ベルギーの精肉店では冷蔵庫が18℃まで上がり、ウクライナでは夜、スマートフォンに「核の警報」が届きました。どちらも、持ち主が毎日使っている冷却や通知の機能が、別の誰かの手で動かされた結果です。盗まれた件数を数える守り方では、この種の被害は見えてきません。
11月1日夜から2日未明にかけ、人が信頼して任せている仕組みを乗っ取る攻撃が欧州で相次いだ。ベルギー、スウェーデン、アイルランドなどのスーパーで冷蔵・冷凍設備の温度が上げられ、要冷蔵品が売り場から下げられた。設備の異常や関連する対応は、報道では少なくとも7か国に及ぶ。設備を管理するSabcobelは、10月のフランスの事件と同じ仕組みだとしている。ウクライナでは警報アプリ「Повітряна тривога(Air Alert)」から放射線や市街戦の偽の通知が届き、数時間後にはロシア非常事態省のアプリから33の地域に偽の通知が送られた。いずれも攻撃者は特定されていない。同じ時期、Oracleが10月20日に修正したE-Business Suite(EBS)の脆弱性CVE-2026-101767では、10月27日から攻撃の試行が観測されている。
10月12日ごろ、フランスのスーパー数百店で冷凍設備の遠隔制御装置が乗っ取られました(118860)。10月29日には、米軍基地の冷凍庫の故障を国防総省がサイバー攻撃の疑いで調べていると報じられています(119609)。フランスの事件から3週間後の11月2日未明、設備会社が「同じ仕組み」と説明する攻撃が、国境を越えて広がりました。
同じ夜、ウクライナとロシアでは、市民に危険を知らせるためのアプリが数時間おきに偽の警報を流しました。冷凍庫と警報アプリは、まったく別の仕組みです。それでも、冷却や通知という本来の機能が、持ち主の意図に反して使われた点で、この2つは同じ形をしています。被害は画面の中ではなく、廃棄された食品や、夜中に届いた核の警報として現れました。ここでは2つの事案を公表資料と報道でつなぎ直し、あわせて、日本の組織が今週中に手を打てるOracle EBSの脆弱性を整理します。
10月から11月初めの主な動き
| 日時 | 出来事 | 出典・関連記事 |
|---|---|---|
| 10月12日 | フランスのCERT-FR、冷凍設備の遠隔制御装置の侵害で警報(13日に対象を追加) | CERT-FR(118860) |
| 10月16日 | CERT-FR、警報を更新。「攻撃はおそらく続いている」と注意 | CERT-FR |
| 10月20日(日本時間21日) | Oracle、10月のCritical Patch Update(CPU)を公開。EBSのCVE-2026-101767を修正 | Oracle |
| 10月27日 | Defused、おとりのEBSでCVE-2026-101767への攻撃の試行を観測 | Defused(報道) |
| 10月29日 | 国防総省、米軍基地の冷凍庫の故障をサイバー攻撃の疑いで調査と報道 | ロイター通信(119609) |
| 11月1日 22時45分ごろ(キーウ) | ウクライナの警報アプリ「Повітряна тривога」から偽の通知 | 空軍、アプリの運営チーム |
| 11月2日 2時45分ごろ(モスクワ) | ロシア非常事態省のアプリから33の地域に偽の通知 | ロシア非常事態省 |
| 11月2日 未明 | ベルギー、スウェーデン、アイルランドなどのスーパーで冷凍設備の温度が上げられる | 各社の声明(報道) |
日時が近いだけで、互いの関係が確認された事案ではありません。
冷凍設備への攻撃、第2波は欧州7か国に
11月2日未明、霜取りの設定が書き換えられた
ベルギーでDelhaizeの冷凍設備を管理する設備会社Sabcobelのステファン・モーランスCEOは、ベルギーの通信社Belgaに対し、今回の攻撃はフランスの事件とまったく同じ仕組みだと説明しました。冷却器の蒸発器が霜取りのモードに切り替えられ、冷やすはずの設備が温まり続けたといいます。同社は午前1時から技術者を動かし、管理する数百台のうち約20台で被害を確認しました。
霜取りは、冷却器に付いた霜を取り除くための正常な動作です。118860で伝えたフランスの件でも、この霜取りが続く状態にされたと報じられていました。機器を壊さなくても、正規の機能や設定を不正に使われれば、冷凍設備の温度は上がり、食品を保管できなくなります。スウェーデンの被害店舗では、冷凍庫から温風が出ていると責任者が地元局に訴えました。
