『PAYDAY: Aces High』VR版は友達と遊ぶ新定番になるか|レポートから読み解く

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友人と気軽に集まって遊べる本格的なVR協力プレイシューターは、まだ選択肢が限られています。そこに名乗りを上げたのが、犯罪アクションゲームの人気シリーズをVR化した『Payday: Aces High』です。


UploadVRの記者2名は、Fast Travel Games開発のVR協力シューター『Payday: Aces High』のメディア向けハンズオンセッションに参加し、Meta QuestとSteam版でそれぞれ最初のヘイストジョブをプレイした記事を8月21日に投稿した。

操作性はアーケード寄りに調整されており、ルートの回収やドリルによる金庫破りなど一連のギミックは直感的に理解できたという。銀行内の警備コードやカメラの配置はランダム化されており、完全ステルスでのクリアには追加報酬が用意されている。警報が作動すると警察が徐々に強化され、プレイヤーは自然と役割分担しながら脱出した。プレイ時間は約20分。裏切った実業家への復讐劇を軸にしたストーリーや、豊富なアンロック要素も確認された。アルファ版特有のグラフィックの粗さは見られたものの、ゲームの核となる部分は高く評価されている。

From: 文献リンクPayday: Aces High Could Be The Next Go-To VR Shooter To Play With Friends

【編集部解説】

VR向けに正式ライセンスされた協力型強盗ゲームという座組みそのものが、今回のハンズオン記事を読み解く鍵になります。UploadVRが実際に触れたのは、Starbreeze Entertainmentが展開する『PAYDAY』シリーズのIPをFast Travel Gamesがライセンス提供を受けて開発するVR版『PAYDAY: Aces High』でした。PAYDAYシリーズは全世界で5000万人以上のプレイヤーを抱える主要フランチャイズだとStarbreeze側は説明しており、その規模のIPをVR専業スタジオに預けるという判断自体が、業界内でのVRの位置づけを考える材料になります。

「移植」ではなく「VRのために設計する」

平面ディスプレイ版のPAYDAYでは、トリガーを引く動作はマウスクリックで、バッグを運ぶ動作はキーを押しながら歩くことで再現されてきました。これに対しVR版では、トラッキングされたコントローラーを実際に狙った方向へ向け、物理的にしゃがみ、バッグを実際に持ち上げて運ぶ動作が求められます。今回のハンズオンで報告された、ルートがダッフルバッグに変わると移動速度が落ちて仲間の援護が必要になるという仕様は、この「身体性」を軸にした設計思想の延長線上にあると位置づけられます。

座組みが示すもの

Fast Travel Gamesは10年以上VR専業で開発を続けてきたスタジオで、『Vampire: The Masquerade – Justice』『Apex Construct』などを手がけています。StarbreezeのCEOは、今回の座組みを指して「単なる翻案ではなく、この媒体のために一から作られたPAYDAYそのものだ」と述べています。大型フランチャイズの保有企業が、VR向けの開発を自社で内製せず専業スタジオへのライセンス供与という形で任せる例は他分野でも見られる手法で、VRならではの設計知見を外部から取り込む狙いがあると考えられます。

今回のハンズオンはメディア向けに用意されたセッションであり、開発チームの説明を受けながらの体験です。一般プレイヤー同士が初対面でマッチングした場合や、長時間プレイした際の印象が同じになるとは限りません。また、正式な発売時期は「2026年内」とされるにとどまり、今回未検証だったウォッチ経由のハッキング機構が大規模ヘイストでどう機能するかも含め、今後の発表を注視したいところです。発売後には無料アップデートとして新たなヘイスト拠点を追加する方針も明かされており、ライブサービス的な運営が視野に入っている可能性もあります。

【関連記事】

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同時期のVR Games Showcaseで新映像が公開されたタクティカルシューター。オリジナルIPとライセンスIPという対照的な座組みが比較できる。

【編集部後記】

有名なフランチャイズがVRに来ると聞くと、つい「移植」という言葉を思い浮かべてしまいます。ですが身体の動きそのものを設計に組み込む例が増えていくと、その言葉の意味も少しずつ変わっていくのかもしれません。友人と気軽に集まって遊べるVRタイトルを、私はまだ数えるほどしか知りません。この作品が本当にその一つになるのか、正式版で楽しみしたいと思います。


【用語解説】

ヘイスト(Heist)
強盗・押し込みを指す英語。PAYDAYシリーズでは、下見・侵入・略奪・逃走までの一連の犯行を1プレイ単位として指す語として定着。

アルファビルド(Alpha Build)
開発初期段階のテスト版。機能やコンテンツは一通り動くが、見た目の作り込みやバグ修正は未完了であることが多い。

ライセンス供与(IP Licensing)
IP保有企業が、自社では開発せず外部スタジオに権利を貸し出して開発を任せる契約形態。今回はStarbreeze EntertainmentがPAYDAYの世界観・ブランドをFast Travel Gamesに貸し出す形をとる。

【参考リンク】

Fast Travel Games公式サイト(外部)
『PAYDAY: Aces High』開発元のVR専業スタジオ公式サイト。過去作や開発方針を確認できる。

PAYDAY: Aces High 公式サイト(外部)
ゲーム本編の世界観・キャラクター・トレーラーをまとめた特設ページ。

PAYDAY: Aces High|Steam(外部)
PC VR版のウィッシュリスト登録ページ。発売情報の更新もここで確認できる。

PAYDAY: Aces High|Meta Quest(外部)
Meta Quest向けストアページ。Quest版のウィッシュリスト登録が可能。

Steamコミュニティディスカッション(外部)
開発チームへのバグ報告や、他プレイヤーとの情報交換が行われている場。プレイテストへの参加者の声も見られる。

【参考記事】

Starbreeze and Fast Travel Games announce officially licensed VR game – PAYDAY®: Aces High — Starbreeze Entertainment(外部)
ライセンス提携の座組みと、2026年内のMeta Quest/SteamVR展開を公式に発表した一次情報。

PAYDAY: Aces High — Fast Travel Games公式ニュース(外部)
PAYDAYシリーズが「全世界5000万人以上のプレイヤー」を抱えるとするStarbreeze CEOのコメントを掲載。

PAYDAY: Aces High Brings VR Embodiment to Co-op Heisting — Tech Times(外部)
平面ディスプレイ版とVR版での操作の違いを、6DoF環境の観点から具体的に解説。

Payday: Aces High Holding PC VR & Meta Quest 3 Playtests Next Week — UploadVR(外部)
Fast Travel Gamesの過去作や、AI仲間の仕組み、発売後の無料DLC方針について報じている。

‘Payday: Aces High’ Shows Off Heists, Player Abilities, And Gear — Worthplaying(外部)
Starbreeze CEOおよびFast Travel Games CCOのコメントを詳しく引用している。

‘PAYDAY: Aces High’ VR Game Announced for Quest & PC VR — Road to VR(外部)
発売時期が「2026年内」にとどまり、具体的な日付が未定であることを確認できる一次報道。

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乗杉 海
SF小説やゲームカルチャーをきっかけに、エンターテインメントとテクノロジーが交わる領域を探究しているライターです。 SF作品が描く未来社会や、ビデオゲームが生み出すメタフィクション的な世界観に刺激を受けてきました。現在は、AI生成コンテンツやVR/AR、インタラクティブメディアの進化といったテーマを幅広く取り上げています。 デジタルエンターテインメントの未来が、人の認知や感情にどのように働きかけるのかを分析しながら、テクノロジーが切り開く新しい可能性を追いかけています。

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