1 PRO ILS: GoPro’s First Interchangeable-Lens Cinema Camera
【編集部解説】
MISSION 1 PRO ILSは「高画質化」よりも撮影方法を広げるモデル
MISSION 1 PRO ILSの特徴は、単純に解像度を引き上げたことではありません。50MPの1型センサー、GP3プロセッサ、最大8K60・4K240、8K30のOpen Gate撮影といった基本的な映像性能は、先に登場したMISSION 1 PROと共通しています。
大きく変わったのはレンズです。MISSION 1 PRO ILSではMicro Four Thirds(MFT)マウントを採用し、広角だけでなく、望遠、マクロ、浅い被写界深度を使った撮影など、レンズによって映像表現を変えられるようになりました。アダプターを介してヴィンテージレンズやPLマウントのシネマレンズなどを利用することも想定されています。
GoProの発表によれば197gという小型ボディも、この交換レンズ化と組み合わせることで意味が変わります。GoProは車内など大型カメラを設置しにくい場所へのリグ組みを用途として挙げており、日本向け公式ページでもFPVドローン、車両へのマウント、ケーブルカムなどを使用例として示しています。
つまり、一眼カメラの代替というより、従来なら小型アクションカメラを置いていた場所で、交換レンズによる映像表現まで選べるようにするカメラと捉えると位置付けが分かりやすいでしょう。
「MFT対応」でも一般的なMFTカメラとは使い勝手が違う
購入前に最も注意したいのがレンズとの互換性です。MISSION 1 PRO ILSにはレンズと通信する電子接点がありません。そのため、電子制御によるオートフォーカスや絞り操作を必要とするレンズには対応せず、基本的にはマニュアルフォーカスで、固定絞りの場合はf/4.5以下、または手動で絞りを調整できるMFTレンズを使用する必要があります。対応レンズには、1型以上のセンサーをカバーすることなどの条件もあります。
また、1型センサーとMFTレンズの組み合わせでは、クロップファクターはブレ補正OFFで約2.7倍、HyperSmooth使用時で約3倍と案内されています。約3倍時の目安では、6mmのレンズで約18mm相当、7.5mmで約22mm相当になるため、特に広角撮影ではレンズ選びを事前に確認する必要があります。
HyperSmoothもすべてのレンズで同じ条件ではありません。GoProが個別プロファイルを用意した5本の魚眼レンズに加え、6〜500mmの単焦点レクティリニアMFTレンズに対応しますが、GoProが性能保証のため実際にテストしたレクティリニアレンズは50mmまでです。50mmを超えるレンズでは結果が異なる可能性があります。
この点からも、MISSION 1 PRO ILSはAF主体で素早く撮る一般的なミラーレスカメラというより、レンズ、ピント、露出を撮影者が管理する映像制作向けの設計と見るのが適切です。
699.99ドルで「本体だけでは完成しない」点にも注意
米国での希望小売価格は699.99ドルで、既存の年間GoProサブスクライバーは更新時の100ドル割引により599.99ドルで購入できます。MFTレンズは別売りです。
興味深いのは、MISSION 1 PROも発表時の希望小売価格が699.99ドルだったことです。交換レンズモデルだから本体価格そのものが大幅に上がったわけではありませんが、実際に撮影するには対応レンズが必要になるため、システム全体の費用は別に考える必要があります。
MISSION 1 PRO ILSで重要なのは、GoProが単に「レンズ交換できるGoPro」を作ったことではありません。8K、Log撮影、Timecode Sync、32bit float録音、外部モニタリングといったMISSION 1シリーズの映像制作機能に、交換レンズという選択肢が加わりました。アクションカメラ由来の小ささと設置自由度を残したまま、撮影者がレンズまで選べるようにしたことが、このモデルの最も大きな違いです。
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小型・軽量な撮影機材だからこそ可能になる設置場所やカメラアングルを扱った記事。MISSION 1 PRO ILSの197gという小型ボディが持つ撮影上の意味につながる。
【編集部後記】