設備の異常や関連する対応は、報道では少なくとも7か国に及びます。各社の声明と報道によると、主な状況は次のとおりです。
| 国 | 主な被害 | 出どころ |
|---|---|---|
| ベルギー | Carrefourは700店中15店(ハイパーマーケットは含まない)、ColruytはSparの5店。Delhaizeの小型店約40店などを含めて約75店とする集計も報じられている(集計の範囲は報道によって異なる) | 各社の声明、報道 |
| ルクセンブルク | Delhaizeの店舗にも被害。予防のため発注システムを停止 | 報道 |
| スウェーデン | ICAは「限られた数の店舗」。Coopは6〜7店と報じられ、ロイター通信の更新版では800店中7店。冷凍庫が50℃に設定されたと報道 | 各社の声明、報道 |
| アイルランド | MusgraveのSuperValu 13店で要冷蔵・冷凍品を販売停止。同日午後に「完全に解決」と説明 | Musgrave |
| オランダ | 名前が公表されていない少なくとも17の事業者(店舗数ではない) | Danfossの広報(報道) |
| エストニア | スーパーチェーンSelverの1店 | 報道 |
| フィンランド | Kグループの複数店 | 報道 |
温度は、ベルギーの精肉店で18℃、スウェーデンで50℃(55℃とする報道もある)と、場所によって違って伝えられています。CarrefourやSuperValuは店舗の営業を続けながら、影響を受けた要冷蔵・冷凍品を売り場から下げました。
機器の種類と、物理的な改修
ロイター通信によると、被害を受けた設備の少なくとも一部は、Danfossの温度制御の技術を使っていました。スウェーデンのCoopも、Danfossが仕入れ先の一つだと説明しています。Danfossは報道に対し、ソフトウェアを更新していなかった顧客が被害を受けたとし、新しいソフトウェアへの切り替えを以前から呼びかけていたとしています。エストニアでは古いDanfossのシステムが狙われたと請負業者が説明し、ベルギーではCopelandの機器も狙われたとオランダの公共放送NOSが報じました。
ここで目を引くのは、Sabcobelの説明です。被害を受けた機器は、ソフトウェアの更新だけでは足りず、物理的な改修が必要だといいます。同社によると、フランスの事件のあと、多くの顧客は安全な接続を通じて管理する方式に切り替えていました。
フランスのCERT-FRは10月16日に警報を更新し、攻撃はおそらく続いていると注意していました。修正の提供が終わった機器をインターネットに出したままにすれば、再び侵害される可能性が非常に高く、初期化だけでは足りないとも書いています。118860では、設備の使用期間と、制御ソフトウェアの更新期間が一致するとは限らない点に触れました。3週間後に起きた第2波の詳しい侵入経路は、まだ公表されていません。それでも、修正の提供が終わった機器や、更新や接続の守りが十分でない機器をどう守るかという課題は、第1波のあとも残っていました。
誰が、何のために
攻撃者は特定されていません。ベルギーのサイバーセキュリティセンター(CCB)の広報担当者は、誰の仕業か分かっておらず、特定できないかもしれないと述べました。ベルギーの連邦検察は捜査を始めています。パリ検察によると、10月のフランスの事件の被害者は約700にのぼります。
身代金の要求は伝えられていません。欧州委員(農業担当)のクリストフ・ハンセン氏は、食品のサプライチェーンを乱し、消費者の信頼を損なおうとする意図的な試みだと述べています。CCBの広報担当者は、AIを使った脆弱性の発見と悪用が増えていることに懸念を示しましたが、今回の攻撃にAIが使われたかは分からないとしています。
EUのサイバーレジリエンス法(CRA)は、2027年12月11日から、製品の想定使用期間に見合ったサポート期間を製造者に求めます。いま店舗で動いている冷凍設備の制御装置は、その前に作られたものです。
ウクライナとロシアの警報アプリが、数時間おきに乗っ取られた
ウクライナ:放射線、化学物質、市街戦の偽の通知
ウクライナの警報アプリ「Повітряна тривога(Air Alert)」は、セキュリティ機器メーカーのAjax Systemsとソフトウェア開発会社Stfalconが開発し、デジタル変革省が支援しています。ミサイルやドローンの接近を知らせ、避難するかどうかを決める手がかりにしている人もいるアプリです。
11月1日22時45分ごろ(現地時間)、このアプリから、放射線や化学物質の脅威、キーウでの市街戦を知らせる偽の通知が届き始めました。ロシア語で極超音速ミサイル「オレシュニク」に触れた通知や、Telegramのチャンネルへのリンクも含まれていました。ウクライナ空軍はTelegramで、アプリはおそらく敵対的な干渉を受けたとし、放射線の脅威はないと打ち消しました。
アプリの運営チームは、第三者が無断でアプリの動作に干渉したと説明し、プッシュ通知を止めてアプリを一時停止しました。アプリは個人データを保存していないため利用者への危険はないとし、不審な通知のリンクを開かないよう呼びかけています。日付が変わった2日1時52分ごろ(キーウ時間)には段階的な再開を発表しました。その時点では、地図上の目標の表示は一時停止していました。
国家非常事態庁は、全国の警報システムは通常どおり動いていると発表しました。デジタル変革省は、アプリが止まっているあいだはスマートフォン本体の緊急警報の通知を使うよう案内しています。空軍の報道官は、このアプリは軍の指揮系統とはつながっておらず、防衛に影響はないと述べました。
ロシア:管理パネルから33の地域へ
その約3時間後の11月2日2時45分ごろ(モスクワ時間)、今度はロシア非常事態省のアプリから、核弾頭が発射されたとする偽の通知が送られました。同省によると、攻撃を受けたのはアプリの管理パネルで、偽の通知は33の地域に届きました。
同省は最初の偽の通知で異常に気づき、サービスをネットワークから切り離しました。ロシアのメッセンジャー「MAX」にある防災システムのチャンネルからも、偽の情報を削除する措置をとったとしています。悪用された脆弱性を特定し、国のコンピューターインシデント調整センターに情報を送ったとしています。住民に警報を届ける主な経路はサイレンや拡声器、SMS、テレビ・ラジオで、アプリは補助の手段にすぎないため、警報の仕組み全体には影響していないと説明しました。
帰属は確認されていない
どちらの事案も、攻撃者は確認されていません。報道にはロシア側やウクライナ側の関与を推測する記述や、犯行を主張する投稿を紹介するものがあります。ただ、当局や運営側の発表は攻撃者を特定しておらず、2つの事案の関係も確かめられていません。
通知の管理画面は、住民の行動を動かす
2つの事案では、市民に警報を届けるアプリが偽の通知に使われました。ロシア当局はアプリを補助の手段と説明し、ウクライナ当局も、全国の警報システムは通常どおり動いているとして別の経路を案内しました。ただし、両国で侵害された仕組みの範囲が同じだったと確認されたわけではありません。それでも、深夜に「核の警報」が手元のスマートフォンに届けば、人の行動は左右されます。
通知を送る管理画面は、データの保管場所である以上に、大勢の人の行動を一度に動かせるスイッチです。10月には、英ASOSのアプリから不正なプッシュ通知が送られる事案もありました(119002)。日本でも10月、自治体の防災メールの配信基盤「SpeeCAN RAIDEN」が不正アクセスを受け、自治体によっては配信を止めるか続けるかで判断が分かれました(118857)。漏えいの件数だけでは測れない、配信経路そのものの重さが、ここでも表れています。
冷凍庫と警報アプリに共通すること
冷凍設備では、遠隔から管理される設備が霜取りのモードに切り替えられたと、設備会社Sabcobelが説明しています。ロシアの警報アプリでは、当局が管理パネルへの攻撃を発表しました。ウクライナ側の侵入経路は公表されていません。侵入の仕組みまで同じだったとはいえませんが、どちらも、冷却や通知という持ち主が使うのと同じ機能が、意図に反して使われました。
このため、被害は情報漏えいの件数だけでは測れません。冷凍食品の廃棄額や、深夜の混乱として表れます。情報システムの外側にある設備や通知の仕組みも、「何を盗まれるか」より「何を動かされるか」で守り方を考える必要があります。
Oracle EBSは、修正から1週間で攻撃の試行
認証なしで業務データの中枢へ
Oracleは10月20日(日本時間21日)、四半期ごとの修正であるCritical Patch Update(CPU)を公開しました。EBSには194件の修正が含まれ、そのうち31件は認証なしでネットワーク越しに悪用されうるものです。
その一つがCVE-2026-101767です。EBSの共通基盤であるApplication Object LibraryのCoreに含まれ、HTTPで届けば認証もなしに悪用でき、深刻度はCVSS 3.1で9.8です。対象は12.2.3から12.2.15です。