GoProといえばアクションカメラという印象が強かったので、レンズ交換式のシネマカメラが出てくるとは少し意外でした。197gという小ささで8K撮影ができ、さらにレンズまで選べるとなると、撮影できる場所はかなり広がりそうです。個人的には、車内やドローンなど普通のカメラでは撮りにくい場所でどんな映像が生まれるのか気になります。一方で、AFや電子絞りが使えないため、気軽に使えるGoProというよりは、かなり撮影者を選ぶ製品でもありそうです。699.99ドルに加えてレンズも必要となると簡単に手を出せる価格ではありませんが、一度実際に触ってみたいカメラです。
GoProが今後、アクションカメラとシネマカメラの間をどこまで広げていくのかにも注目したいです。
【参考リンク】
GoPro公式サイト(外部)
GoProのカメラ、アクセサリー、アプリ、サブスクリプションなどの製品・サービス情報を掲載する公式サイト。MISSION 1 PRO ILSの予約導線も確認できる。
GoPro MISSION 1 PRO ILS公式製品ページ(外部)
対応レンズ、クロップファクター、HyperSmooth、Focus Assist、Focus Peakingなど、MISSION 1 PRO ILSの詳細仕様とFAQを掲載。
GoPro MISSION 1シリーズ(外部)
MISSION 1、MISSION 1 PRO、MISSION 1 PRO ILSの位置付けや構成を確認できる公式製品ページ。
【参考動画】
MISSION 1 Series Launch Film|GoPro
GoProがMISSION 1シリーズ発表時に公開した公式ローンチ映像。公式発表によれば、映像は100%MISSION 1シリーズのカメラで撮影されている。MISSION 1 PRO ILS専用動画ではなく、シリーズ全体の映像表現を確認するための参考動画。
【参考記事】
New MISSION 1 Series Cameras, Mounts, and Accessories Now Available for Pre-Order|GoPro(外部)
2026年5月21日の公式発表。MISSION 1 PROの699.99ドルという価格、50MPの1型センサー、GP3、8K60、4K240など、ILSモデルと共通する基礎仕様の比較に使用。
GoPro Announces Pricing for New MISSION 1 Series|GoPro(外部)
2026年4月時点で公開されたMISSION 1シリーズの価格情報。MISSION 1 PRO ILSについて699.99ドル、既存年間サブスクライバー向け599.99ドルと案内していた。
GoPro MISSION 1シリーズ公式比較ページ(外部)
MISSION 1、MISSION 1 PRO、MISSION 1 PRO ILSの撮影モード、GP3、1型センサーなどを比較できる公式ページ。
【用語解説】
Micro Four Thirds(MFT)
OlympusとPanasonicが策定したレンズマウント規格。MISSION 1 PRO ILSはMFTマウントを採用するが、電子接点を備えないため、一般的なMFTカメラのようなオートフォーカスや電子絞りには対応しない。
Open Gate
イメージセンサーの横長部分だけを切り出さず、センサー領域を広く使用して記録する撮影方式。MISSION 1 PRO ILSでは4:3のセンサー領域を最大8K30または4K120で記録でき、編集時に横長・縦長などへ切り出しやすい。
GP-Log2
GoProが提供するLog形式の映像記録方式。撮影時のコントラストや色を抑えて記録し、カラーグレーディングを前提とした映像制作に利用する。
HyperSmooth
GoProの電子式映像ブレ補正機能。MISSION 1 PRO ILSでは6〜500mmの単焦点レクティリニアMFTレンズと、GoProがプロファイルを用意した一部魚眼レンズに対応する。ただし、GoProが性能保証のためテストしたレクティリニアレンズは50mmまで。
Focus Peaking
映像内でピントが合っている部分を色付きの輪郭などで強調し、マニュアルフォーカスを補助する機能。MISSION 1 PRO ILSはAF非対応のため、Focus Assistとともに重要なピント確認機能となる。
32bit float録音
非常に広いダイナミックレンジで音声を記録する方式。収録時の音量設定が適切でなかった場合でも、編集時に音量を調整しやすいことが特徴。


