発見して7月24日にOracleへ報告した米Horizon3.aiによると、問題はThin Client Framework(TCF)と呼ばれる仕組みのサーブレット(/OA_HTML/AppsTCFServer)にあります。このパスは、EBSのURLファイアウォールの初期設定で外から呼べる状態になっています。攻撃者は、EBSのデータベースユーザーAPPSの権限でSQLを実行し、さらにEBSのアプリケーションのアカウントでOSのコマンドを実行できます。財務、給与、人事、調達といったデータに及びうるとしています。インターネットに公開したEBSがもっとも危険ですが、社内のEBSも、すでに侵入された端末から狙えます。
10月27日に攻撃の試行
複数のセキュリティ媒体によると、脅威情報の企業Defusedは10月27日、おとりとして置いたEBSで、この脆弱性を狙う探索的な攻撃を記録したとXで報告しました。実際の環境で侵入に成功したという報告とは区別が必要で、これらの報道では具体的な被害組織は示されていません。Oracleの公開している修正の告知にも、この脆弱性が実際に悪用されたとする記述は見当たりません。11月3日に確認した米CISAの悪用確認済み脆弱性カタログ(KEV、10月30日更新の版)にも載っていません。
それでも、EBSはこの1年、繰り返し狙われてきました。2025年には、恐喝グループCl0pを名乗る攻撃者がEBSのゼロデイ(CVE-2025-61882など)を悪用してデータを盗む攻撃が広がり、ワシントン・ポストの被害も報じられました(71161)。この一連の攻撃では、日立傘下のGlobalLogicの現役と元の従業員の情報流出も報じられました(71572)。同社の米メイン州当局への届け出では、影響を受けた人は1万471人とされています。2026年6月には、同じOracleの人事システムPeopleSoftのゼロデイが悪用され、日産の北米法人もPeopleSoft経由の被害を届け出ました(111660)。今回も、修正の公開から1週間で試行が観測されています。業務の中枢を担うソフトは、修正が出たその週から、まだ当てていない組織が探されると考えておく必要があります。
今週やること
Horizon3は、パッチを当てるまでのあいだの手当てとして、次の3点を挙げています。
- EBSのURLファイアウォールの許可リストから、/OA_HTML/AppsTCFServer を外す
- EBSのウェブ層への接続を、信頼できるネットワークに限る
- EBSのアプリケーションサーバーとデータベースに、侵害の兆候がないか監視する
ただし、これらはパッチの代わりにはならないとしています。侵害の兆候としては、AppsTCFServerへの認証なしのPOSTでGanttDataServerのクラスを呼び出すリクエストと、その直後のデータベースの動き(データベースの版や現在のユーザーを調べるSQLなど)、一時フォルダー($APPLPTMP)の見慣れないファイル、Concurrent Manager経由でoracleのアカウントが/bin/shを起動する動きを示しています。
適用すべきパッチは、OracleのサポートサイトのEBS向け文書(My Oracle Support Note KA923)にまとめられています。Oracleは毎月第3火曜日にセキュリティ修正を出す体制をとっており、次は11月17日です。
日本の組織が見直せること
今回の3つの事案から、日本の組織が手元で確かめられることを3つにまとめます。
1つ目は、設備の管理画面がインターネットから見えていないかです。冷凍設備に限らず、空調、照明、ビルの管理装置には、保守業者が遠隔で監視するための入口があります。CERT-FRは、インターネットへの露出をなくし、保守業者の接続はVPNなどに限るよう求めています。修正の提供が終わった機器は、入れ替えの計画まで含めて考える必要があります。
2つ目は、通知を送る管理画面の守りです。防災メール、アプリのプッシュ通知、社内の一斉連絡など、多くの人に一度に届く仕組みは、誰がどこから送れるのかを確かめておきたいところです。誤った通知が出たときに、どの経路で、どれだけ早く打ち消すのか。ウクライナでは、空軍が十数分でTelegramから否定し、各州の知事も続きました。打ち消す経路を、通知の経路とは別に持っておくことも、守りの一部です。
3つ目は、Oracle EBSを使っているかどうかの確認です。使っていれば、10月のCPUの適用状況と、ウェブ層がどこから見えるかを、今週中に確かめられます。
冷凍庫の温度も、手元に届く警報も、ふだんは疑う必要のないものとして暮らしを支えています。その信頼を支えるには、管理の入口への接続を絞るだけでなく、認証や権限、異常の監視、誤った動作から戻す手順まで点検しておく必要があります。今回の事案は、その入口の点検を、情報システムの担当者だけでなく、設備や広報、防災の担当者とも分け合う時期に来ていることを示しています。
【関連記事】
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【解説】海外サイバー事案20件、修正が届かずGitLab・Synologyで悪用|DHS・Polymarketも
10月下旬の海外の事案20件を整理した解説。米軍基地の冷凍庫の故障を国防総省がサイバー攻撃の疑いで調べるとの報道にも触れる。
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自治体の防災メールの配信基盤が不正アクセスを受け、配信を止めるか続けるかで自治体の判断が分かれた経緯を詳しく伝える記事。
【解説】海外サイバー事案21件、委託先や連携アプリが入口に|BAE・ConnectWise・AOMEI
9月下旬から10月中旬の海外の事案21件を整理した解説。英ASOSのアプリから不正なプッシュ通知が送られた件も扱っている。
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2025年にOracle EBSのゼロデイを悪用したCl0pの攻撃と、ワシントン・ポストやハーバード大学などの被害を伝える記事。
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日立傘下のGlobalLogicが、Oracle EBSを狙った攻撃で現役と元の従業員の情報が流出したと届け出た件を伝える記事。
日産が Oracle PeopleSoft 経由でデータ侵害公表|ShinyHunters のゼロデイ攻撃、4カ国の従業員に影響
Oracle PeopleSoftのゼロデイを悪用した攻撃で、日産の北米法人が従業員のデータの侵害を公表した件を伝える記事。
【編集部後記】
ストックホルムのICAの店舗では、攻撃は午前2時に起きたものの、気づいたのは数時間後だったと店の責任者が話しています。一方、アイルランドのSuperValuは、監視の仕組みが異常を知らせ、すぐに手を打てたと説明しました。
同じ夜の同じ種類の攻撃でも、被害の広がり方を左右するのは、深夜の異常を誰が受け取るかなのかもしれません。みなさんの職場で、午前2時に設備の異常を知らせる連絡は、いま誰の電話に届くようになっているでしょうか。
【用語解説】
霜取り
冷蔵・冷凍設備の冷却器に付いた霜を、ヒーターや高温の冷媒などで取り除く正常な動作である。運転中は冷却が止まり、庫内の温度は上がる。
CERT-FR
フランスの国家サイバーセキュリティ庁(ANSSI)が運営する、政府のコンピューターセキュリティ対応チームである。警報や勧告を公開している。
サイバーレジリエンス法(CRA)
デジタル要素を持つ製品に、設計段階からの安全対策や脆弱性への対応、サポート期間の設定などを求めるEUの規則である。主な義務は2027年12月11日から適用される。
管理パネル
サービスの運営者が設定の変更や通知の送信などを行うための管理用の画面である。乗っ取られると、正規の運営者と同じ操作ができてしまう。
Critical Patch Update(CPU)
Oracleが1月、4月、7月、10月に公開する定例の修正の集まりである。その間の月には、より小さな修正(CSPU)が出る。
CVSS
脆弱性の深刻度を0から10の数値で表す共通の評価基準である。9.0以上は「緊急(Critical)」に分類される。
KEV
米国のサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)が公開する、実際の悪用が確認された脆弱性のカタログである。連邦機関には期限内の対処が求められる。
URLファイアウォール
Oracle EBSで、外部から呼び出せるURLを許可リストで絞り込む仕組みである。許可リストに残ったURLは、外から到達できる。
サーブレット
Javaで書かれ、ウェブサーバー上でリクエストを受け取って処理するプログラムである。
【参考リンク】
CERT-FR「Incident de sécurité ciblant les contrôleurs à distance des installations de réfrigération」(外部)
冷凍設備の遠隔制御装置の侵害についてのフランス政府の警報。対象製品と、侵害の有無で分けた対処の手順、版ごとの更新の履歴を示す。
Повітряна тривога(Air Alert)公式Telegram「11月1日の声明」(外部)
警報アプリの運営チームが、第三者の無断の干渉を受けてプッシュ通知とアプリを一時停止したと伝えた声明。利用者への注意も示す。
ウクライナ空軍 公式Telegram「11月1日の投稿」(外部)
ウクライナ空軍が、警報アプリはおそらく敵対的な干渉を受けたとし、放射線の脅威はないと打ち消した投稿。冷静な対応を求めている。
ロシア非常事態省「11月2日の発表」(外部)
同省のアプリの管理パネルが攻撃を受け、33の地域に偽の通知が送られたとする発表。切り離しなどの対応と、警報の主な経路を示す。
Oracle「Critical Patch Update Advisory – October 2026」(外部)
Oracleの2026年10月の定例修正の告知。製品ごとの脆弱性の一覧と深刻度、EBSの修正の件数、今後の修正の公開日を示す。
Horizon3.ai「CVE-2026-101767: Oracle EBS SQL Injection RCE」(外部)
CVE-2026-101767を発見したHorizon3.aiの勧告。攻撃の仕組みと影響、パッチまでの緩和策、侵害の兆候、経緯を示す。
CISA「Known Exploited Vulnerabilities Catalog」(外部)
実際の悪用が確認された脆弱性を米CISAがまとめたカタログ。各脆弱性が追加された日付と、連邦機関に求める対処の期限を示している。
EUR-Lex「Regulation (EU) 2024/2847(Cyber Resilience Act)」(外部)
EUのサイバーレジリエンス法の条文。デジタル要素を持つ製品の安全要件と、製造者が設けるサポート期間や、適用開始日の定めを示す。
【参考記事】
The Record「Second wave of suspected cyberattacks hits supermarket freezers across Europe」(外部)
欧州のスーパーの冷凍設備を襲った第2波を、ベルギーCCBや設備会社、パリ検察への取材をもとに伝える記事。CRAにも触れる。
Euronews「Cyberattacks hit supermarket fridges and freezers in Europe, Belgium launches investigation」(外部)
ベルギーを中心に、各国の小売の被害と声明、設備会社による攻撃の仕組みの説明、ベルギー連邦検察の捜査開始をまとめて伝える記事。
CNBC「New cyberattack on fridges hits supermarkets across Europe」(外部)
ロイター通信の配信で、スウェーデンやベルギーの店舗の被害と、欧州委員やCCB、Danfossなど関係者の発言を伝える記事。
The Irish Times「SuperValu says issues after cyberattack on its fridge systems ‘fully resolved’」(外部)
アイルランドのSuperValu 13店で要冷蔵・冷凍品を下げた件を、Musgraveの声明とともに伝える記事。解決の発表も含む。
Suspilne「Повітряна тривога: застосунок зламали, радіаційної загрози немає」(外部)
ウクライナの公共放送が、偽の通知の内容と、空軍や運営チーム、国家非常事態庁、デジタル変革省の対応を時系列で詳しく伝える記事。
CBS News「Ukraine and Russia’s emergency alert apps both hacked, residents warned of fake nuclear, chemical strikes」(外部)
ウクライナとロシアの警報アプリが数時間おきに乗っ取られた経緯を、偽の通知の時刻や、ウクライナ空軍の報道官の発言とともに伝える記事。
BleepingComputer「Hackers now scanning systems for recently-patched Oracle flaw」(外部)
修正から間もないOracle EBSの脆弱性を狙う探索が始まったと、Defusedの観測とEBSが狙われてきた経緯とともに伝える記事。



